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【ダークサイズ】未来から来た青年

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【ダークサイズ】未来から来た青年

リアクション

「ペンギンぶたーい」

 こちらは商業地域。
 桐生 円(きりゅう・まどか)は、【DSペンギン】たちをこの地域に集中動員して、イコン発掘を目指す。
 とはいえ、彼女が飼育するペンギンたちは100体に至る。
 ダウジングで目星をつけたなら、掘削、運搬、伝令、水分補給から、小腹が空いたらおやつとイワシを運び、おでんを煮込む。
 向日葵たちの住宅地域とは打って変わって、盛大な発掘現場となっている。
 とは言うものの、ダウジングは適当にL字棒をくいくいしているだけだし、重い岩はぺちぺち叩いて中の反響を聞くとか、ドリルを使っても振動に引っ張られて、あちこちをドドドとうろうろしているばかりだが……
 円の隣には【DSペンギン】【ミャンルー】【超人猿】を連れた祥子・リーブラ(さちこ・りーぶら)
 彼女は白蛇形態の宇都宮 義弘(うつのみや・よしひろ)に乗っている。

「ちょっと円。そんな調子で見つかるの?」
「ん〜?」
「掘ってるようで全然進んでないじゃない……」

 最近すっかり土木作業要員と化しているダイダル 卿(だいだる・きょう)だが、本人はそれほど気にする様子もなく腕をまくる。

「さぁて、わしも始めようかのう」

 祥子がダイダル卿の後ろに誰もいないのを見て、

「あれ? ハッチャンとクマチャンは? 男手総動員しないと進まないわよ……」
「仕方なかろうて。今日は察してやれい」

 とダイダル卿が言う。
 祥子は卿を見上げる。

「あら、優しいんですね」
「ふっふ。大人じゃからな」

 と言ったそばから卿は暗い目をして、

「でも……ホテル ダイダリオンは作ってもらえんかったがの……なんじゃい、アルテミスばっかり……」
「全然大人じゃないじゃないですか! もう、拗ねないでくださいよ。ちゃんと【DS級空飛ぶ円盤】作ったんですよ!
これダイダル卿の本体模してるんですから。高かったんですからね?」

 祥子はちょっとへこむダイダル卿のフォローに忙しい。

「ところでのう、祥子」
「なんです」
「こやつは何とかならんのかのう……」

 ここに着くまで、ダイダル卿の肩にしがみついているセルマ・フリューゲル(せるま・ふりゅーげる)

「このおじさん、めっちゃ逞しいうへへへへ……このがっちり筋肉にお髭ー。たまらんですねぇー……」

 セルマはよだれが出るのもそのままに、ダイダル卿の腕に頬ずりし、時々匂いも嗅いでいる。
 祥子は少しあきれながら、

「いや、知りませんよ。私のパートナーじゃないし……」
「この中に、こやつの保護者はいらっしゃいませんかのうー」

 と声をかけても、どうやらセルマの保護者の姿は見えない。
 仕方ないので、ダイダル卿はセルマを腕にくっつけたまま、全身に力を込め筋肉を肥大させる。

「ぬうううううん!」
「おほおおおおー! すごくー! 大きいですー!」

 セルマがどんどん妙なテンションになっていくので、ダイダル卿はやりづらい気分のままだ。
 ダイダル卿はそういえば手ごろな道具がなかったと思い、

「のう義弘、おぬしギフトなんじゃろ? ちと使わせてくれい」
「えー、僕? 僕の武器形態、日本刀だよー? 岩とか砕きにくいと思う」
「まぁ、素手よりはよかろうて」

 武器化した義弘を手に取り、ダイダル卿の筋肉がぶるぶると震える。
 その小刻みの震動を全身に受け、セルマは大変気持ちよさそうである。
 ダイダル卿の両腕は熱を持ち、セルマは、

