リアクション
選手紹介 「こっちむいてくださーい」 「はーい」 「だきあってくださーい」 「はーい」 「キスしてー」 「むふーっ」 スタート地点のそばでは、水着を着たレースクイーンの綾原 さゆみ(あやはら・さゆみ)とアデリーヌ・シャントルイユ(あでりーぬ・しゃんとるいゆ)がカメコたちの要求に合わせて、いろいろとポーズをとっていた。 綾原さゆみはクロスしたホルターネックの白いビキニ、それもパンツの方はかなり大胆にカットの入ったハイレグだ。アデリーヌ・シャントルイユの方も、お揃いの青い水着を着ている。 「えー、今度はそんなポーズを〜♪ もちろん、大丈夫よ。こうかな、アディ」 「こ、こうですか……」 まだ少しはにかみながらも、結局慣れてしまったのか、アデリーヌ・シャントルイユが綾原さゆみと四肢を絡ませるような艶めかしいポーズをとった。 ★ ★ ★ 『さあ、そろそろスタートの時間が近づいて参りました、第2回新ジェイダス杯。今回は、舞台をエリュシオン帝国に移しまして、帝都ユグドラシル内の障害物レースというレギュレーションで開催されます。それでは、参加選手を御紹介いたしましょう』 放送席にいるシャレード・ムーン(しゃれーど・むーん)の声が響き、スタート地点に待機した各選手が紹介され始めた。 『エントリーナンバー1。緋桜ケイ選手。タイムウォーカーに乗っての参戦です。レポーターの大谷文美さん、インタビューお願いいたします』 『はい、こちらスタート地点ですう。それでは、各選手の方々に意気込みを聞いていきたいと思いますう』 そう言うと、ジェイムス・ターロンの運転する小型飛空艇の後ろに乗った大谷文美が、タイムウォーカーに乗った緋桜ケイにマイクをむけた。スタート地点からすでに空中のため、各選手はすでに乗り物に乗って滞空している。 『ジェイダス杯は、新旧合わせて5回目の参加になるので、今度こそ優勝したい。へたな小細工はせず、正々堂々と正面から勝負だ』 今まで上位に食い込んだことはないようなので、今回は特に力が入っているようだ。 『気合いが入っていますう。ライバルとして、マークしている選手とかはあ、いますかあ?』 『前回優勝者の天城一輝選手は要注意だと思っている。負けないように頑張るぜ』 ちらりと天城一輝の方に視線を走らせてから、緋桜ケイが大谷文美に答えた。 『以上、優勝に燃える緋桜ケイ選手でした。マイク、放送席にお返しいたしますう』 『はーい、ありがとうございました。それでは、エントリナンバー2、悠久ノ カナタ(とわの・かなた)選手です。こちらは、空飛ぶ箒に乗っての参加です』 シャレード・ムーンの紹介で、カメラが悠久ノカナタに切り替わる。 「ふふふ、華麗に舞って見せようぞ」 和服を着た悠久ノカナタは、空飛ぶ箒におしとやかに横座りをして、何か思惑を秘めた笑みを浮かべていた。 『続いて、エントリーナンバー3、ソア・ウェンボリス選手。速度に優れた空飛ぶ箒スパロウで勝負に出ます』 「ベアには負けないですからね。今日はライバル同士です。手は抜きません。今度こそ完走を目指します!」 ソア・ウェンボリスが、隣に浮遊している雪国 ベア(ゆきぐに・べあ)に言った。 「ふっ、受けてたつぜ、御主人!」 小型飛空艇ヘリファルテのフロントカウルに咆哮する白熊が描かれた白熊爆風丸に乗った雪国ベアがポーズをつけて答えた。 前回のジェイダス杯では、調子に乗って嵐に突っ込んでしまったので、今回はその汚名を返上するために燃えている。 『エントリーナンバー4、雪国ベア選手。愛車の白熊爆風丸に乗っての参戦です。 エントリーナンバー5、小鳥遊美羽選手。Sインテグラルナイトという、強力な乗機でトップを目指します。