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【4】2021年、男尻神輿バトル開催!……5


『男尻神輿バトル、いよいよ大詰めです!』
『第2チェックポイントを抜ければゴールはすぐそこだ、てめぇら! 最後に気ィ抜いて怪我するんじゃねぇぞ!!』
 トップを爆走するのは冒険屋、次いで2位がタシガン馬術部、そのあとに梨ガリくんが追い上げを見せる。
 第2チェックポイントの交番まではあと幾ばくかの余裕がある。梨ガリくん的にはここで勝負を決めたいところ。
「ここを決戦場と定めよう……、決めるぞ、皆!」
 リーダーの刀真が男らしく決断。速度を上げて、冒険屋の背後をとる。
「今まで数多の戦いを潜り抜けてきた百戦錬磨の経験がある。大丈夫だ、いつもどおりにやれば……」
 ふと固まる刀真。
……って、男尻神輿は経験なんてないよっ! 初めてだよ!
「と、刀真! 前!」
 不意に、漆髪 月夜(うるしがみ・つくよ)は梨ガリくんの巨大ガリを振り回しながら叫んだ。
 冒険屋神輿の後方を固めるシグノー イグゼーベン(しぐのー・いぐぜーべん)が銃口をこちらに向けている。
「近付くものは排除っスよ〜!」
「きゃあああああああっ!!」
 梨ガリくん神輿の屋根を熱線が焼く……と、月夜はおもむろにガリを振りかぶった。
「これでも喰らいなさいっ!」
「なにっス……ぶっ!?」
 くるくる飛んでくるガリが直撃。更に置いてある限りのガリを投げつける。
 物理的なダメージは大してなそうだが、そんなもんで殴られるとメンタルになんとなくダメージがある。
「はぁ……はぁ……、あ、ガリがなくなった」
「そりゃ良かったっス……、ガリのお返しに熱線をプレゼントするっスよ!」
「が……、ガリがなくて力が出ないよ〜」
 閃光。曙光銃エルドリッジの熱線が、月夜を……梨ガリくん着ぐるみを貫く。
 その途端、破けた着ぐるみがパサリと脱げ落ちた。幸い月夜の身体には当たらなかったらしく怪我はない。
 しかし、あらわになった彼女の白いブラウスは汗で完全に透けていた。黒のレースである。
「きゃああああっ!!」
「……そんな下着ぐらいで、まったく月夜は可愛いのう。どれ、我が隠してやろうぞ……」
「え……、ちょ、ちょっとダメ……、玉ちゃん……」
 玉藻は後ろから手を回し、小さな胸を丁寧に優しくまさぐった。
 月夜から時折漏れる桃色の吐息。構成メンバーがほぼ男性の冒険屋は前屈みに……みるみる速度が落ちていく。
 そして、梨ガリくんが先頭を奪う。
 前方に見えるは第2チェックポイントの交番、ここはなんとか何事もなく通過しておきたいところ。
 ところが、ピッピーッと警笛。通りかかるなり、お巡りさんに囲まれてしまった。
「ほ、ほら……、玉ちゃんが公衆の面前でエッチなことするから……」
「なんでも我の所為にするな。前屈みになっておる刀真の所為じゃないのか。褌でその状態はヤバイと思うぞ?」
お、俺のことはしばらく放っておいて……
 しかし、この3人ではないらしい。
「え……、わ、わしか?」
 見た目完全に893の清風 青白磁(せいふう・せいびゃくじ)は目を丸くした。
 今日は褌と剛刀と言うコーディネート、お祭りにいたら絶対に目を合わせてはいけない部類のファッションだ。
「ちょっとお話を聞かせてもらえるかな?」
「ま、待つんじゃ! わしは善良な一般市民じゃ、893モンじゃないっ! 誤認じゃ誤認逮捕じゃ!!」
うん、それを調べるから、交番に入って
「え……いや、その……」