「熱い! 熱いよぉぉお!」

 とか言って全然離れない。

「うおおおおおおおおお!!」

 ダイダル卿は渾身の力で踏み込み、義弘を横薙ぎに大きく振った。
 義弘の切っ先は弧を描き、波動がソニックブームとなって岩々を蹴散らす。
 ダイダル卿の目の前10数メートルは、扇状に邪魔な岩が払われ、更地状になった。
 遠くから、

「こらー! 危ないだろー!」

 と、誰かが文句を言う声がする。
 ダイダル卿は義弘の切っ先を地面に刺し、

「これで少し掘りやすくなるかのう」

 と、汗を拭いた。

「おおおおお……か、かっけぇ!」

 アルマ・フリューゲル(あるま・ふりゅーげる)は、ダイソウ トウ(だいそう・とう)の後ろで思わずつぶやき、目がキラキラと輝く。
 その一方でエメリヤン・ロッソー(えめりやん・ろっそー)はちょっぴり機嫌が悪い。
 いつものようにダイソウを載せたかと思うと、ちゃっかりアルマまで彼の背中に乗っているからだ。
 許した人しか載せたくないエメリヤンは、ここははっきり言って、アルマに降りてもらおうと思い、首を後ろに向ける。

「あああああ、あ、あの……」
「どうしたコクオウゴウ」

 ダイソウは、勝手に名付けた幹部名でエメリヤンを呼ぶ。

「ううううす、うし、うしろの……あの、おり、おrrり、る、て……」

 しゃべるのが極端に苦手なエメリヤンは、『ダイソウの後ろに乗っている知らない人は降りてほしい』が言えない。
 エメリヤンが口をぱくぱくさせている間に、

「あー! セルマ! どこに行ったかと思ったらー」

 アルマがエメリヤンから飛び降りて、走っていった。

「……で、どうしたのだコクオウゴウ」
「……」

 エメリヤンは黙って首を横に振った。

「もう辛抱たまらん! おじさん、結婚してください!」

 何らかの欲求が頂点に達したセルマはダイダル卿に求婚まで始める始末。

「おいおい、だべってないで、ちったあ仕事したらどうだぁ?」

 【ポータラカマスク】【機晶ゴーグル】【探索セット】【銃型HC弐式・N】などなど、ばっちり装備を固めている柊 恭也(ひいらぎ・きょうや)がやってきた。
 ダイソウがエメリヤンから降りる。

「ずいぶん本格的な装備だな」
「当たり前だろ。発掘なめんなよ。死亡事故とかシャレになんねえからな」

 セルマがくっついたままのダイダル卿が、恭也に歩み寄る。

「じゃが……ちゃんとメンテナンスしとるのか? ほこりまみれじゃぞ」
「おまえのせいだよ! 何で俺の方に向かってやるんだよ!」

 ダイダル卿が義弘を振るった先にたまたま立っていたらしく、早くもついてない恭也である。

「ていうかおまえら、なんだよその軽装! 発掘なめんなよ!」

 恭也はやつあたり気味にアルマの格好を叱る。
 アルマは【ハーフムーンロッド】をこつんと地面につき、

「オレの名前はアルマ・フリューゲル!」
「いや聞いてねえよ!」

 突然のアルマの自己紹介に、律義にツッコむ恭也。

「いろいろと話を聞いてダークサイズに入ることにしたぞ。協力してやろうじゃないか!」
「お、おう。そりゃ助かる」
「今日何するのかは知らないけど!」
「調べとけよ!」

 ダイダル卿の上で、セルマが名乗る。

「ボクはダークサイズに入っておじさんと結婚するよ!」
「そうなのかよ良かったな! 年の差とかいろいろ乗り越えられるといいな!」

 恭也のやっつけ気味なツッコミを、長原 淳二(ながはら・じゅんじ)が後ろから止める。

「まぁまぁ、恭也。新人さんなんですから」

 淳二はアルマを見て、

「俺は長原淳二。今日やることを教えてあげます。ついてきてください」

 淳二はアルマを連れ、発掘作業へ戻っていった。



☆★☆★☆



「ぱんだあああああ!」

 ダークサイズの怪人ぱんだ、朝霧 垂(あさぎり・しづり)は度重なるダークサイズの土木作業から、今やドリルでの穴掘りがマイブーム。
 【筍里】を振りまわして、地面を掘りに掘る。

