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リアクション
「へへん! 傲慢のやつあれだけ言っておいてこれでしまいか? やっぱりうちの方が最強なんよ!」
「……大口を叩くからどの程度かと思っていれば……くだらぬな」
クレーターの中心に立っているのはルシ子。しかも目立った外傷は見受けられない。
「あれだけの攻撃を食らっても傷がほとんどない……? どうして……」
「ただ、我に掠り傷を負わせた事だけは褒めてやるぞ? 憤怒の化身サタ子よ。だが、我に深い傷を負わせたいのならもう少し怒りを集めるべきだったな? では、お遊びは終わりにしよう。手駒もだいぶ失ってしまったのでな」
スッとルシ子の姿が消える。次の瞬間にはサタ子の前にルシ子の姿があった。
「っ!?」
「危ない!」
つかさず美羽がカバーに入る。
「貴様の蹴り、見事だったぞ。だが、まだまだ甘いな」
「このっ!」
「飛び蹴りとは……」
美羽が飛び蹴りしてきたのに対しルシ子も飛び蹴りの構えを取る。
「こうやるのだよ!」
そして、真正面から衝突した。
「うっ!?」
拮抗していたに見えたが、徐々に美羽が押され始め……
「きゃあぁぁ!!」
そのまま力負けし、後ろへ思いっきり吹っ飛ばされた。
「なんの!」
だが、すぐに体勢を立て直し、地面にたたきつけられるのだけは防いで見せた。
「ほう、さすがだな」
「食らいやっ!」
サタ子のパンチ。
「またそれか。他に出来ないのか?」
そのパンチを片手で余裕で受け止めるルシ子。
「なんやて……!」
「そら、飛ぶがいい」
その拳を掴みそのままサタ子を思いっきり宙へ放り投げた。
「うわっ!? でもまだやで!」
空中で体勢を立て直し、しっかりと着地する。
「そうだ。もっと足掻いて見せろ。その方が我も楽しめる」
「……思った以上に手ごわそうだね……」
「傲慢のやつ……ここまで強かったんか……?」
「どうした? もう終わりか? なら――」
「次はボク達の番ですよ!」
ルシ子が動こうとした時、マイアが叫んだ。
「……ほう」
ルシ子を挟むようにマイアとエクゼ。それから二人の考えに賛同した蛮族達が立っていた。
「傲慢の化身ルシ子! 七つの大罪の最強の力を見せてあげます!」
「おや、なかなか面白い事を言ってくれる。その最強とはなんだ?」
「嫉妬です!」
「色欲なの」
ルシ子の問にエクゼとマイアが同時に答えた。
「くっくっく。最強が二つとはな」
「違うのです! 嫉妬が最強なのです!」
「……色欲なの」
「まぁ、我にとってはどちらでも構わん。その力を証明して見せるが良い。それで決めようではないか。同時に来い」
「もちろんです! 今から見せてあげます! 最強の嫉妬の力を!」
「俺達の嫉妬の力を受けるがいい!!」
「……行くなの」
「愛の偉大さ、見せてやる!」
マイアがエンヴィファイア。エクゼがシャイニングラブを発動。嫉妬の黒い炎と色欲の輝く力がどんどん集まっていく。
「ふむ。なかなかに集めたものだな」
「……あれ、うちは危ないんじゃ……?」
「退避するよ!!」
サタ子と美羽も危険を察知して後方に退避。
「……ちゅーなんて……ちゅーなんて……って、あら?」
一心不乱に逃げていたぺロ子。だが、逃げる方向がまずかったようで、目の前で嫉妬と色欲の力がどんどん増大していく。
「こ、これはまずいですわ……!」
「行きます!」
「見せてあげる。なの」
二人が同時に術を開放。集めた力が爆発する!
「あ、終わったですわ……」
「まにあえっ!」
死期を悟ったぺロ子を間一髪救った唯斗。そのまま、瞬時に離脱。
「この力……うむ、合格点だ」
二つの力が混ざり合うように大爆発を起こしルシ子を瞬く間に飲み込んだ。
「す、すごい爆発だね」
「これが大罪の力。なのでしょうか」
「うちでもびっくりなんよ。ここまでの力はかなりの量を集めないとできへん」
「……派手にやったなぁ」
その爆発を見ていた美羽達に合流したのは斎賀 昌毅(さいが・まさき)。
「これやったのマイアとエクゼか?」
「うん。そうだよ」
「黒い炎の方が大きいですね……」
「嫉妬の方が勝ったか……」
「そういえば遅かったね?」
「トイレ行ってる間に手紙だけ置いてあいつら行っちまったからな……」
「流石のルシ子もあれじゃ助からないよね……?」
「とりあえず、二人を助けにいかへん? 多分反動で動けへんよ?」
「そうだな……」
「た、助かりましたわ……」
間一髪唯斗に助けられたぺロ子。
「全く、世話が焼けるね……」
「感謝しますわ」
「……そういえばキスすれば元に戻るんだよな?」
「へっ?」
好奇心が勝ったのかおもむろにキスをした唯斗。するとあっという間に元の姿に戻ったブリュンヒルデ。
「あ、本当に戻った。けっこー可愛いじゃんよ」
「な、なななな……なんてことをしやがるんですかー!!??」
顔を真っ赤にしたブリュンヒルデの見事なビンタが唯斗にヒット。
「いたっ!?」
「女性だったから仕方ないと割り切っていたのに……なんてことしやがるですかー!」
さらにビンタの嵐。
「ちょ、いたっ! 痛いから!」
「うぅ……ついに異性にまでキスされてしまいましたわ……」
しばらくして落ち着いたのか、今度は落ち込み始めた。
「あー、ほら機嫌治してくれ。何でも言う事聞くからさ」
「……何でも……。なら、大罪回収を手伝うのですわ!」
「いや、それは今やってるじゃないか」
「ほら! さっさと回収しに行くのですわ!」
爆発が収まった後、力尽きていたマイアとエクゼを回収した面々。ルシ子を回収しようと姿を探すが、見当たらない。
「もしかして、爆散したか?」
「いや、それはないと思うけど……」
「まぁ、爆散したならそれはそれでうちは構わないんよ」
「私が困りますわ! ルシ子! どこにいやがるんですの!?」
「……いやはや。さすがの我もこれには驚いたよ」
ブリュンヒルデの叫びが通じたのか、ルシ子が全員の前に姿を現した。
「うそっ!? 傷一つついてない!?」
「我が他の大罪の力如きで傷つくとでも? 笑わせてくれる。さて、我も暇ではないんでね」
全員が警戒して戦闘態勢を取る。
「そろそろ本気で行こう。失望させるなよ?」
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