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戦いの理由

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戦いの理由

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「出来るだけ手すりにつかまって、下りてください。一人が転んだら大変なことになります。落ち着いてください!」
 招待客に紛れていた真言は、シェルターに向かう契約者達に大きな声で注意を促す。
「マスター上です!」
 駆け付けた隆寛が声を上げる。
 階段の上――屋上の方から、黒い物体が滑空してくる。機械獣だ。
「攻撃の手段がない人は上を見ないで。とにかく避難を!」
 言ってレキが銃を抜き、機械獣の手足を撃っていく。
 バラバラと、機械の体が落ちてくる。
「頭を庇ってください。多少の怪我はシェルターに着いてから治療できます」
 真言は言いながら、機械獣にナイフを投げつける。
 ドン
 続いて、窓と周りの壁が崩れ、従龍騎士が階段室に姿を現す。
 即座に、隆寛が盾を構えて前に出る。
「開発品の場所、教えてもらおうか」
 ワイバーンから降り、槍を持ち突撃してくる従龍騎士の一撃を、隆寛が盾で逸らす。
「ボク達だって知らないよ!」
 レキが放った光の弾丸が、従龍騎士の腕を貫いた。
「会場ではお静かに!」
 真言が従龍騎士にナイフを放つ。
 気を取られた従龍騎士に、隆寛が剣を振り下した。
「ぐぬ……っ。さすがにこれだけの契約者相手に、我だけでは厳しいか……っ」
 重傷を負った従龍騎士は再びワイバーン乗って、退散してった。
「さ、急いで。でも、慌てずに、順番にですよ!」
 追おうとしたりはせず、真言もレキも契約者達の誘導に務める。
「おー、泣くな泣くな。ちょっと怪我したようじゃの。部屋についたら治してやるから、急ごうの」
 ミアは掠り傷を負った少女の手を引いてあげる。
「また来る!」
 再び、屋上の方から機械獣が降下してくる。
「荷物を持てっている方は頭に乗せてください。なるべく左側に寄ってください」
 真言が注意を促し、契約者達は頭を庇いながら必死に階段を駆け下りていく。
 銃弾で弾かれた機械が、ぱらぱらと落ちてはくるが、レキと真言達の適切な誘導と護衛により、機械獣そのものが武器を持たない契約者達の中に落ちてくることはなかった。

 資料館前にて。
「こっちだ、こっちだぞ〜っ」
 酒杜 陽一(さかもり・よういち)は、ちぎのたくらみで小さな女の子の姿となり、ちょろちょろ走り回っている。被弾率の低下と、回避率の向上の為だ。
 また、彗星のアンクレットで味方の素早さを、超有名銘柄の日本酒で攻撃力を上昇させ、下りてくる龍騎士団に立ち向かっていた。
 機械獣よりも、陽一は従龍騎士を狙う。
 ワイバーンから降りて、入口に向かてくる従龍騎士にこちらからも接近し、跳躍で一気に間合いを詰めて、懐に飛び込んでいく。
 小さな体が従龍騎士の足を狙うのと、従龍騎士が足下に武器を振り下ろすのでは、動作の差で、小さな体の方が有利。陽一の方が素早く攻撃をヒットさせる。
 足を負傷した従龍騎士から一旦離れて騎士の攻撃をやり過ごし、次の瞬間に剣を手に突進して、切っ先を腹に突き刺した。
「こっちは大丈夫だ、従龍騎士相手なら、十分やれる……っ」
「新型イコンの噂は本当のようね!」
 戦う陽一をしり目に、パートナーの酒杜 美由子(さかもり・みゆこ)は、資料館の中へと走っていく。
「何かの際には、報告しろよ。警備隊長にはこちらから連絡を入れる」
 美由子にそう言った後、陽一は次の敵に挑んでいく。
「機械獣……これは、小さい体だと不利か? いや、やれる!」
 跳んだ機械獣の下に滑り込み、上方に向かって陽一は剣を突き出して、機械獣の首を落とした。