「おおい! 無茶な掘り方すんな、あぶねえから!」

 戻ってきた恭也が垂に文句を言い、淳二が彼をたしなめる。

「まあまあ。新人さんなんですから」
「こいつ新人じゃねえだろ!」

 また、周囲の騒音を目をつぶってかき消し、神経を大地に集中させるレキ・フォートアウフ(れき・ふぉーとあうふ)

(1万年を超える大地の記憶は、スキルじゃ見つからないくらい風化しちゃうんだもんね。
それ以外の方法で見つけるべきだよ……
そう、きっと通常の方法じゃない何か……
ボクにはそれが分かってる……それは……)

 レキが薄く目を開く。

「それは、女の……勘!」

 彼女はカッと目を見開き、空高くジャンプ。

「ここだっ……!!」

 勘で狙いを定めた地点を、レキが突撃する。
 またそれが恭也が立っているすぐ脇だったため、

「どわあああ! あっぶねえだろおがああああ!」

 と、恭也はびっくりするやら怒るやら。
 そして淳二がたしなめる。

「まあまあ。新人さん何ですから」
「新人じゃねえだろって! ていうかこいつダークサイズに入ってねえって言ってたぞ!」

 そんな中また一チーム、ダークサイズに潜り込んでいるのが安芸宮 和輝(あきみや・かずき)
 黙々と地面を掘る和輝に、クレア・シルフィアミッド(くれあ・しるふぃあみっど)が人目を気にしながらささやく。

「和輝さん……私、やっぱり盗掘はよくないと思うんですが……」
「しっ! 今そんなこと言っちゃダメですよ。ダークサイズに聞かれたらどうするんです」

 世界をダークサイズの手に渡さない為、そして自分のイコンのパーツにする為、作業員のふりをして遺跡に潜り込んだ和輝たち。
 パーツ発掘に成功したら、こっそり持ち帰って自分湯に使おうという算段だ。
 クレアは和輝に口止めされ、しおらしく口をつぐむが、

「私もクレアさんには賛成なんですよ? でもダークサイズのニルヴァーナ支配を止めるには、これしかないんですよ……」

 安芸宮 稔(あきみや・みのる)も心ならずも盗掘するしかないのだと言い、
 安芸宮 ミサキ(あきみや・みさき)は、

「あの、拙者一応ギフトなんですが……あっちの日本刀のギフトさんみたいに派手に使ってもらえないんでしょうか……」

 と義弘を羨んで、地味な作業がちょっぴり不満らしい。
 和輝は人差し指を立てて声を抑えるよう注意しながら、

「とにかく、ダークサイズより先にイコンを掘り出すんです。蒼空学園に持ち帰って解析すれば、私たちが使えるようになるでしょう。
見つけるまでは、とにかく怪しまれないよう、余計なことは口にしてはいけません」
「わかりましたわ……」

 クレアは【神の目】を使って、採掘場所をもう少し明るく照らしてみる。

「ぱんだっ」
「きゃあ!」

 後ろから垂の声がして、クレアは驚いて振り返る。

「ぱんだ! ぱだんだぱんだー(おい! 明るすぎて眩しーぜ!)」
「(え、このぱんださん、何て言ってるんでしょう……なんか怒ってるっぽい……)ご、ごめんなさい」
「ぱぱんがぱんだ(それ使うの、もっと掘り進んでからにしてくれよなー)」

