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【祓魔師】災厄をもたらす魂の開放・序章

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【祓魔師】災厄をもたらす魂の開放・序章

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第10章 アイデア術の考案再び!

 引き続き参加として、地下訓練場へ集まった者は数人だった。
「先に唱えた術はまっすぐに飛ばして。その後に、形態変化させた術をハンマーみたく山なりに落下させて、いつ放たれたか分からないやつどうかな?」
 警戒を疎かにしている隙に祓うのはどうだろうかとコレット・パームラズ(これっと・ぱーむらず)が言う。
「アイデア術…なのか?」
 コレットの説明に樹はハテナと首を傾げた。
「うん、そうだよ!」
「使うものは何か考えているのだろうか」
「どっちも哀切の章だね」
「それは術の扱い方を工夫しただけだな。哀切の章を使う者が2人以上、もしくは白の衝撃があれば1人でできることだと思うぞ」
 他者と協力しあって発動するアイデア術でなくともよいのでは?…と説明した。
「あう〜っ、そんなぁ」
 それは違うと教えられ、しょんぼりとする。
「教授殿、現実的に言って、どんな技が出来そうなんだ?」
「守りならハンドベルを媒体に、周りにいる仲間を石化と猛毒にかかりにくくして、混乱状態などの精神状態を正常に戻すとかね」
「ハンドベルか。クローリスを召喚する必要があるな」
 樹も持っていれば、エキノを使って発動できそうだ。
「―…あぁっ、鬱陶しい。主バカ魔鎧、私を見るなっ!!」
 クローリスという単語に反応したアウレウスの視線に気づき、彼に向かって怒鳴り散らす。
 それでも怯むことなく彼は、じーっと樹を見続ける。
 ウィオラもすぐ隣で彼女を見る。
「その術を、試してみないのか?」
「何だと…主バカ魔鎧」
「ハンドベルならここにある。それとウィオラはクローリスだ」
 発動に至る一部の能力なら目の前にある。
 遠まわしに“試さないか?”というふうに、樹へだんだんと近づいていく。
「そんな顔をして、私に寄るなっ」
 いつでもokだと言いたげな面持ちで接近するアウレウスから離れた。
「準備が整い次第、エリドゥ方面へ向かうことになる。その前に…どうだ?」
「僕としては、防御の術式がほしいのだけどね」
「目の前の可能性を、なぜ試そうとしない!」
 やる気をみなぎらせたアウレウスは力強く拳を握った。
「えーっと、例えで言っただけなんだけど、そういう意味じゃなかったのかな。これからどんな術を試すか、話すんじゃないのかい?」
 “どんな術が使えそうか”と…、“使える・考えてほしい”では意味が違う。
 なぜ、試そうとしているのか困惑する。
「これだというものが、なかなか思いつかなくってな」
 イメージしやすいように例え話をしたラスコットに、考えているのだけど思い浮かばないと言う。
「ならば、今だろう!!」
「そこまで言われちゃうとなぁ」
 章は仕方ないなぁ…と思いながら、へらっと笑った。



