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正体不明の魔術師と同化現象

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正体不明の魔術師と同化現象

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第七章 遺跡・グリフォン討伐


 翼を羽ばたかせるグリフォンがいる部屋に四人の討伐者が入り込んだ。

「皆を信頼し、此処で全力を出し切ります……来ます!」
 舞花は『行動予測』で魔物の攻撃を読み、同志に警告する。
「わたしは舞花ちゃんを援護するよ!」
 ノーンが素速くレッドラインシールドによる『ディフェンスシフト』で舞花を守る。
「こんなの……ようやく対決だね」
 舞花の警告で美羽は『バーストダッシュ』で素速く避難。
「たまにはいいとこ見せるであります」
 『行動予測』を有する吹雪は『兵は神速を尊ぶ』で素速く立つ場所を離れ、『歴戦のダンボール術』で付近に潜伏し、試製二十三式対物ライフルを構えて体勢を整えた。

「みんな、他の魔物が空にもたくさん現れたよ!」
「空に行ったよ!」
 美羽とノーンが警告。どこからともなく地上と空に大量の魔物が現れ、グリフォンはぶち壊した天井から空へ飛翔。
 しかし、
「他の魔物は任せて」
「援護をするよ」
 美羽は『百獣拳』で様々な動物の幻影を見せる拳を放ち、ノーンは星印の槍による敵の技を封じる技『シーリングランス』で対応しつつ特戦隊にも協力を得て戦う。
「…………(狙うは一瞬であります。空中に停止した一瞬)」
 吹雪は他の魔物を他に任せて集中する。グリフォンは空で旋回しつつ遺跡のあちこちに炎を吐いて攻撃している。
「あれは……」
 空を見上げた舞花の目には遺跡前から直行したグラキエス達三人の姿が映った。

 空。

「……大物の前に大量の飛行系の敵か」
 スティリアを駆るグラキエスは『エセンシャルリーディング』で飛行系魔物の動きを読み、『一騎当千』による攻撃やドラゴンダイブやスティリアのブレス攻撃で露払いをする。
「空中戦ならば我等の十八番。行くぞ、ガディ! 我等の力余すことなく主の御為に!」
 『空中戦闘』を有するアウレウスはガディを駆り、グリフォンへ。
「……エンドロア、ここであれば魔法も問題無く使えるはずだ」
 幻龍比翼にて空中戦に参加しているウルディカは『クロスファイア』の十字砲火にて小型の魔物を大量に墜落させた。
「確かにここなら」
 グラキエスはウルディカの言から『天のいかづち』でいかづちを落として次々と墜落させた。それでも襲撃は収まらないため、残りを影の巨狼スカーに任せてグラキエスもスティリアと共にグリフォンに接近する。

 一方、美羽とノーン。
「何とかするよ!」
「これは多いよ」
 ノーンは『ホワイトアウト』で敵に目眩ましをし、その隙を狙い美羽が蹴りをぶち込んでいくが溢れる魔物の方が多く追い付かず、少々危機。
 その時、
「……(まずいでありますね!)」
 察知した吹雪がライフルで『五月雨撃ち』を持って二人を取り囲む魔物を撃ち抜き、一掃した。
「ありがとう」
「助かったよ」
 美羽とノーンは吹雪が潜むただの段ボールに礼を言った。
 このままノーンは援護を続け、美羽はグリフォンへの攻撃の機会を窺う。

 再び空。

「アウレウス!」
 グラキエスはグリフォンへ攻撃前のアウレウスと合流。
 そのグラキエスの背後に魔物が出現し、攻撃の狙いを定める。
 グラキエスが反応するよりも早く
「主の身は我が!」
 『殺気看破』による警戒で瞬時にアウレウスが反応し、『ディフェンスシフト』でグラキエスを守り
「無事か」
 同じく駆けつけたウルディカの『サイドワインダー』が敵を封じた。
「……助かった」
 グラキエスは頼りになる二人に礼を言い、再びグリフォンに向き直った。
「まずは……スティリア」
 騎乗しているスティリアに体当たりや蹴りなど肉弾戦を命じる。
 『行動予測』で巧みにグリフォンの攻撃を避けつつ攻撃を仕掛け、
「……目ならば」
 グラキエスは翼以外に狙うのに効果的な場所を発見し、『サイドワインダー』で射貫いた。
「アウレウス、今だ」
 グラキエスによって目を射貫かれ、痛みによる悲鳴を上げつつ飛行するグリフォン。
「主が我のために作りし機会を無駄にはしませぬ」
 アウレウスは『シーリングランス』で敵の技を封じ、『龍鱗化』で防御を固め、ガディごと突撃して突進攻撃『ランスバレスト』と強烈な突き『龍飛翔突』を叩き込む。聖槍ジャガーナートの能力で更にガディの行動速度も増加。
 アウレウスの攻撃が終わると同時に
「行くぜ、シリウス・ツァンダ!!」
「あぁ!!」
 ダブルシリウスは太刀状に変形した妖精鳴弦ライラプスで追加攻撃を加えた。
 それによってグリフォンがすっかり弱った所で翼を狙う討伐者達が動き始める。
「早速、ぶっ飛ばさせて貰うぜ」
 影に潜むものに乗って空中戦に挑む唯斗は新生のアイオーンの二刀流でグリフォンに近接戦闘を挑むも距離を取られてしまう。
「……遠距離なら」
 アイオーンの黒い光の刃で攻撃を命中させ
「行きます!!」
 『ホークアイ』で敵の動きを先読みしたパワードスーツ装着の舞花は『潜在解放』による『覚醒』で自身の力を高め、パーソナルスラスターパックと『レビテート』で空へ。
「厄介な飛行能力を封じなければ」
 『歴戦の飛翔術』と『ポイントシフト』を利用して死角に回りこむ様に動いて翼を狙うザカコ。
「……撃ち抜いて地面に叩き落としてやるであります!」
 翼の付け根を狙う吹雪。プロの顔で狙撃に集中する。
「立て直す前に飛行能力を奪う」
 グラキエスも元々の獲物である龍銃ヴィシャスと緩やかな曲線を描く黒鞘の刀アクティースを構え挑む。
「お手伝いするよ!」
 ノーンはボウガンを構えた。

