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恋なんて知らない!

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恋なんて知らない!

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「そなた……。賊と変わらぬ行動をしてしまっては、名のある品格が問われてしまうぞ?」


 ルファン・グルーガ(るふぁん・ぐるーが)は、優しく諭す様にそう言った。


「品格……?そんなもの、元より気にするに値しないわ!!」


 小町はそれに怒号を返す。
 街に広がる明かりが、雰囲気とは打って変わった空気感を注入する。


「話して分かるような者らであるのなら、始めからしない、か……」


 一遍のほつれもない綺麗な蒼色の髪が、夜風に揺れる。
 
「はっ!」

「ぬぅっ!?」


 グルーガの放つ拳は、小町の持つ桜華柄の扇子にて阻まれる。


「ほぅ……奪って回る、と言うだけ。力は有る様じゃの」

「……ぐっ」

「それでも、拳聖の私と鍔ぜりで相打てるとは思わんが」


 グルーガが拳に込める力を強めると、ぎりぎりと渋い音を出しながら扇子が小町側へ押し込まれる。
 何かの力が封入されているのだろうが、道具には変わりなく、純粋な力勝負となった場合、小町が不利なのは歴然だった。


「さあ、どうする過去の歌人よ。わしの拳がそなたの顔に辿り着くのが先か、武藏殿がそなたを手助けに来るのが先か……。懸けでもするか?」


「ぐっ、ぅう……!」

「っ!」


 小町の顔に一筋の冷や汗が垂れた。
 それが煉瓦造りの地面に落ちると同時に、グルーガは背後へ跳ねる。


「ぬっ、ぬっ!!」


 理由は、石。
 何処からかやってくる、第三者からの投石だ。


「っ……!」