「猛毒の耐性とは、どこまでの進行のことを示すんだ?エキノ」
 アークソウル耐性力と、クローリスの解毒力を合わせた耐性について樹が聞く。
「はい、かか様。腐敗毒の手前までなら!最初からそこまで能力を発揮できるかは、実際試してみないといけませんっ」
「ふむ…それはどうだ」
「かか様がハンドベルを持っていないため、うちが主としてお力になれないのが悔しいです!!」
 もっと樹のために力になりたいエキノは、悔しそうにぱたぱた騒ぐ。
「エリザベート校長先生、使い魔をいったん帰還させてからのほうがよいでしょうか?」
「使い魔に魔道具の能力を送って、発動するものじゃないなら帰還させなくても大丈夫ですよぉ♪」
「分かりました。…じゃあ皆、始めるよ!アウレウスくん、術が発動されるまでハンドベルを鳴らしていてもらえる?」
「承知した!」
 主の力になるため、素直に章の言葉に応じた。
「他の人たちは、先に宝石の力を使っていたっけ。グラキエスくん。アウレウスくんのハンドベルにお願いね」
「(一度に送っては、適応が遅くなりそうだ。1つずつがいいか)」
 グラキエスは静かに祈り、アークソウルの耐性力エアロソウルの風を巻き起こす力を順番に、ハンドベルへ送り込む。
 カラン、カララーン、カラーンッ。
 大地と風の魔力が、涼やかな音色に引き寄せられていく。
「エルデネストくんはホーリーソウルを。あのー?聞こえているかな…」
 何度呼びかけてもエルデネストは浄化の宝石を使おうとせず、返事も返してこない。
「送った能力が消えないうちに頼む、エルデネスト。仲間の言葉も聞き入れてほしい…」
「かしこまりました、グラキエス様の頼みとあれば」
 彼の頼みには当然のように応じて微笑んだ。
「スペルブックを使う僕たちは哀切の章を唱えて、樹ちゃんはエキノ君の猛毒に対する部分ね」
「親父、同時でもいいのかよ?」
「同じ種類の章だけど、ちょっとだけ遅れて詠唱してもらえる?同時じゃ吸収力が悪くなっちゃいそうだよ」
 一度に送り込んでしまうと、適応処理が遅くなってしまうかもと言う。
「おうっ。んじゃ俺は、親父の後な」
「(さて、上手くいけばいいんだけどね)」
 そう心の中で呟き、章は哀切の章を唱える。
 彼に続いて太壱も唱え始める。
「エキノ、お前の力を見せてみろ」
「はい、かか様っ」
 樹の言葉にエキノは喜々として、頭の天辺に咲かせた。
 舞い散った花びらがハンドベルに触れた瞬間、スゥ…ッと溶け込んでいくと…。
 魔道具の音色と共に、ウィオラは透き通った声音で歌い始める。
 ハンドベルから温かな光の風がそよぎ、彼女の歌声に乗せて広がっていた。
「キレイな歌声だ…、聞いていると気分が落ち着いてくる」
 涼やかな声にグラキエスの精神が安らいでいく。
 ウィオラが口を閉じると、そよいでいた風も止まった。
「見ましたか、主!これが私たちの新たな術です!!」
「あぁ…。アイデア術は本当に、工夫次第でいろいろできそうだな」
 アウレウスの喜ぶ様子にグラキエスも思わず微笑む。
 それと同時に、もっといろんな方向性で考案してみたい、などと無邪気な子供のような一面も見せる。
「お袋、親父。こういう考案の仕方すればいいんじゃねぇ?」
「互いの魔道具の力が、上手く作用しあうことでできるのだな」
「元々の能力にないことや、なんでもかんでも混ぜるのはアウトだよね。発動までの速度が遅すぎるのは、使い勝手が悪いからさ」
 長々と護衛してもらっているうちに、仲間が危機に陥ってしまうものは使えないも同然だと言う。
「アイデア術って、別々の魔道具の力を引き出し合うものみたい、オヤブン」
「今回は残念だったが。また次、頑張ればいい」
 気落ちしているコレットに、一輝は励ましの言葉をかけた。
「目的に合わせた効力を考えてからなのですね。とても奥が深いですわ」
 オメガは興味津々に、術の成功まで至った様子を見ていた。
「そろそろ提案してもらった魔道具とスキルの、実用化について考えなきゃなのですがぁ〜」
「あ、はい。ありがとうございました!」
 章は丁寧に礼を言い、樹やグラキエスたちと地下訓練場から退室した。
「現地集合ということでいいのか?」
「いったんエリドゥの町の前で集合ですねぇ。そこからそれぞれのポジションエリアへ移動してもらう予定ですぅ〜」
「そうか。近いうちに集合するということだよな」
「えぇ。その時はお願いしますぅ♪私たちは準備よりも先に、やらなきゃいけないことがありますからぁ。ここの扉の鍵を閉めちゃいますねぇ〜」
 一輝とコレットが退室した後。
 エリザベートとラスコットも地下訓練場を出た。
 祓魔師たちに考案してもらったものを実用化すべく、校長室へと戻っていった。

担当マスターより

▼担当マスター

按条境一

▼マスターコメント

皆様、大変お待たせいたしました。
次回は、エリドゥ方面からスタートとなります。

考案していただいた魔道具とスキルに関しましては、運営側で調節することがあります。



前回、魔道具の能力が上昇した方々、アイデア術について下記に記載させていただきました。

●敬称略

■涼介・フォレスト

・ホーリーソウルII
呪術の解除:重度の呪術を治療しやすくなる。
呪術にかかった対象から、やや離れた位置(1m程度)で解呪を行える。


■ミリィ・フォレスト

・アークソウルI
探知範囲:自分を中心に、最大周囲100mに拡大。

・ホーリーソウルII、アークソウルI
呪術の解除/探知範囲:呪術を治療しながら、自分を中心に最大周囲80mまで探知可能。
闇黒属性への抵抗力:自分を中心に50mの範囲にいる仲間のみ、闇黒属性への抵抗力をさらに高める。


