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平行世界の人々と過ごす一日

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平行世界の人々と過ごす一日
平行世界の人々と過ごす一日 平行世界の人々と過ごす一日

リアクション

 昼、ヴァイシャリー。

「とても賑やかだねぇ」
 神月 摩耶(こうづき・まや)クリームヒルト・オッフェンバッハ(くりーむひると・おっふぇんばっは)の腕に自分の腕を絡めながら賑やかな通りを見ていた。
「そうねぇ。これだけ賑やかだったらあの可愛い摩耶もいるかもねぇ」
 クリームヒルトは映像で見た臆病摩耶を思い出していた。
「可愛いかぁ」
 摩耶はわざとらしく口を尖らせて見せる。クリームヒルトの優しい言葉が欲しくて。
「もぅ、摩耶ったら。可愛いんだから……こっちの摩耶が一番よ」
 クリームヒルトは可愛い摩耶に表情をゆるめ、キスをする。実は摩耶の告白を受けクリームヒルトはその想いを受け取り特別扱い、恋人関係となり今まで以上に猫可愛がりをしていた。
 二人はキスを終えると仲良く通りを歩き出した。
 そして、
「クリムちゃん、あれ」
「えぇ、やっぱり来ていたのね」
 摩耶とクリームヒルトは見覚えのある後ろ姿を発見し、近付いた。

 一方。
「ここが平行世界か。見た感じではこれといった違いはないみたいだな」
 美しい金髪を後ろの高い位置でまとめた男装の麗人は周囲を見回していた。
 その時、
「……ん……どうした?」
 自分の手を縋り付くように握る感触を感じ隣を見た。
「……クリムちゃん……大丈夫かな?」
 臆病な摩耶は不安そうな目でクリームヒルトを見ていた。いくら翌朝無事に帰還出来るとはいえ臆病な彼女にとっては心配事。
「先程も言っただろう。何も心配無いと。本当に摩耶は臆病だな。そこが可愛いが……」
 軽く柳眉を逆立てるなり麗人クリームヒルトは恋人の臆病摩耶を抱き寄せ
「……ちょっ、クリムちゃん……?」
 戸惑う彼女には構わず唇を重ねる。
 口づけが終わると
「摩耶、行こうか」
「……うん」
 麗人クリームヒルトが摩耶の手を握り締め、大人しい彼女をリードして歩き出した。
 少ししてこちらの自分達に発見され、ご対面となった。

 対面後。
 互いの事情を簡単に話した後、
「そっちのボクもクリムちゃんと恋人なんだ。世界が違っても」
 摩耶は平行世界の自分達を見て嬉しさと驚きで見ていた。
「折角だから、普段出来ない事をしない?」
 クリームヒルトは悪戯笑みを浮かべ、平行世界の自分に意味ありげに言った。
「あぁ、そういう事か」
 麗人クリームヒルトはクリームヒルトが言わんとしている事を察してしたり顔。何せ自分同士なので。
 そこに
「恋人交換だね!」
 摩耶が明るい弾んだ声で明らかにした。こちらも乗り気である。
 ただ一人
「……恋人交換……」
 臆病摩耶は不安に顔を曇らせていた。
 その時、
「わぁっ」
 背中に重みを感じびっくりしておどおどと顔を横に向けると
「……と言う事でよろしくね、摩耶」
 にこっと笑顔のクリームヒルト。
「……その」
 恋人とは違うためか怯え気味の臆病摩耶。
「もう、どの世界でも摩耶は可愛いわね〜。大丈夫よ♪」
 クリームヒルトは耳元で囁いていたかと思いきや臆病摩耶の腕を取ってリードし始めた。
「あぁ、行っちゃった。ボク達も行こう」
「そうだな」
 摩耶はクリームヒルトにしていたように麗人クリームヒルトに腕を絡ませてリードする。
「……」
 麗人クリームヒルトは隣の摩耶をちらり。
「どうしたの? そんなに見られると恥ずかしいよ?」
 注がれる視線に頬を染めて小首を傾げる摩耶。
「いや、対面してから思っていたんだが、此方の摩耶は随分と積極的だな」
 麗人クリームヒルトは率直な感想を口にした。
「積極的……そっか。そうだね。そっちも格好良くて……(でも一番はこっちのクリムちゃんだけど)」
 摩耶は納得し、凛とした麗人に惹かれて頬染めるも慌てて胸中で思い直す。
 この後、摩耶と麗人クリームヒルトも先の二人を追ってデートへ。

 町中を楽しく歩き回った一日だけのカップル達は近くの喫茶店で一休みをする事にした。

 店内。

 折角だからと席順も一日カップルのまま座る事にした。
「やっぱり、見るのと実際に会うのは違うわねぇ」
 席に着くなりクリームヒルトは臆病摩耶を抱き寄せて撫で回す。
「最初は驚いたけど……でもやっぱりクリムちゃんだね」
 臆病摩耶は始めとは打って変わってすっかり慣れてベタベタに甘えている。
「今日はとっても良い日だね」
 摩耶は麗人クリームヒルトに寄り添い、にっこり。
「あぁ、本当に」
 寄り添う摩耶を抱き、凛々しい笑顔を返す。
「……そんな笑顔をされると困っちゃうなぁ」
 摩耶は困った顔に。
「どうしてだ?」
 分かっていて意地悪な事を囁く麗人クリームヒルト。
「クリムちゃんの意地悪」
 思わず摩耶は顔を逸らしてみる。当然本心ではなく相手をして貰いたくての言葉。
「意地悪もしたくなるんだ」
 麗人クリームヒルトはお詫びとばかりに摩耶の首筋に唇を寄せ、摩耶の甘えに応える。
「……もう」
 摩耶は麗人クリームヒルトの頭を撫で撫でしていた。
 いちゃいちゃしながらの会話は当然恋人の惚気話。
 それが終わると
「まだ翌朝まで時間はたっぷりあるし、この後もどう?」
「そうだな」
 クリームヒルトと麗人クリームヒルトは顔を見合わせた。言葉が多くなくとも自分同士なので通じる。そもそも好色ぶりは同じなので。
「じゃ、決まりだね。四人で翌朝まで一緒に」
「……そうだね」
 摩耶と臆病摩耶も賛成。性格は違えど根底は好色ぶりは同じ。

 四人は喫茶店を出てクリームヒルトの部屋で翌朝まで徹底的に互いの違いを確かめるべく過ごす事に。クリームヒルト達は優しく強引に愛し倒し、それに対して摩耶は嬉しさ羞恥半分ずつで悶え臆病摩耶は羞恥一杯に顔を赤くするも嬉しさを洩らしていた。