リアクション
15)
董 蓮華(ただす・れんげ)は、
金 鋭峰(じん・るいふぉん)に、宮殿都市アディティラーヤを案内して、
最後に、涅槃の間にやってくる。
「ニルヴァーナの壮大な美しさ……。
この夕日を見ていると、
本当にそれを実感しますね」
「ああ。そうだな。
だからこそ、この地に平穏をもたらすために、努力しなければ」
「はい、私も、私にできることをやらせていただきます!」
団長は、やはり、いつでも国軍の長としての気持ちを忘れないのだなと、
蓮華は実感した。
そして、そんな団長は、とても頼もしく、凛々しく感じられる。
(団長……)
そっと、視線を送ると、
夕日を見つめていた団長が蓮華に視線を合わせる。
蓮華は、ふわりと微笑みを浮かべた。
「あの、もしよろしければ、ですが」
勇気を振り絞って、蓮華が申し出る。
「一緒に写真を撮っていただけませんか?」
「ああ。この雄大な景色を、記念に残したいという気持ちはわかる。
いいだろう」
団長がうなずいた。
「ありがとうございます!」
蓮華が、カメラをセットして、
団長の隣に並んだ時。
ふと、団長が、隣の蓮華の襟章を認めて言った。
「そういえば、まだお祝いを言っていなかったな。
少尉昇進おめでとう」
「はい、ありがとうございます!
階級に見合った責任を果たせるよう今後とも精進します」
(見ていてくださったんだ、私のことを……!
そうね、でも、団長は、国軍の隅々の事までご存じのはず……。
でも、だけど、それでも、やっぱり、私のことを覚えていてくださったのね……!)
動悸が止まらない。
蓮華は、うれしさで顔が紅潮するが、夕日のせい、ということにしておく。
こうして、団長と2人、思い出の写真ができたのだった。