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蒼空学園遠泳大会!

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蒼空学園遠泳大会!

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●終章

 パートナーと仲良く泳ぐぞコースの幕が開け、先頭集団が中間地点を折り返す頃、1人で泳ぐぞコースの先頭集団がゴールへと近づいてきていた。
 最初に足が届く辺りまで泳いできたのは、レイディスと燕だった。
 その後を総司と紫織が追う。
 最後は泳ぐというより、残る体力での走りの勝負。徐々に下がっていく水位の中を走り、ゴールテープを切ったのは、レイディスだ。

 それから数十分後、パートナーと仲良く泳ぐぞコースの先頭集団がゴールへと近づいてきた。
 トップはさけと晶で、そのやや後方を未沙と未羅が追いかけている。
 未沙と未羅は最後まで諦めずに追いかけるも、さけと晶が早々にゴールテープを切った。


 大会の終わった後の海。
 皆が泳いでにぎわっていたのは何処にいったのか、浜辺はにぎやかであるが海上は静かだった。
「照りつける太陽、打ち寄せる波! さぁ、目ぇ一杯泳ぐでぇ!」
 そう声を上げるのは桜井 雪華(さくらい・せつか)だ。
 その隣でパートナーのヘルゲイト・ダストライフ(へるげいと・だすとらいふ)は、ハートマークで囲った『ぴんく・なーす』のロゴ入りパラソルを砂浜に指す。
「そそ、パラソル差して、オイル塗って─って休む気満々かぃ!?」
 ヘルゲイトの行動に、雪華は1人突っ込んだ。
 冗談だとヘルゲイトは告げ、大会も終わって、浜辺の近くにたくさん停められた飛空挺を借りてくる。
 その飛空挺の後ろにロープで括りつけられたのは1本の棒――もとい、ハンドルだ。スノーボードより幅広の板を足に取り付けた雪華は飛空挺に乗り込んだヘルゲイトに発進するように言う。
 徐々にスピードを上げていけば、それだけで水上スキーの出来上がりだ。
「い〜やっほぅ! 見てみぃ、ウチの華麗な波捌きを!」
 雪華はテンションが高くなり、そう声を上げるのであった。

「愛美ちゃん達も一緒にどう?」
 結局、勝負には負けてしまったけれど、アクアの中には楽しかったという思い出が出来ていた。
 海の家に向かう途中、愛美を誘って、一緒にカキ氷を注文するとそれを食べる。

 タリ子が海の家で、次々と皿を重ねていく様子を和佐六は悲しげに眺めていた。
 勝負に勝ったのはタリ子であった。
 約束どおり、和佐六がタリ子へとおごることになったのだが、身体を動かした後である所為か、よく食べる。
 そもそも1皿辺りの量が少ないようにも見えるが、和佐六はただ、彼女が食べ終わるのを待つばかりであった。

 ゴールした陽太郎を待ち構えていたのは、褐色の肌に映える大胆な水着を着こなしたイブであった。
「お疲れ様」
 イブは陽太郎をぎゅうっと抱きしめた後、先ほど買ったばかりのドリンクを手渡す。
「ありがとうございます、イブ」
 陽太郎はそのドリンクを受け取り、一気に飲み干した。

「ま、頑張った様だしお弁当分けて上げましょうか」
 ゴールしたディアスに、冰凪が作ってきたお弁当を広げる。
「お、用意いいな。結構泳いだ後だから腹減ってたんだ」
 ディアスは喜び、早速お弁当に手をつけた。
 味はもちろん美味しいのだが、それを素直に告げるのは癪に障る気がしてためらう。
「まさか私が作ったものに文句は言わないわよねぇ? ……そんな事言おうものなら、一週間食事作ったげないから」
 何かを言いためらうディアスの様子に冰凪は言う。
「って、おい! それはオレに餓死しろと言ってるのか!?」
 驚き声を上げるディアスに冰凪は「じゃあ何?」と首を傾げた。
「美味い、よ」
「よろしい」
 視線を逸らしつつ言うディアスに、冰凪は微笑む。

『頑張ったら、言うことを聞く』
 機嫌取りとは言え、晶はそう言った。
 結果は上位入賞とまでは行かなかったが、全体の半分よりは上の順位に入ることが出来た。
 その結果を聞き、リリアンは上機嫌で晶へと向き合う。
「私の水着、似合ってませんか?」
 訊ねてみるも晶は視線を逸らすばかりでなかなか答えようとしない。
「……似合ってないんですね……」
 その様子に視線を落としたリリアンの声は震えた。
「い、いや……その」
 慌てて視線をリリアンへと向けた晶はヤケクソ気味に口を開く。
「似合ってるし、ドキドキしてた。だから、直接見れなくて……」
 その言葉に、今にも泣き出しそうだったリリアンは微笑み、晶にぎゅっと抱きつくのであった。

 ウィングと涼司の勝負は、ウィングが数秒の差で勝った。
 ファティと花音が飛空挺に乗って交わした約束は、お人よしな涼司が折れて、3人分の昼食代を持つことで叶えられた。

「ひゃああっ!?」
 遅れ気味にゴールした後、沙幸が悲鳴を上げながら胸元を隠すようにしてうずくまった。
 飛空挺から降りた美海が駆け寄る。
 それに気づいて、沙幸は美海にぎゅうと胸元を押し付けるかのように抱きつきながら、口を開いた。
「水着なくしちゃってごめん」
 そう、泳いでいる間にトップスの紐が緩みきって、流されていたのだ。
 それに気づかないままゴールした後、周りの視線が気になって視線を落とせばトップスがなくなっていた。
「気にすることないですわよ」
 美海は沙幸を抱き返しながら宥めるように優しい声音で言う。
(恥らう沙幸さんもサイコーですわっ!)
 内心ではそう思っていたけれど、それは口にはしなかった。

 暮れ行く日。
 海の向こうへと沈む夕日を飛空挺に乗って海上で眺めていた牙竜は、ゆっくりと口を開いた。
「リリィが相棒でよかった」
 その言葉にリリィは驚き、頬を朱に染める。
 鼓動が高鳴るのが分かり、この後何が起こるのだろうとますます鼓動を早めていると、軽く背中を叩かれた。
 予想外のことにリリィはバランスを崩して、海の中へと落ちる。
「が〜りゅ〜う〜……」
 顔を出すなりリリィは恨めしそうにそう言い、飛空挺へと這い上がると、お返しといわんばかりに牙竜を海へ落とすのであった。


 終。

担当マスターより

▼担当マスター

朝緋あきら

▼マスターコメント

 こんにちは、朝緋あきらです。
 蒼空学園遠泳大会のリアクションをお届けいたします!

 各コースの優勝者の方には、賞品として称号をお贈りします。

 以上、たくさんの参加、ありがとうございました!