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【借金返済への道】秋うらら、行楽日和!

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【借金返済への道】秋うらら、行楽日和!

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「ん〜っしょ!」
 大きな鍋に水を入れたのを運んでいるクレア。
「お手伝いしますよ」
 絹屋 シロ(きぬや・しろ)はひょいと鍋を持ちあげて助けた。
「わ、悪いよ!」
「良いですから。その代わりと言ってはなんですが美味しいのをお願いしますね。勿論私もお手伝いします」
 慌てて、鍋を取り戻そうとするが優しい笑顔に負けてお願いすることにした。
 川原の涼介が調理しているところへと到着した。
「ん? そっちの方は……」
「お手伝いしてくれるんだって!」
 シロを見て、びっくりしていたが直ぐに自己紹介をしあい、一緒に調理をする事になったようだ。
「じゃあ、食べるのが好きなんだな」
「ええ、大好きです」
 涼介が出汁醤油の量を調節しながら質問した事に、シロは確信を持って答えた。
 キノコを食べやすいように割いたり、小分けにしたりして、お米の上へとどっさり入れる。
 キノコは和子に貰ったものも含まれているようだ。
「そうだ、こっちのスペースで焼きそば作ってみませんか? キノコもまだあるみたいですし、丁度ソースも持ってきています」
「わあ! 焼きそばって、美味しいよね!!」
「良い案だな」
 涼介の作っている、炊き込みご飯の仕込みが終わると、直ぐに涼介とシロとで焼きそばが作られた。
「う〜ん……これで良いのかな? おにいちゃん、味みてくれる?」
 先ほどの大きな鍋でキノコの味噌汁を作っていたのだ。
「どれ? ……うん、大丈夫。美味しいよ」
「良かった〜」
 ホッとして顔がゆるむ。
 暫くすると炊き込みご飯も美味しく炊きあがった。
「よし、良い感じに炊きあがったな。お〜い! キノコご飯が炊きあがったんだが食べないか?」
「キノコの味噌汁もあるよー!」
「キノコ焼きそばも絶品です」
 3人の呼びかけに直ぐに人が集まり賑やかになった。
「さ、私もぺろりと食べちゃいますよ」
 そう言うとシロは本当にぺろりと平らげてしまったのだった。

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「おにぎり美味しそうですね」
 御凪 真人(みなぎ・まこと)セルファ・オルドリン(せるふぁ・おるどりん)がお弁当を広げていたところへやってきたのは、シロだ。
 隆光に貰った焼き芋とおかわりをしたキノコの味噌汁を手に持っていた。
「一緒に食べませんか? 皆で食べようと思って大量に持ってきましたから」
「では、遠慮なく」
 真人の言葉を聞くと嬉しそうに横に座った。
「そうだ! 少し待っていて下さい」
 座ったと思ったら直ぐに立ち上がり、焼き芋と味噌汁を置いて、どこかへ行ってしまった。
「ここはおにぎりか!」
 キッシュを両手いっぱいに抱えている真兎も寄って来た。
「一緒にどう?」
「良いのか!? 喜んでまぜてもらうぜ!」
 セルファの誘いに真兎も嬉しそうにした。
「こいつも食ってくれ! さっきサトゥルヌスの手伝いして沢山もらったんだ!」
「美味しそうなキッシュですね」
「おう! うまいぜ!」
 真人とセルファは早速1切れもらい、口へと運ぶ。
「サトゥルヌスは料理が上手なのですね」
「うん、美味しいわね」
 セルファは食べ終わるともう1切れ手を伸ばした。
「お待たせしました。おや、人数が増えていますね」
 シロはキノコ焼きそばと『鹿(のような何か)肉と茸のソテーのパニーニ』という料理を抱えて戻ってきた。
 料理が揃うと談笑しながら料理が口へと吸い込まれていく。
「ふごっ!!」
「うぐっ……これはぺろりと……食べられません……」
 真兎とシロは似たような場所にあったおにぎりを食べた途端に固まってしまった。
 真兎は暫くすると赤くなってから青くなり川へと走って行った。
 シロの方はなんとか飲み込むとキッシュを口へと入れ、口直しをし始めた。
「……セルファ、一体何が入っていたんです?」
「え? 苺大福みなたいな形してるから苺ジャムと、梅干しの代わりになりそうだったからハバネロ、あと餡子が入ってるやつがあるはずよ」
「味見したんですか?」
「してないわよ?」
「……危険物だとは思ってましたがここまでとは……」
「な、何よ!」
 このあと、正義が焼き芋を配りに来てくれたのだが、危険なおにぎりを勧められそうになり、惨状を見た正義は一目散に逃げ出していた。
 焼き芋はきっちりとシートの上に置いて行ったが。