 垂がぶつぶつ言いながらドリルを肩に抱えて離れていく。
 もはや親方の貫禄だ。

「クレアさん! いきなり目立つことをしてどうするんです。もっと地味に」
「す、すみません、和輝さん。私、よかれと思って……」

 今度は遠くから神楽坂 翡翠(かぐらざか・ひすい)の声が聞こえる。

「みなさん、ご苦労さまです。ちょうどお昼時です。おにぎりと豚汁はいかがですか?」

 翡翠は【小型飛空艇【GC】】から、食べ物を次々に下ろしてくるのが見えた。
 クレアは和輝たちを見る。

「こ、この場合はどうしましょうか……」
「素直に休憩した方がいいですかね……」
「いや、一応新人の体ですから、後にした方が……」
「おいおまえら、こそこそ何やってんだ?」
『ぎく!』

 和輝達が声の主を見ると、ラルク・アントゥルース(らるく・あんとぅるーす)の巨体が彼らを見下ろしている。

(しまった! ばれた!)

 和輝達に緊張が走る。
 ラルクはあごをクイと振って、

「……なくなっても知らねえぞ」
「あ、え、な、何が……でしょう」
「メシだよ、メシ」
「ああ、そうですね……」

 新人育成係(?)を買って出ている淳二がまた通りかかる。
 淳二の後ろを、アルマがご飯目がけて走ってゆく。

「ラルク」
「ん、なんだよ」
「新人さんをいじめちゃダメじゃないですか」
「いじめてねえよ!」

 翡翠の出したケータリングを囲って、垂が何やらダイソウに激しくアピールしている。

「ぱ! ぱんだ! だいぱんだ、ぱんだぱん(あ、そうだ! ダイソウトウ、イコンが出来たら、俺にテストパイロットさせてくれよ!)」

 ダイソウは軍帽のつばから目を覗かせ、言い放つ。

「ならぬ……!」
「ぱぇ〜!(え〜!)」
「私の操作についてこれぬようでは、ダークサイズ用イコンとは言えぬ」
「ぱだだんだぱん!(おまえ単に下手なだけじゃん! ぶっ壊れちまうよ!)」
「ぱぱんがぱん(いやだ……!)」
「ぱんだー!(自分が操縦したいだけなんじゃねーか!)」

 垂がダイソウの頭に乗っかって彼の頬をひっぱり、テストパイロットをねだっている。
 その脇を抜けて翡翠はL字棒を持って、発掘場所の方へ歩いてゆく。
 片手におにぎりを持ったまま、やかんを傾けて水を口に流し込んでいるラルクがそれに気づく。

「翡翠、どこいくんだ?」
「イレイザーの記憶の欠片がこの辺りを示したとはいえ、まだずいぶん広いですからね。少しは目星がつけばと思いまして」

 と、翡翠は棒を振って見せる。

「おいおい、おまえ給仕ばっかりで食ってねえだろ」
「力仕事は苦手ですからね……自分がお手伝いできることといえば、これくらいですから」
「仕事熱心なやつだなぁ……あ! 仕事と言えばよ、ダイソウトウ」

 ラルクはやかんを置いてタバコに火を付け、垂を乗せたダイソウを見る。

「ぱんだ(なんだ)ラルク」
「俺にぱんだ語使うなよ。わかんねえから」
「そうだったな」
「ていうか、いつからぱんだ語定着してんだ? まぁいいや。いつもそうだが、こいつは大作業だよなぁ。
……ちゃんと給料出んのか?」
「…………給……料……?」
「……あぁ……」

 ダイソウは無表情のまま言い返したが、その言い方でラルクはだいたいのことを察した。
 が、ダイソウは目を閉じてラルクに言う。

「ラルクよ、見えぬか。すでに出ているではないか」
「給料がか?」
「うむ、この……おにぎりとか……豚汁とか……」
「待てこれ翡翠の差し入れだろ」
「イコンを自分たちで作り上げる……高揚感、とか……」
「……目に見えねえもん出してきちゃったな」