■ソーマ・アルジェント
・アークソウルI
探知能力:生物に憑依していない霊、魔性のみを探知しやすくなる。
探知範囲:自分を中心に、最大周囲60mに拡大。
闇黒属性への抵抗力:自分を中心に20mの範囲にいる仲間のみ、闇黒属性への抵抗力をさらに高める。


■草薙 羽純
・アークソウルI
探知範囲:自分を中心に、最大周囲80mに拡大。


■ルルゥ・メルクリウス
・アークソウルI
探知能力:生物に憑依していない霊、魔性のみを探知しやすくなる。
探知範囲:自分を中心に、最大周囲60mに拡大。
闇黒属性への抵抗力:自分を中心に20mの範囲にいる仲間のみ、闇黒属性への抵抗力をさらに高める。


■セシリア・ノーバディ
・アークソウルI
探知能力:生物に憑依していない霊、魔性のみを探知しやすくなる。
探知範囲:自分を中心に、最大周囲60mに拡大。
闇黒属性への抵抗力:自分を中心に20mの範囲にいる仲間のみ、闇黒属性への抵抗力をさらに高める。


■賈思キョウ著 『斉民要術』

・エターナルソウルI
▼瞬間的に上昇
最高時速(効果対象1人の場合):240kmまで、飛行・歩行等のスピードを加速させる。
発動限度:20秒。(瞬間的効果/10kmプラス40km)
対象が1人増えるごとに、発動限度10秒減少する。

最高時速(効果対象2人の場合):210kmまで、飛行・歩行等のスピードを加速させる。
発動限度:40秒。(瞬間的効果/10kmプラス10km)
対象が1人増えるごとに、発動限度10秒減少する。

▼長く持続させる場合
時速(効果対象1人の場合):190km、飛行・歩行等のスピードを加速させる。
速度上昇、対象の人数によって、疲労感・精神力の負担が増減する。
発動限度(効果対象1人の場合):20分間。(速度上昇/20分÷2km)


■佐々木 弥十郎

・アークソウルソウルI
探知範囲:自分を中心に、最大周囲150mに拡大。
闇黒属性への抵抗力:自分を中心に60mの範囲にいる仲間のみ、闇黒属性への抵抗力をさらに高める。

・祓魔銃
射程範囲:前方向に10m
射程距離:前方向に15m(対象が1体の場合)


■七枷 陣

・エターナルソウルI
▼瞬間的に上昇
最高時速(効果対象1人の場合):200kmまで、飛行・歩行等のスピードを加速させる。
発動限度:20秒。(瞬間的効果/10kmプラス30km)
対象が1人増えるごとに、発動限度10秒減少する。

最高時速(効果対象2人の場合):180kmまで、飛行・歩行等のスピードを加速させる。
発動限度:40秒。(瞬間的効果/10kmプラス10km)
対象が1人増えるごとに、発動限度10秒減少する。

▼長く持続させる場合
時速(効果対象1人の場合):160km、飛行・歩行等のスピードを加速させる。
速度上昇、対象の人数によって、疲労感・精神力の負担が増減する。
発動限度(効果対象1人の場合):20分間。(速度上昇/20分÷2km)


■リーズ・ディライド
・アークソウルソウルI
探知範囲:自分を中心に、最大周囲40mに拡大。


■遠野 歌菜
・ホーリーソウルII
呪術の解除:重度の呪術を治療しやすくなる。


■ベルク・ウェルナート
・ホーリーソウルII
呪術の解除:重度の呪術を治療しやすくなる。

・アークソウルソウルI
探知範囲:自分を中心に、最大周囲120mに拡大。
闇黒属性への抵抗力:自分を中心に60mの範囲にいる仲間のみ、闇黒属性への抵抗力をさらに高める。

・エターナルソウルI
▼瞬間的に上昇
最高時速(効果対象1人の場合):240kmまで、飛行・歩行等のスピードを加速させる。
発動限度:20秒。(瞬間的効果/10kmプラス40km)
対象が1人増えるごとに、発動限度10秒減少する。

