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秘密のお屋敷とパズリストの終焉

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秘密のお屋敷とパズリストの終焉

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【ダイヤル錠は開くのか】

 謎の答えは出そろった。
 屋敷の北側、倉庫から見つかった謎の答えは『はじ』。
 東側、客間から見つかった謎の答えは『まり』。
 西側、ホールから見つかった謎の答えは『2』あるいは『8・2』あるいは『のし』……ここは、断定に至っていない。
 南側、ののの部屋から見つかった謎の答えは『NO』。

「で、問題はこの四つをどうするかよ」
 全ての謎が解かれたことを受けて、謎解きに挑戦していた契約者たちはぞろ玄関ホールへと集まってきていた。
 最終的に、ここの錠前に答えを入れるのだ。自然と皆、成り行きを見届けるため、あるいは、最後の謎を解く為に集まって来ている。
 中央で錠前の前に立っているのは布袋 佳奈子(ほてい・かなこ)エレノア・グランクルス(えれのあ・ぐらんくるす)のふたりだ。
「回り続ける時計の針が、真実を知っている――だっけ」
 佳奈子が、最初にヘンゼルたちが言っていた言葉を思い出す。よく覚えてたわね、とエレノアが感心してみせた。
「時計の針は右回り。東西南北を時計の盤面に見立てて、4つの答えを右回りに読んでみたら、どうかしら」
 佳奈子の言葉に皆が頷く。そう推理した者は多い。
 その推理の通りに読んでみると、『はじ・まり・NO・2』。
「はじまりの、2?」
「『はじまりの2・8』、あるいは『はじまりののし』かもしれません」
「でも、『はじまりののし』じゃあ意味が分からないだろう」
 あちこちから推理の声が上がる。だが。
「ええと、何だっけ続き。全てのナゾの答えは、私達が生きて居るこの時間に――繋がってる、とか」
 佳奈子が引き続き、ヘンゼル達の言葉を思い出す。
「そう、それで、終焉を運んでくるのよね?」
「終焉、とは、例えば今このとき――2024年の、今日、ということは考えられませんか」
 ザカコ・グーメルが手を挙げる。年と日付を4桁ずつで入力すれば、確かに数字の数は合致する。しかし。
「でもそれじゃ、『はじまりの2』のいみが分からないわ」
「……確かに」
 だがそれでも、入れるだけ入れてみようと佳奈子がダイヤルを回してみる。しかし、手応えは無い。
「ううん、やはりダメですか」
「始まりの2・8、と考えて、『右から左へと廻る時』とか言ってたことを踏まえて、右には2345、左を8765、っていうのはどうだろうか」
 次の意見には賛同者が多かった。
「これなら5に収束するし、その可能性はあるかも……」
 今度は皆の意見におされ、エレノアがその数字を入力する――が、手応えは無い。
 一同を落胆の気配が包む。
「でもこれじゃ、8765……って、時計の針、戻っちゃってるよね」
 レオーナ・ニムラヴスがぽつりと呟く。
 確かにそうだ、と数人から声が上がった。
「全ての謎の答えは、私達が生きる『今この瞬間へと繋がっている』って、言ってたよね」
 佳奈子が気付く。今のこの瞬間――彼らの目の前にある大時計は、1時55分を刻んでいる。
 タイムリミットまでは、あと5分――

「タイムリミット、つまり、『終焉』がやってくる……『2』時がやってくるってことじゃないかな。」

 その言葉に、おお、とどよめきが上がる。
「あとは、『廻る時』ってことで、右から順番に、2、3、4……って左端まで埋めていくの。どう?」
「賛成!」
 佳奈子とエレノアは、慎重にダイヤルをずらし、右から1、2、3、4、5、6、7、8、と動かしていく。
 すると。

 カチャリ。

 小さな手応えと共に、錠前が――