 そして、
「……命中でありますよ」
 『追加射撃』を有する吹雪が素速く放った弾丸が命中し、
「はぁぁぁ!!」
 舞花は、タキオンブレードによる急所を狙って繰り出す強力な突き技『疾風突き』を繰り出し、
「視界の次は翼を奪わせて貰います」
 ザカコはカタールで翼を斬り付け、
「……これで」
 D‐ex‐Mで自身を強化した『銃器』を有するグラキエスは銃と刀の攻撃を容赦無く叩き込む。
「今だね!」
 ノーンは構えたボウガンで不意を狙い矢を放った。

 次々と攻撃を叩き込まれすっかり翼を奪われたグリフォンは地上へと墜落を始めるが、空中で体勢を立て直そうとするしぶとさを見せていた。

「随分、しぶてぇな。こちとらさっさと終わらせてぇんだ」
 唯斗は『投げの極意』でグリフォンを掴み上をとりつつ落下し、
瞬時に急所を一度に突く暗殺武術の奥義『正中一閃突き』を叩き込み、爆炎掌で生み出す爆発で地面へぶっ飛ばす。
 唯斗が攻撃を叩き込むタイミングに合わせて
「行きますわよ」
「もちろんですわ」
 グリフォンが対応可能な高度まで来た所でダブルリーブラが『軽身功』で壁を駆け上がって跳躍し大型剣である対星剣・オルタナティヴ7の強烈な一撃を喰らわす。
 地面へ叩き付けられるもむくりと起き上がり翼や視界を奪われたというのにグリフォンはしぶとく攻撃を仕掛けようとする。
「……往生際が悪いですよ」
「これ以上、悪さをするのは許さないんだから」
 ザカコと美羽はグリフォンが炎を吐くタイミングを狙って同時に攻撃。美羽は下顎を蹴り上げ親友はかかと落としをザカコの急所を狙う強烈な突き技『疾風突き』による下顎から上顎まで突き上げに合わせてグリフォンの口を閉じさせる。
「……自爆狙いか。だったら便乗するぜ」
 ザカコの思惑を読んだ唯斗は『ハルマゲドン』で地面から強烈なエネルギーを発生させた。自爆も加わりあっという間に周囲を爆心地に変えた。

 そして、
「……状況は」
 『覚醒』の影響で動けなくなった舞花は様変わりした現場を見回した。
「あそこに倒れてるよ、舞花ちゃん」
 舞花の護衛をするノーンが爆心地で倒れているグリフォンを指さした。
「……本当に倒したのでしょうか」
「……動かないね」
 舞花とノーンは心配の顔でことの成り行きを静かに見守る体勢に入った。これまで正体不明の魔術師の騒ぎなどに関わって来ただけに何も知らないで終わるのだけはしたくないから。
「……あぁ、大丈夫だ」
 唯斗が警戒しつつ生存の有無を確認し、皆に報告する。
「やった! 倒したんだね!」
 美羽は手を叩いて討伐成功を親友と他の同志達と無事を喜んだ。
「やりましたね。これでこの騒ぎも終わるはずです」
 ザカコもほっと胸を撫で下ろした。
「主、倒しましたぞ」
「あぁ、よくやった」
 アウレウスとグラキエスも地上に降りて喜ぶ。褒められたアウレウスは心底嬉しそうであった。
「……後は、どうやって魔術師を回収するかだな。その前に元気なものもいるようだ」
 ウルディカは倒れたグリフォンを見やり思考するも『殺気看破』で魔物の接近を察知。
 ウルディカの言葉通りどこからともなく魔物が襲撃して来た。
「脇役の出番は終わったでありますよ!」
「とっとと分離現象とやらをさせねばな」
 『銃器』を有する吹雪はライフルで素速く撃ち抜き、『武術』を有するウルディカが『アンボーン・テクニック』による肉弾戦で早々に片付けた。