リアクション
数日後 某時刻 某所
「あなた方に興味がありましてね」
シャンバラのどこかにあるとある町。
そのカフェで中願寺 綾瀬(ちゅうがんじ・あやせ)はスミスに接触していた。
「興味、と仰いますと?」
「あなた方エッシェンバッハ派の、現時点での常識をはるかに超えた性能を持つイコンの数々に興味を持った。という意味です」
「貴方も我々の保有するイコン技術に興味をお持ちの方ですか」
すると綾瀬は何かに気付いたようだ。
「あなた『も』? ということは、私の他にもいらっしゃると?」
「ええ……どこの誰かは申し上げられませんが」
「なるほど。やはり私以外にもいましたか」
するとスミスは見透かしたように言う。
「イコン技術に興味をお持ちのようですが、それ以外にもあなたには興味がおありのようだ。イコン技術と同じくらいかそれ以上にね」
それに対しては綾瀬も小さく笑うだけだ。
「あら、お見通しでしたか。その通り――『偽りの大敵事件』はもとより、それに関してあなた方が握っている情報にも大いに興味がありますわ」
綾瀬が言うと、スミスは彼女と同じく小さく笑って頷いた。
「結構です。とはいえ、我々も機密性が必要とされる組織なのでね。いわば、いくらかの期間を以て貴方が信用できる相手かを見極めさせて頂きたく……というのが本音でしてね」
それには綾瀬もくすりと笑う。
「試用期間……というわけですか。別に構いませんわ。こんな面白そうなことに関われるのであれば、多少のことは問いませんの」
「これもあくまで組織の安全の為とご理解ください。貴方以外にも、そうした形で協力員として活動して頂いている方もいらっしゃいますので」
そこまで言うと、スミスは綾瀬がドレスとして纏う魔鎧――漆黒の ドレス(しっこくの・どれす)を褒めた。
「素敵なドレスですね」