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炬燵狂想曲

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炬燵狂想曲

リアクション

「遠野さーん。ここら辺の人々は炬燵から救出できました……ってあれ?」
 道の隅で転がっている炬燵から救出した人々を見ながら、フレンディスは歌菜達が居る方向を向いた。
 しかし、歌菜達は甚五郎と喋っており少し盛り上がっていそうな雰囲気に見えた。
「私達も行ってみましょうか」
「……いえ、話は終わったみたいですよ」
 耳をそばだてていたポチが歌菜達の会話の終了を聞いて、輪の中に行こうとしたフレンディスを立ち止らせた。
「あ、フレイさん。そこら辺に居た人達は救出出来ましたか?」
「ええ。目に見える範囲の炬燵に居た人は救出できましたよ」
「炬燵を壊して、これ以上被害が出ないようにしたほうがいいですよね」
「ええ、壊せるなら壊した方がいいと思います。……その前に海さんに電話をしてこちらの状況を報告します」
 ポチがフレンディスに炬燵を壊す事を提案すると、フレンディスはストップをかけながら携帯を取り出して海に電話をし始めた。
「……あ、海さん? 大通りの人達は大体救出できました」
「そうか。じゃあオレ達もそっちに行くよ。丁度雅羅が炬燵から救出出来た所だから」
「ええ。市場の近くで待っていますね」
 フレンディスが携帯を切ると、海達がこちらに来ると皆に伝えた。
「それじゃあ、私達は海達が来るまで猫化した人達を眠らせておきましょう」
 歌菜は火鉢に入っていた炭の火を消すと、得意の子守唄でフレンディスが取りこぼした人々を眠らせようと息を吸ったのだが……子守唄の声が出る事は無かった。
「……唄が聞こえないな」
 耳に手を当てて聞いていたベルクが突っ込みを入れる。
「ベルク、ちょっと俺の眼を見てくれ」
 羽純がベルクに言うと、ベルクは羽純の眼を見つめる。
……十秒立っても何も起こらないベルクの様子に羽純は目を逸らすと、
「俺のヒプノシスも使えないようだ……」
「……はぁ。私達焼き魚を作るだけで役に立っていないですよね」
 歌菜はそう言うと、肩を落とした。
「えっ……いや遠野さん達は十分役に立っていると私は思いますけど……」
「ああ。歌菜と羽純は十分役に立ってるじゃないか。眠らせる手段が駄目になったんならヒプノシスと子守唄が使える他の人を探せばいいんだし」
 な?っとベルクが落ち込みはじめた歌菜と羽純のフォローを言った。
「ふふー、この優秀なハイテク忍犬の僕の出番のようですね。ご主人様、お任せ下さい!」
 今がチャンス! とばかりにポチはそう言うと、近くにあった炬燵をテクノパシーで壊そうと念を発した。……のだが。
「こんな炬燵なんかにゃ…負けません…にゃ!?」
ポチはフレンディスが炬燵から人を引っ張り上げた際にできる布団穴の事には注意が要っておらず、穴から出て来た炬燵熱をまともに浴びてしまい炬燵の中へと入ってしまった。
「ちょっと! ポチー!!」
 猫のようにだらけたポチを見てフレンディスは、ポチの名前を叫びながら涙を流したのだった。

その後、海達が来ると皆で大量に出来た焼き魚を食べながらああでもない。こうでもない。と炬燵の撤去方法を模索し始めた。
夕方ぐらいになると、家電量販店で救出し終わった甚五郎達も加わり議論が白熱したのだが……
「……結局、良い案は無かったな」
 深い深いため息を海はつくと、焼き魚の残骸をゴミ袋に入れた。
「まぁ、とりあえず眠らせれば炬燵から救出できるんだし、その方法だけでも見つかってよかったじゃないか」
「そうだぜ。その方法も各学園のBBSに書いたんだし。他にあの炬燵を買って困ってたやつ等からありがとうっていうお礼のレスがわんさか来てるんだしな」
 深いため息をついた海を励ますように三月とベルクは言う。
「後は春まで炬燵をそのままにしないといけないなんて……」
「テクノパシーで壊しても、炬燵の足が動かないとなると放置が一番ですよね」
 フレンディスとポチが議論のまとめを言うと、皆が一斉に頷いた。
「それじゃあ、休憩もできたし皆で救出再開だ!」
 海は立ち上がると、気合いを入れるために拳を振り上げた。皆も立ち上がり拳を上げると、ツァンダの各地区へ救出しに向かったのだった。

三月下旬――

季節は春まじかになり、所々桜も咲き始めた暖かいある日。
 雅羅は海と共にテレビのニュースを見ていると、レポーターが街に放置されていた炬燵を撤去する業者の人と、撤去された炬燵がトラックに山積みになっている中継をしていた。
「あの炬燵、春になったから足が動くようになったみたいね」
「本当かい? にしても、もう炬燵と猫はこりごりだよ……」
二人はテレビ画面から目を逸らすと、同時にため息をついたのだった。

担当マスターより

▼担当マスター

菊池五郎

▼マスターコメント

●綾瀬亜紀GM

 参加された皆さんお疲れさまでした。

 こんにちは。もしくはこんばんは。
 今回街パートを担当しました綾瀬です。

 今回のシナリオは山と街が舞台だったのですが、
 人数の調整で何人か山希望の人達が街に移動しています。
 山希望の人達ごめんなさい。
 ですが、アクションはなるべくそのままで行けるように調整しました。

 皆さんのアクションを見ていると、根本を立つという意見が多かったですね。
 結果は……なんですけどね。
 またの機会に会えるのを楽しみにしています。

 ……近々何かやるかもしれません。




●寺岡志乃GM

 こんにちは、寺岡です。
 このたびは『炬燵狂想曲』にご参加いただきまして、ありがとうございました。(と、ちょっといつもと変えてみる)

 たしかこの企画、一番最初は「バレンタインで合同シナを出そう」から始まったんですよね。
 それがどうしてこうなった?
 ガイドを考えていると、最終的に違うものになっているというのは、よくあることではあるんですけどね(笑)

 今回も皆さんの多彩なアクションで笑わせていただきました! コメディシナリオは本当にこういうところが面白いです。
 また皆さんに笑わせていただくために、コメディをしたいですねー。

 でも次回からはシリアス。東カナンで全3回します。
 ジャンルは冒険。ガイドを見て、面白そうと思われましたらぜひご参加いただけたらと思います。


 それでは、ここまでご読了いただきまして、ありがとうございました。
 次回『魔女が目覚める黄昏』でもまたお会いできたらとてもうれしいです。
 もちろん、まだ一度もお会いできていない方ともお会いできたらいいなぁ、と思います。

 それでは。また。