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秋葉原四十八星華討ち入り

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秋葉原四十八星華討ち入り

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 第1章 雪のヴァイシャリーの討ち入り

■□■1■□■ ヴぁいしゃりーと討ち入り

討ち入りの少し前、ヴァイシャリーの町にて。
アーシュ・タルト(あーしゅ・たると)は、
ヴァイシャリー湖の精 ヴぁいしゃりーを捕まえていた。
「いきなり何をなさいますの!?」
「討ち入りの話は知ってるでしょ? ヴぁいしゃりーにも協力してもらおうと思って」
「わたくしは関係ありませんわ!
ヴァイシャリーの町で騒動を起こすなんていい迷惑ですわ。
ざんすかもじゃたもつぁんだも、龍騎士にぶっ飛ばされてしまえばよいのですわ!」
そっぽを向くヴぁいしゃりーに、アーシュは言う。
「どちらでもかまわないわよ」
アーシュの声が低くなったのを聞いて、ヴぁいしゃりーは振り返る。
「来ないのならヴぁいしゃりーが血で染まるだけだから」
雪の中、ヴぁいしゃりーが血で染まれば「紅白」なのよね、とアーシュはつぶやく。
「そ、それは……」
町とわたくしとどちらのことですの!? とたずねようとするヴぁいしゃりーだが、
アーシュの視線にはばまれる。
「言ったでしょう、どちらでもかまわないと」
「わ、わかりましたわ! 行けばよろしいのでしょう、行けば!」
「じゃあ、きまくひらにぃたしがんも連れてきて」
「ええっ? 暗黒ゴスロリ女装腐男子のたしがんはともかく、
ドリル振り回してるひらにぃや、刃物を持つと狂戦士化するきまくも連れてくるんですの!?」
「来ないのならヴぁいしゃりーが血で……」
「わかりましたわよ!」
ヴぁいしゃりーは半泣きで別の町の地祇達を連れてくることにしたのだった。
「わーい、ざんすかたちの、りあるたいむじだいげきねー」
ナーサリー・ライムズ 『マザー・グース』(なーさりーらいむず・まざーぐーす)は喜んでいる。
「47人目をヴぁいしゃりーがやってくれるそうよ。よかったわね」
「よんじゅうしちにん? いっぱいいるのねー!」
リアルタイムも時代劇も理解していなさそうな『マザー・グース』だが、
ヒーロー扱いしているざんすか達が戦うというので、喜んでいるのであった。
こうして、アーシュの脅迫により、
ヴぁいしゃりーはきまくとひらにぃとたしがんも連れて討ち入りに参加することになった。

★☆★

キラコーズ邸の前にて。

九条 ジェライザ・ローズ(くじょう・じぇらいざろーず)は、
この機会に秋葉原四十八星華入りしたいと考えていた。
(赤穂浪士は47人で秋葉原四十八星華は48人……1人は? 誰だ!?
というか吉良の勘違いじゃね?)
そう言いたくてたまらないローズだが、
空気を読んで黙っている。
「わたくしが47人目ですわよ! それでよろしいのでしょう!?」
「ギャハハハハハ! 皆殺しにしてやるよォ!」
「ドリル、スキ。オマエ、コロス」
「フフフ、闇討ちとは暗黒な感じだね」
そこに、ヴぁいしゃりーときまくとひらにぃとたしがんがやってきた。
(あれ? ヴぁいしゃりーが47人目ということは、
48、49、50人いる? ……ていうか、パートナーとか合わせればもっといるのかな。
でも、秋葉原四十八星華全員いるわけじゃないし、
味方は総勢何人なんだろ。
ツッコミたいけど、そういう空気じゃないよね……)
そう考えるローズだが、
御茶ノ水 千代(おちゃのみず・ちよ)がヴぁいしゃりー達のハッピを用意したのを見て、
自分も山鹿流の陣太鼓を叩きはじめる。
「討ち入りのために、
秋葉原四十八星華グッズ販売など、
ヴァイシャリーの町が秋葉原四十八星華に味方するように仕向けておいたのよ。
ピンクの名前入りのそろいのハッピを用意したわ。
請求は全部つぁんださんに送付ずみよ」
「ちょ、いつのまに?」
千代の宣言に、つぁんだが驚くが、千代は気にしない。
「今日のために、ファンの皆さんも集まってくれました!
どうもありがとうございまーす」
「ちゃ〜み〜!」
千代はファンに手を振って答える。

芦原 郁乃(あはら・いくの)も、
秋葉原四十八星華に参加したい1人だった。
「セクハラオヤジの所業に女の敵と怒っているところに、
秋葉原四十八星華と一緒に討ち入りしないかってお誘いが
これは断るわけにはいかないよね。
一石二鳥、渡りに船、棚からぼた餅、両手に花……最後のはちょっと違うか」
そんなことを言っていた郁乃だが。
「布団を触って『――!暖かい、まだ近くにいる!!』ってやつ
あれやりたいんですよぉ〜見せ場のひとつだもんね」
パートナーの秋月 桃花(あきづき・とうか)は、
たすきに「秋葉原四十八星華代理補佐見習い」と書かれた十二色の衣装を用意し、
郁乃に青色のを着せ、他の今回から秋葉原四十八星華に参加しようという者達にも配って回っていた。
「ね、眠いです……」
桃花は夜なべして衣装を作ったため討ち入りではあまり役立ちそうになかった。
「でも、郁乃様、キラコーズ様は桃花達が来るのをわかっているわけですよね。
布団で寝てるのでしょうか?」
「あ、そういえば!」
しかし、郁乃は気を取り直して、蒼天の書 マビノギオン(そうてんのしょ・まびのぎおん)に指示を出す。
「マビノギオン、氷術で雪降らせて」
「はい」
「今度はね、光術でスポットライトして」
「……って、あたし、大道具係になってませんか?」
「ごめんごめん、せっかくの討ち入りだから」
「じゃあ、あたしも同行しますよ。
セクハラする不届きな男に討ち入りするアイドル、
それなら大道具さんじゃなく、
共演がいいですもの」

こうして、雪が降る中、
ローズの陣太鼓が響き、そろいのハッピを着た一同は、
秋葉原四十八星華ファンの照らすペンライトの中、討ち入りするのであった。