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リアクション
(4)13:30 女子更衣室の攻防1
美少女戦士部の一式 隼(いっしき・しゅん)、霧雨 泰宏(きりさめ・やすひろ)は部員が準備してくれた蒼学の女性用制服に着替え更衣室前で待機中。
「隼〜、何で女装する必要があるんだよ〜」
霧雨 透乃(きりさめ・とうの)に学園のためだと頼まれて、仕方なく女装した彼は深いため息をついた。
「学園の平和のためです、我慢してください。本当に女性しかいなかったら、いくら腕に覚えのある人ばかりとはいえ危ないじゃないですか」
隼は余裕の表情で更衣室の外を見張っている。
広瀬 ファイリア(ひろせ・ふぁいりあ)はウィノナ・ライプニッツ(うぃのな・らいぷにっつ)、ウィルヘルミーナ・アイヴァンホー(うぃるへるみーな・あいばんほー)、広瀬 刹那(ひろせ・せつな)と共に女子生徒たちにのぞき部対策の説明を行っていた。
「このプールには爆弾が仕掛けられているという噂があるですー! おそらく愉快犯の仕業ですが、念のため有志による警備を行っているのですー!」
「なるほど! その話、この月光蝶仮面も協力させてもらおう!! ファイファー!!」
(むだに)あつい部の一員、鬼崎 朔(きざき・さく)は誰の了承も得ず、ドアを蹴破って更衣室内に一番乗りした。
「確かに爆弾は大変だ…だがなぁ、人には仁義ってもんがある。チャンス到来! とか、思っている奴らは機関銃のサビにしてやるぜぇ!」
「朔様…いえ、月光蝶仮面様のためにも、スカサハは揚羽蝶仮面としてサポートするのであります! ファイファー!」
スカサハ・オイフェウス(すかさは・おいふぇうす)は入口付近をたむろしているのぞき部をギロリと睨みつけた。朔、スカサハ、共に画風で言うと劇画調タッチの生きざまになっている。流石に着替え中に探索するわけにはいかないので、水着に着替える女性がいる場合は武装した女性陣が着替え室、女装した男性陣が入口付近に控えることにしたらしい。のぞき部は朔、ファイリアたちの強固な守備で入れてもらえなかったため、更衣室付近をうろうろして壁の薄そうなところを探している。その様子がニヤニヤしていてあまりにも気持ち悪かったので、朔とスカサハに追いかけまわされていた。
「こんな騒ぎになるなら別のプールにすればよかったか……」
林田 樹(はやしだ・いつき)は黒地のビキニの胸元にフリルの付いたものに着替えつつ、ため息をつく。ジーナ・フロイライン(じいな・ふろいらいん)はフリフリのいっぱいついたピンクのワンピース
を服の下に来ていたので樹が脱いだ服をたたんでいた。
「樹様、とっても可愛いですっ!! あぁ〜、もっとふりふりでもいいくらいです!!」
「ふ、ふりふりはやめてほしい……」
「ふっふーん! あんころ餅よりも私のほうが一歩リードなのですよっ」
「あれ、その水着、私と同じですね♪」
ジーナが振り向くと花音・アームルート(かのん・あーむるーと)がジーナと同じ水着を着て立っていた。
「山葉様のパートナーの花音様? 更衣室の警備ですか?」
「え、えーとね、涼司さんがプールに行くって言ってたから遊びに来たんです。爆弾騒ぎのことはさっき、広瀬さんに教えていただきました……」
樹は気の毒そうな表情をすると花音の肩を優しくたたき、のぞきに対する注意を呼び掛ける。
「『部長』『ツルピカ』『光状何某』、この3人には注意するんだ」
「そうだ! 花音さまも一緒にプールで遊びましょうよっ」
花音は少し迷っていたが、ジーナの誘いが優しい気持ちからきているものを理解してにっこり笑った。
「はい、それでは林田さん、ジーナさん、よろしくお願いします♪」
リリィは赫乃と共に着替えている女性の護衛をしていた。【暗黒卿リリィ】の服に着替えようとして、自分の控えめな胸を見る。