最高時速(効果対象2人の場合):190kmまで、飛行・歩行等のスピードを加速させる。
発動限度:40秒。(瞬間的効果/10kmプラス10km)
対象が1人増えるごとに、発動限度10秒減少する。

▼長く持続させる場合
時速(効果対象1人の場合):170km、飛行・歩行等のスピードを加速させる。
速度上昇、対象の人数によって、疲労感・精神力の負担が増減する。
発動限度(効果対象1人の場合):20分間。(速度上昇/20分÷2km)


■フレデリカ・ベレッタ
・アークソウルソウルI
探知範囲:自分を中心に、最大周囲100mに拡大。


■ルイーザ・レイシュタイン
・ホーリーソウルII
呪術の解除:重度の呪術を治療しやすくなる。


■アウレウス・アルゲンテウス

・ウィオラ
1度の精神力の消耗で、香りの効果が届く範囲:クローリスを中心に、周囲25mまでに拡大。
香りの拡散は、香りを発生させた際に消耗した精神力の、半分程度の消耗で可能。
香水:生成時間・1瓶×3分、1瓶につき3回まで使用可能。
   持続時間は1回につき、10分。
クローリスの花で香水を生成し、呪術に対する抵抗力を得る。


■エース・ラグランツ

・アーリア
1度の精神力の消耗で、香りの効果が届く範囲:クローリスを中心に、周囲25mまでに拡大。
香りの拡散は、香りを発生させた際に消耗した精神力の、半分程度の消耗で可能。
香水:生成時間・1瓶×3分、1瓶につき3回まで使用可能。
   持続時間は1回につき、10分。
クローリスの花で香水を生成し、呪術に対する抵抗力を得る。


■緒方 樹

・エキノ
1度の精神力の消耗で、香りの効果が届く範囲:クローリスを中心に、周囲25mまでに拡大。
香りの拡散は、香りを発生させた際に消耗した精神力の、半分程度の消耗で可能。
香水:生成時間・1瓶×3分、1瓶につき3回まで使用可能。
   持続時間は1回につき、10分。
クローリスの花で香水を生成し、呪術に対する抵抗力を得る。


■五月葉 終夏

・スー
呪術の抵抗力:中級の霊、魔性などによる呪いの抵抗力が強くなる。
上級の霊、魔性などによる呪いの抵抗力を高める。



■術名:セイクリッド・ハウル/和名:聖なる雄叫び

メンバー:七枷 陣/ジュディ・ディライド/仲瀬 磁楠/遠野 歌菜
     月崎 羽純/カティヤ・セラート(計6名)

・魔道具
ハイリヒ・バイベル:裁きの章II/哀切の章II/悔悟の章I
エレメンタルケイジ:エアロソウルLvII/アークソウルLvI/フレアソウルLvI
          ホーリーソウルLvII
エレメンタルリング
術者能力:エクソシスト・メイジ以上の称号を持つ者(裁きの章II、1人以上)

・発動条件、詳細内容
※(祓魔師たちの休息1をご参照ください)

・上昇能力
※術の効果を受けた者のみ。
霊や魔性などを、自分を中心に50mまで探知可能。
咆哮距離、前方に30mまで可能。


■術名:ヴィント・リートシュティンメ/和名:風の歌声

メンバー:緒方 樹/緒方 章/緒方 太壱/グラキエス・エンドロア
     エルデネスト・ヴァッサゴー/アウレウス・アルゲンテウス(計6名)

・魔道具
ハイリヒ・バイベル:哀切の章II
エレメンタルケイジ:エアロソウルLvII/アークソウルLvI/ホーリーソウルLvIIorLvI
ニュンフェグラール:ウィオラ、エキノ(クローリス)
フラワーハンドベル

※発動条件
効力を使う花の魔性は1体のみ。
複数に適応させようとした場合、術者ごとに別れる扱いとなるため、不発してしまう。

・効力
クローリスの歌声により、フラワーハンドベルから発せられる守りの風を広げる。
歌うクローリスを中心に、10m範囲内にいる味方に石化・猛毒の耐性を、一定時間与える。
憑依による軽度の精神の穢れを清浄化することがある。
混乱、狂化を解除することがあるが、フラワーハンベルを使う者の任意に限る。



一部の方に、称号をお送りしました。

それではまた次回、シナリオでお会いできる日を楽しみにお待ちしております。


◆2013.11.29
コメント内を一部修正致しました。