校長室
リアクション
● その頃、イーダフェルトの戦闘制御区域では。 「だあああぁぁぁ! なんべん言ったらわかるのよ!」 グラルダ・アマティー(ぐらるだ・あまてぃー)が怒りに任せて吠えまくっていた。 原因は――ポムクルたちである。 この戦闘制御区域では、敵の迎撃担当のポムクルたちがいて、グラルダはカッチン 和子(かっちん・かずこ)らと共に、彼らに砲台の使い方や破損した場所の修理の仕方などを教えていたのだ。 星辰結界が発動するまでの間、ソウルアベレイターたちの手からイーダフェルトを守らないといけない。イーダフェルトの外では無数のシャンバラの艦隊が戦闘に当たっているが、こちらもなにか手伝えることはしなくてはならなかった。 そのため、イーダフェルトに備えられている砲台などを使って援護したり、修理に励んだりしようと頑張っているのだが――。 いくら真剣に教えても、ポムクルたちは気まぐれかつ気分屋である。 「難しい単語を並べられてもわからないのだー」 「他人に物を教えるときはかみ砕いて教えないといけないのだー」 とかなんとかぶーぶー文句を言いながら、適当に戦っていた。 「こいつらああぁぁぁぁっ!」 グラルダがむきぃっとなって地団駄を踏んだ。 「ま、まあまあ、グラルダちゃん。落ちついてよ」 和子がなんとかそれを宥めた。 「そうそう。あんまムキになっても空回りするだけだぜ?」 キシシッと笑ったのは和子のパートナーのボビン・セイ(ぼびん・せい)である。 「ポムクルよりちびっこのあんたに言われたくないわああぁぁ!」 「げぶぅっ!?」 ずびし。 グラルダのチョップがボビンを直撃した。 「む、むごい……」 思わず一歩引いてしまう和子。 グラルダは我慢の限界で、きーっとなった。 「わーったわよ! こうなったらあんたらの要求通りにかみくだいて教えたろうじゃない!」 「おー、なのだー」 ぱちぱちと拍手を送るポムクルさんたち。 グラルダはやけくそになって感情むき出しに説明した。 「いいっ!? ここはグッ! と行って、んでガーーッってなるでしょ! だからその後でドカーンよ! わかったっ!?」 わかるはずもなく、ポムクルさんたちはグラルダを無視してそこら中をわーっと走りまわっていた。 「聞きなさいよもーっ!」 「グラルダ」 「あ……シィシャ」 と、それまで沈黙を守っていたシィシャ・グリムへイル(しぃしゃ・ぐりむへいる)が声をかけてきた。 なにか良い方法でも提案してくれるのだろうか? 期待に胸躍らせるグラルダ。 が―― 「そこは“ドカーン”よりも“ポコペーン”の方が適切と思われます」 「どいつもこいつもあほんだらああぁぁぁ!」 やっぱり誰も助けてくれない。グラルダは一人奮闘する。 その後、結局、和子の提案で太鼓や歌のリズムに合わせてポムクルさんたちに楽しみながら援護してもらうことにした。 歌やダンスはポムクルさんたちの大好物だ。カッチンが太鼓を鳴らし、歌を歌うと、それに合わせて腰をふりふり、身体をぐるぐる。 けれど逆に、そのせいで今度は踊るのに夢中になり、すっかり砲台から離れてしまう。 グラルダは頭を抱えた。 「もういや……こいつら……」 ポムクルたちが戦闘で役に立つようになるまでは、まだしばらくかかりそうだった。 |
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