「赫乃もさ、胸、ないわよね」
「な、なんじゃ……唐突じゃのう」
リリィは自分の手を赫乃の胸にいきなり置いて、考えた通りだ! と深くため息をつき涙を流しながら握手をした。
「ま、まったく!! おぬしといい、牙竜殿といい、少々唐突すぎるじゃろう!」
「へー、なんでそこで牙竜の名前が出てくるの? ね、赫乃って牙竜のこと好きなんでしょ? 貧乳のよしみで協力してあげようか〜♪」
「な、なんなのじゃ! 今は(むだに)あつい部の仕事で忙しいのじゃ。その話に答える時間は……って、なんじゃ? いま、黒いものがそっちに行ったぞえ?」
赫乃が指差した先には黒く、長い触角の平たい虫がリリィに向かって羽を広げていた。
その3秒後、女子の悲鳴が建物の外まで響き渡ったのは言うまでもない。
「どうした、爆弾犯か!?」
眼をギラギラさせて飛び込んできた山葉……しかし、残念なことに先ほど進士にメガネを奪われてしまってよくは見えなかった。花音は樹たちと一足早く出て行ってしまったが、仮にいたとしても気づけないだろう。
「〜♪」
ヘッドホン装備のため周りの騒ぎに気づくのが遅れていた皇祁 璃宇(すめらぎ・りう)はとっても可愛いアイドル志望の男の娘。身長はかなり高めなのだが雰囲気が完全に女の子で、アイドル衣装に着替えていただけだったので周りの女の子も彼を女の子だと思っていたようだ。
「そ、そなた!! そっちは危険じゃぞ!!」
赫乃が火術で更衣室を焦がしつつゴキブリをやっつけようとしていると、
ようやく気付いた璃宇も可愛い悲鳴を上げた。
「ひゃぁぁ!! りうちゃんあの虫は嫌いだよぉぉ!!」
胸元を抑えた姿勢で内またで逃げだそうとした璃宇の後ろにはちょうど、空気の読めない山葉が立っていた。
「きゃあああ!」
バランスを崩した璃宇を支えようとした涼司だが、全体重を支えきれず押し倒すような格好になってしまう。右手は璃宇の胸元を抑え、左手は璃宇を支えていた。しかしたまたま、足を広げて下着が見える格好になったのだが……あれ、女の子では、ない??
「い、いい加減どいてくださいぃ〜!!」
この場で一番女の子らしい性格かもしれない璃宇は衣服の乱れを簡単に整えると、涼司を巴投げしてロッカーに思い切り叩きつけた。
「はっ、かよわい女の子がこんなことしちゃまずいです〜。だ、だれか〜! 助けてください〜!」
ゴキブリでびっくりしていた小鳥遊 美羽(たかなし・みわ)は璃宇の悲鳴を受けると慌てて攻撃態勢にうつった。
「もう、スケベ男なんて最低よね!! それに……私より目立つなんて許さないんだから!」
瞬間的に走れる経路を確認すると、美羽は地面を滑るように駆けて小柄な体からは想像もできない高さまで飛び上がった。緑のツインテールが流れ星のように尾を引き、形のいい脚は涼司の頸椎を狙ってきている。
「万死に……値するわ!!」
いいタメの入った攻撃は見事に涼二に命中して、彼を失神させるに至った。
「まったくもう、私のパンツ見えちゃったかな〜。えと、大丈夫? ヘッドホンちゃん」
「あ、ありがとう。お名前教えていただけますか?」
「小鳥遊 美羽(たかなし・みわ)だよ! ヘッドホンちゃんは?」
「皇祁 璃宇(すめらぎ・りう)ですぅ、よかったらお友達になってください〜」
「リリィ、赫乃、大丈夫か!?」
「牙竜殿! のぞきじゃ!! 連れていくのじゃ!」
目をぐるぐる回している涼司は牙竜たちによって連行されていった。あつい部の朔とスカサハは破壊工作とトラッパーのスキルで簡易トラップを仕掛けておいた。仮にのぞき穴をあけるものがいた時は、そのブービートラップが発動して爆竹が鳴るだろう。
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