 ダイソウは目を開け、遠い目をして彼方を見る。

「そういう……あれだな。目に見えぬものを追うのが……夢というのだ……わかるか、ラルクよ」
「いや、俺給料の質問してたんだが……」
「ぱんだぱんだ! ぱだだだー(給料よこせー! テストパイロット権が給料な!)」

 垂がダイソウの頭の上で騒ぐと、

「では、作業再開だ……!」

 と、ダイソウはまったくごまかせていない感じで作業を指示した。
 ともあれ、ダイダル卿やラルクのパワータイプやペンギン部隊の人海戦術、恭也の生真面目な作業工程もあり、1万年分の地層を事故もなく深く掘り進み、ついに

ガチン

 と、固い金属音に到達する。
 それを中心に土や岩を取り払ってゆくと、

『おお……』

 破壊された部分はあるものの、錆や傷みのない、イコンの胴体部分のシルエットが現れた。
 いよいよ目の前に本物のイコンが引き上げられ、一同は歓声を上げる。
 みんなと一緒に土にまみれた翡翠が、今度はケーキや飲み物を出してくる。

「みなさん、やりましたね。祝杯をあげましょう」

 ここで見つかったのは、イコンの胴体部分のみ。
 どうやら、残りのパーツは他の所に埋まっているようだ。
 イレイザーにやられたとはいえ、すさまじい大破っぷりだ。
 他の地域への助勢に行きたいところだが、ひとまず祝いの席へと集まっていった。
 そして、

「みなさん、今です……!」

 和輝の号令で、クレア、稔、ミサキの暗躍が始まった。
 私的に使えるかは別として、この胴体部を持ち去ればダークサイズの野望は一気に潰えさせることができる。
 深い穴から引き上げられた胴体を見、和輝は稔を振り返った。

「さあ稔さん、プラヴァー・ステルスを……!」

 和輝は今こそ運搬用に取っておいたはずのイコンを動かすよう、指示。
 しかし、稔はきょとんとしている。

「え、プラヴァー・ステルスは和輝さんが持ってきてるんじゃないんですか?」
「え?」
「え?」
「クレアさん?」

 和輝に言われたクレアは、首をふるふるして、

「私は、何も聞いておりませんが……」
「み、ミサキさん」
「拙者はしがないカラスのギフトでして……」

 これでは肝心のパーツが運べない。

「おいこら! 何やってんだ!」
「ぎく!」

 コップを持った恭也が、彼らを後ろから叱る。
 和輝たちの体が思わず硬直する。

「あぶねえだろ! 事故があったらどうすんだよ!」
「す、すみません」
「ったくよぉ……でもまあ、おまえらもよくやってくれたよな……俺さあ、こう見えてもちゃんと考えてやってんだぜ……ひっく」
「あのう、酔ってます?」

 怒ったかと思うと愚痴っぽく和輝たちを労う恭也。
 今度は祥子がやってきた。

「ちょっとあなたたち! いつまでも飲んでないで、他のことのヘルプに行くわよ!」

 和輝たちは、人目が増えて来たのもあって、

(どうします? これじゃあイコンを持ち去れません……)
(仕方ありませんね……他のとこのイコンパーツも見て、盗み方を決めましょう……)
「盗むってなに?」
『ぎく!!』

 いつの間にか祥子が、和輝達のすぐ後ろまで来ていた。

「あなたたち……まさか……」
「いや、違うんです! 恭也さんが盗難防止のセキュリティを考えようって……」

 和輝がとっさに嘘をつく。
 祥子は良い気分でぶつぶつ言っている恭也を見て、

「あなた、そんな大事な話ふっといて、何一人で酔っ払ってんのよ! もういいから片付け手伝って! あなたたちも」
「いでででで! 何で俺が怒られんだよぉ!」

 恭也は耳を引っ張られて祥子に連れて行かれ、和輝たちもしぶしぶついてゆくのであった。