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「美味しいよ〜」
 屋台からは良い匂いが漏れてくる。
 謎肉親方東條 カガチ(とうじょう・かがち)の屋台メニューは『鹿(のような何か)肉と茸のソテーのパニーニ』となっている。
「すみません、5つほど下さい」
 最初のお客は焼きそばを持ったシロだ。
 真人達の所へ行く途中で屋台を発見し、寄ったのだ。
「へいらっしゃ〜い。5つだね。はいよ」
「ところで……これって一体なんの肉ですか? 見た事ない青緑してるのですが……」
「世の中には知らない事がたーくさんあるんだよ……」
「そうですか。まあ、美味しければ問題ないです」
 代金を払おうとするが、屋台にはしているが販売しているわけではないとの事で無料でもらったのだった。

 2人目のお客は社、クロセル、刀真とじゃんけんして負けてしまった為に食糧確保に走らされた綺人だ。
「え〜っと、フットサルメンバー全員で、ホイップさんはいないから……11個宜しく!」
「はいよ」
 11個のパニーニが出来あがると、備え付けていたビニール袋に入れて手渡す。
「有難う!」
 そういうと、今度はキノコご飯へと駆けて行った。

 次のお客さんは久世 沙幸(くぜ・さゆき)だ。
 しかし、気もそぞろな感じでそわそわしている。
 少し遠くにいるホイップの方ばかり気にしているのだ。
「注文はどうするのかねぇ?」
「あ、えっと1つ!」
「ホイップちゃんに気でもあるの……?」
「ち、違うよっ!! いや、ホイップちゃんは可愛いし私が百合の気があるのは否定しないけど……ほんとに違うのっ!」
 否定すればするほど怪しく聞こえるがとりあえず違うらしい。
 パニーニを1つ受け取るとホイップの側へとこっそり近寄るのだった。

 その後、何人かお客が来た後、ホイップがパニーニをもらいに来た。
「くっださいな!」
「あいよ。おや? エルくんは一緒じゃないのかねぇ?」
「へっ!? なんでエルさん!?」
「おっ、いたいた。エルくーん! ホイップちゃんならここにいるよー」
「ええっ!?」
 ホイップは自分の後ろをきょろきょろと見回すがエル・ウィンド(える・うぃんど)の姿はどこにもない。
「ん〜……少しはエルくんの事を見るようになってくれたんだねぇ」
「へっ……うっ……そんな……ことは……もごもご」
 渡されたパニーニを口に入れて誤魔化し、走り去ってしまった。
「あら? ホイップ様がこちらにいらっしゃると思ったんですが……影も形もありませんわね」
 ホイップを探していたのかロザリィヌがカガチのさっきの声に釣られてやってきたようだ。
「ロザリィヌちゃん、人の恋路を邪魔すると親方に蹴られて死んじまうんだぜー」
「んまあ! 邪魔をなさっているのはあちらでしてよっ!」
 そう言うと、ぷりぷりと怒りながらホイップを探しに行ってしまった。
 ちゃっかりパニーニは食べて行ったが。
「なんだかねぇ〜、ちょ〜っと要注意人物がいるみたい」
 カガチはすぐに携帯である人の所へと連絡したのだった。