天御柱学院へ

蒼空学園

校長室

イルミンスール魔法学校へ

砦に侵入するは女体化男子!?

リアクション公開中!

砦に侵入するは女体化男子!?

リアクション


よし。反撃しよう

 牢屋とは別の部屋では飲めや歌えの宴会状態である。
 その空間で芭柘美とアリアンナ・コッソット(ありあんな・こっそっと)がダオザの面々に酒注ぎをしていた。
 彼らの視覚的なツマミは『天空騎士』と畏れられるタシガン空峡の義賊、『シャーウッドの森』空賊団たちの拘束された姿。
 中でも屈辱に顔をゆがませているのは、拘束されたリネン・エルフト(りねん・えるふと)ユーベル・キャリバーン(ゆーべる・きゃりばーん)フェイミィ・オルトリンデ(ふぇいみぃ・おるとりんで)である。

「この私がこんな外道なんかに……!」
「手出しできないとわかって乱暴を働くなど……恥を知りなさい!」
「くそ……卑怯者め……!」
「くく……あの天空騎士をこうして見ながら飲む酒は格別だなぁ」

 にやにや笑う男や酔っぱらって芭柘美とアリアンナに絡む男たち。

「(抱きつかれるならフェリ兄が良いのに)そうだね。おにぃちゃんたちってホントすごーい!」
「だろだろ? あいつが剣の花嫁だってことを忘れてなかったんだぜ!」

 芭柘美が現在酒注ぎをしている男に嫌悪感を隠しながら接していると、調子に乗った男がユーベルの光条兵器を奪った時のいきさつをべらべら話し始めた。

「(そんな話まったく面白くもすごくもないと思うのはうちだけなのかなー?)」
「(フツーにしてても女が寄って来ないからって攫ってきた子に、自慢でも何でもない事を言ってるなんて、さびしー人生だね♪)」

 酒の相手をしながら、内心で馬鹿にしながら、時を待つ芭柘美とアリアンナ。
 そこへ、女装したロレンツォ・バルトーリ(ろれんつぉ・ばるとーり)を連れてきた下っ端が現れる。

「お、長髪美人がきたな。お前はオレの相手をしてもらおうか」
「あ、それなら私もお相手させていただくわ」

 芭柘美の近くで別の男を相手にしていたアリアンナは、ロレンツォの傍によって酌の相手に名乗り出た。



◇          ◇          ◇




 全体的に酒臭い空間になった宴会場に突如下っ端が勢いよくなだれ込んで来た。

「た、大変です! 砦外で応戦していた仲間が全滅しました!!」
「な、なに!? あっちには数十人単位で何度もやったんだぞ!」

 下っ端の報告に動揺するダオザのメンバー。
 そこへバキィッという何かを破壊した音が聴こえてくる。

 なにがあったかと固まっているダオザに、拘束されていたハズのフェイミィがセラミックフォースで強化された裸拳によって吹っ飛ばされた。

「な、なぜ拘束帯が!?」
「さぁ、反撃と行かせてもらうぜ?」
「サービスタイムは終わりよ……現実に絶望しなさい」

 リネンは胸の谷間の奥に隠していた騎獣格納の護符からアーリエの剣を取り出し、エアリアルレイヴをかます。

 あちらではフェイミィの裸拳が、こちらではリネンのエアリアルレイヴがと辺りは一気に戦場と化した。
 徹底的に残忍に、見せしめも兼ねて晒し刑にしてやるという勢いで次々に倒していく二人。

「げぶっ!?」

 フェイミィとリネンの暴れ具合にダオザの目がそちらへ行った時、アリアンナは近くに居た男の股間を思い切り蹴り上げた。
 痛みに撃沈した男から離れ、ロレンツォに自分の身体の中から取り出した光条兵器を渡すアリアンナ。

「あちらの光条兵器は奪ったのに、私の光条兵器を奪わないなんて間抜けだこと」
「もう一生子供ができない身体にされてしまうかもアルね、アリアンナが相手だと。脚力、すごく強いモノ」

 受け取った長剣型の光条兵器でさくさくとダオザの服を切ったり、一部切らずに残したりと動きを鈍くさせていったロレンツォ。

「あいつの光条兵器を奪うのは忘れたが、こっちの方の武器はこっちにあるんだぜ? 剣がない花嫁なんて無力だろ。あははは!」
「あら、残念でしたわね」

 ユーベルは微笑んで油断している男に向かってサンダーブラストを放った。
 騒動の隙に芭柘美はダオザの面々が食していた食器の中からテーブルナイフをいくつかスって毒を塗っておく。
 それを身体のあちこちに仕込んでいた所、押されていたダオザが芭柘美の首にナイフを突き立てた。

「う、動くな! このチビがどうなっても良いのか!?」
「……ちっこくて悪かったね!」

 自分でも気にしていた背が小さい事を言われキレた芭柘美は、先制攻撃をもって毒付きナイフで傷を付ける。
 そして追い打ちのようにリネンが真空波で思い切りその男を切り倒した。

……………
      ……………

 あらかた片し終え、ダオザの山が出来あがる。

「あーすっきりした!」
「これくらい痛めつけておけば、女性に触りたいと思うこともないわね」
「ハーレムなんて分不相応な望み、潰えたかしら?」
「ともあれ、女性は、口説くものであって攫うもの、ナイよ。はじめから方向性間違ってる! 暴力ずくなんて野蛮人のすることだし、そもそも駆け引きの楽しみも味わえないヨ」

 好き勝手言い合う即席の仲間に、芭柘美は子供たちの救助へ行く為に彼女らと別れた。