「ドラゴン……龍騎士か」
 降下してくる龍騎士の方へ、ラルクが走る。館内には既に連絡を入れてある。
「やっぱりこういう事が起きるのか…とりあえずはここをまもらねぇとな!」
「加勢するよ。神楽崎優子隊長、こっちは任せてー!」
 カレンが、周辺住民の避難指揮に向かう優子に、そう声をかける。
「頼んだ。決して油断するな」
 厳しい声で言い、優子は仲間と共に駆けていく。
「勿論! 隊長のパートナーは今はここにいないし。危険だから前線に立ってほしくないしね。任せて! 全力でいくよー!」
 カレンは歴戦の魔術で、龍騎士を攻撃。
「我が守る場所に攻撃を仕掛けてきたのだ、そう簡単には帰らせてやらん」
 パートナーのジュレールも、カレンに合わせて、機晶姫用レールガンを撃ち、龍騎士、そして周りの機械獣にダメージを与えていく。
 カレンとジュレールの攻撃で、ドラゴンの体勢が崩れる。
「はあああっ!」
 ラルクがドラゴンアーツで攻撃。翼に強い衝撃を受けたドラゴンが地上へと落ちる。
「中には絶対入れないんだから!」
「ここで大人しくしていてもらおう」
 ドラゴンから飛び降りる龍騎士に、カレンが再び魔法を浴びせ、ジュレールがレールガンで周辺を攻撃。
 龍騎士は盾で攻撃を緩和する。
 攻撃が途切れた途端。
「おっとぉ、正面ばかり見てちゃあ後ろを取られるぜぃ!」
 龍騎士の後ろに、回り込んでいた秘伝 『闘神の書』(ひでん・とうじんのしょ)が、抜刀術で、2本の刀を抜くと同時に斬り込んだ。
「人間なめんじゃねぇ!!」
 続いて、ラルクが正面から真空波を放つ。盾で防ぐ龍騎士に、更に接近し鳳凰の拳で打倒す。
 手練れ4人の全力の攻撃を受けようと、神である龍騎士はそう簡単に倒れはしない。
 一閃した龍騎士の槍が、ラルク、闘神の書を弾き飛ばす。
 迸った波動に、カレン、ジュレールもよろめいた。
「く……っ、だが、大分弱っているようだな。これで終わりだ!」
 ラルクはすぐに体勢を整えると、地を蹴り、龍騎士の元へと跳ぶ。
「邪魔はさせないよ」
 カレンが魔法で周囲の従龍騎士を牽制。
「うぉりゃああああっ!」
 ラルクの拳が盾を打ち砕く。彼の拳は龍騎士の胸にめり込んだ。

「獣は入らせないよ。機械の体でもね!」
 が、魔鎧のレスフィナの力、バニッシュを行使する。
 動きが弱まった機械獣1体に斬り込んでヴァジュラの光の刃で、首を攻撃。
「完全に機械の体なら、これはどう!?」
 更に轟雷閃放ち、大きなダメージを与える。
「ケイ、突出しないでくださいね!」
 エーファはケイの一歩前に出て、襲い来る機械獣を英雄の縦で防ぐ。
 押し飛ばした後、次の機械獣も同じようにして防ぐ。
「数が多いです。グライスさん、お願いします」
「ええ、行くわよ!」
 エーファが機械獣を弾き飛ばした直後、禁じられた言葉で魔力を上げていたグライス著が、サンダーブラストを放った。
 雷が機械獣の体を打ち、機械獣が動きを止めていく。
「立て直す時間は与えないっ!」
 恵はヴァジュラを両手に持ち、地を蹴って跳び、上部から機械獣に光の刃を叩き込む。
 同じ場所を集中的に攻撃し、斬り落し、砕き。
 1体1体を確実に仕留めていった。
「集められるだけ、こちらに集めましょう……!」
 エーファも英雄の剣で反撃し、機械獣の体を破壊していく。
「ここで、食い止めないと!」
 入口の警備を担当していた舞香は、子守歌で機械獣を眠らせようとする。
「全体攻撃いくわよっ!」
 綾乃は集まっている機械獣にバニッシュ。
 そして、光条兵器を取り出すとくるくる回して、弱った機械獣の体を砕いていく。
「綾乃、なるべく眠っている敵を狙ってね。無理はしないで」
 言いながら、舞香はモップで応戦して機械獣を退ける。
「止めは任せて!」
 綾乃が倒した機械獣に、恵が斬り込む。
 機械獣の動力部と思われる腹を完全に破壊していく。
 数が多すぎる為、全てを引きつけることは出来ないが、彼女達は向かってきた機械獣を突破させることはなかった。