しかし、なぜ、冷凍マグロをかかえているのでしょうか。 エントリーナンバー6のベアトリーチェ・アイブリンガー選手と、エントリーナンバー7のコハク・ソーロッド選手は、お揃いのワイルドペガサス・グランツでの参加です。扱い方次第で、高速が見込めます。 続いて、エントリーナンバー8は、清泉北都選手。こちらは、小回りの利く空飛ぶ箒スパロウでの参加となります』 シャレード・ムーンに紹介されて、執事姿の清泉北都が、観客たちに丁寧に一礼した。 『エントリーナンバー9、クナイ・アヤシ(くない・あやし)選手はレッサーワイバーンのレイ君で参戦です』 『相手が誰であれ、全力で勝ちにいきます。もちろん、北都が相手でも。たまには、お互いのテクニックを高め合うのも悪くはないでしょう。いつも、ベッドの上ではおたがいにテク……うぐ……っ!?』 大谷文美のインタビューに答えていたクナイ・アヤシが、いつの間にか箒を寄せてきていた清泉北都の蹴りを受けて口を塞がれた。あわやレッサーワイバーンから落ちてスタート前に失格になりそうになるのを、なんとか踏ん張って耐える。 『さあ、次はエントリーナンバー10、南鮪選手。補陀落科数刃衣躯馬猪駆での参加です。なんだか、トゲトゲしたバイクですが、どこで作ったのでしょうか? 雰囲気はともかく、なんだか速そうです』 『ヒャッハァ〜! この最新型のスパイクバイクの威力を見せてやるぜ。優勝したらここにあるパンツは全て俺の物だァ〜! そして特別に誰か丸ごと拉致してやるぜ!』 『ひ〜』 南鮪にマイクをむけた大谷文美だったが、あわてて胸を押さえるとジェイムス・ターロンに早く次の選手の所に行ってくださいと懇願した。 『続いては、エントリーナンバー11、ハーリー・デビットソン(はーりー・でびっとそん)選手です。フライングボードに乗っての参戦です。前大会のような、超絶加速を今回も披露できるのでしょうか』 『ええっとお、レースに対する抱負とかあ……』 『ドルン、ドルン、ドルンッ!!』 『以上、ハーリー・デビットソン選手でしたあ』 マイクをむけられても、ハーリー・デビットソンはエンジン音で答えるだけであった。 『エントリーナンバー12は、秋月 葵(あきづき・あおい)選手です。乗るのは、おっきなハミングバードです』 「そろそろ出番だよねっ。変身!」 空飛ぶ魔法↑↑で空中に浮かんでいた秋月葵が、その場で伸身の宙返りを打った。集まってくる謎の光の中で、来ていた百合園女学院の制服が弾け、胸と腰の所が眩しく輝いた。その光が、白とブルーのミニスカートと、マイクロベストに変化する。流れるように左右に広がった髪を青いリボンがしゅるんと結ぶと、秋月葵がスカートを広げながらゆっくりとユグドラシル内壁へとむかって落ち始めた。 「ぴろろろろろー♪」 そこへ、おっきなハミングバードが飛来する。 しゅたっと、秋月葵がおっきなハミングバードの上に降り立った。 「突撃魔法少女リリカルあおい、可愛いは正義なんだよ♪」 決めポーズをとって、秋月葵が言った。 『続く、エントリーナンバー13は、フォン・ユンツト著 『無名祭祀書』(ゆんつとちょ・むめいさいししょ)選手です。ノーマルの空飛ぶ箒に乗っての参戦です』 『優勝して、お姉様に褒めてもらうですよー!』 『同名魔道書シリーズの代表として、頑張ってもらいたいものですね。 さて、エントリーナンバー14は、佐々木 弥十郎(ささき・やじゅうろう)選手です。今度こそ優勝するために、人知れず訓練を積んできたとのことですが、はたしてどうなるでしょうか。スピードの出るサンタの箒という珍しい物に乗っての参加です。 |
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