 誤認逮捕→謝罪→釈放の流れで、さらっとここのポイントを通過で出来ると思っていたが誤算だった。
 確かにこの流れで釈放されるだろうが、それは取り調べの終わる数時間後のことである。
「あー、あとね、そっちの君も」
「わ、我輩であるか……」
 序盤で稲妻に打たれた丸城戸佐渡は服がボロボロになってしまい、下着の亀甲縛りロープがあらわになっていた。
 警察が職質するのになんら迷うところはないであろう、見事なまでの変質者ぶりを発揮している。
「ひ、人の下着を笑い者にするのかねっ! 我輩のロープで拘束テクニックを味わうか!?」
はい。公務執行妨害ね
「え……いででででっ! ちょっ腕を捻るのはやめて……あいや、別にやめなくてもよいけれども」
 Mなので若干ご褒美でもあった。
 そんな彼らの横をかよわい乙女、タシガン馬術部、おっぱいイズジャスティスが余裕で通過していく。
 しかし、冒険屋だけはTPOをわきまえず、普通に光線を撒き散らしながら爆走していた。
「た……タイホだっ!」
「そうはさせねぇ。皆……オレの屍を超えていけ……」
 逮捕に乗り出すお巡りさん……だがそれよりも早く、神輿から分離した天空寺鬼羅がひざまずく。
「き、君ィ! なんだその格好は! ぜ、全裸じゃないかっ!」
「ふふ……、これか?」 
 鬼羅は不敵に笑う……が、仲間の神輿が見えなくなると、突然挙動不審になった。
いや、違うんですよー。これは違うんですよー。た、逮捕はらめぇええええっ!!
 我が身を犠牲にして仲間の道を切り開く……まことの男である。
 彼の犠牲に背に突き進む冒険屋。シグノーのハッピートリガーが猛威を振るう。
 そろそろ怒ゲージが満タンのルカルカは、眼輪筋を振るわせながら何度も警告をするが、一向にやめる気配はない。
「ひゃっはーっス! 自分の火力が怖いくらいっスね! テンション上がってきちゃったっスよ!」
「む、むかつく……!」
「俺たちの邪魔するってーなら、痛い目見ることになるんだからなーっ!!」
 前衛担当のチビ猛将、夏侯淵は相棒の銀狼とともに冒険屋に迫った。
「伸びろ、如意棒!」
 伸縮自在の如意棒をぐるぐる振り回し、シグノー目がけて突きを放つ。
 しかし、各種防御スキルで護りに特化したキリカ・キリルク(きりか・きりるく)が攻撃を防いだ。
 打突からの薙ぎ払い、疾風突きにも耐え、シグノーや別のメンバーだけでなく神輿自体も攻撃から護る。
「こ、こいつ……!」
「失礼。腕は君のほうが数段上ですが、護りに徹すれば僕でもこのぐらいの芸当はできます」
「……と言うわけでサヨナラっス!」
 引き金を引く……しかし、引き金が動かない。ダリルのテクノパシーが安全装置をロックしたのだ。
 その刹那、ルカルカが凄まじい速さで駆け出した。
「言っておくけど、警告はしたからね……!」
 夜空の月を背景に、対神刀で一刀両断。
 キリカの咄嗟の防御で神輿への直撃を回避したものの、冒険屋神輿は大きくバランスを崩した。
 そしてそのままカーブを左に曲がり、各チームは最後のスパートに入る!
 失速する冒険屋と追い上げるかよわい乙女……後方から迫り来るタシガン馬術部とおっぱいイズジャスティス!
 ゴールは……わずかに乙女のほうが早かった。
ゴォォォーーーーール!! 優勝は(自称)かよわい乙女ですーーーっ!!


 【最終順位】
 【1】かよわい乙女
 【2】冒険屋
 【3】タシガン馬術部
 【4】おっぱいイズジャスティス
 【捕】梨ガリくん
 【ー】ヒーロードッグ
 【ー】流れ☆首