校長室
【十二の星の華】空の果て、黄金の血(第2回/全2回)
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エピローグ ベアトリーチェ・アイブリンガー(べあとりーちぇ・あいぶりんがー)が藤野家の爺やや婆やたちと帰りを待っていた。環菜も腕を組んだまま、空を見上げていると、飛行艇の影が朝焼けの光の中から浮かび上がってきて、やがて、校庭に大小の飛行艇が降り立つ。 その中から、真珠や赫夜も降りてくる。 「よう戻られて…!!」 その姿を見つけた爺やや婆やは駆け寄るが、真珠の血まみれのドレスを見て 「どうされたのですか! どこか怪我でも!」 「違うの、爺や、婆や…長くなるけれど、話をきちんとするわ」 「ああ、ようございました…」 ぼろぼろと泣き出す婆やの肩を爺やが支える。 陽太はそっと「ただいま、環菜会長」と言う。 同じく学園で待っていたミュリエル・クロンティリス(みゅりえる・くろんてぃりす)は、赫夜と真珠が戻ってくることを祈り、お揃いの銀細工の首飾りを作っていたのだ。 小さな星が連なった彗星のようなキラキラとした首飾りだった。 「赫夜さん、真珠さん! お帰りなさい!」 その首飾りを二人にかけると、真珠と赫夜はミュリエルをきつく抱き締めたのだった。 ソーマは撤収作業に入っている連中たちをみながら、北都に「お疲れさん」と頭をぽふぽふと叩いてやる。 静麻は、全てが終わったので藤野家本家に連絡を入れた。 「真言さんに事の顛末を全て伝えないといけないからな」 その時に定期的に地球とパラミタの状況を知れる範囲で交換する事を提案した。これから先、双方の情報を集めないといけない気がするような気がしたからだ。 「検討してみるが、環菜嬢に聞いてみないとならんだろう。そこは静麻殿、君の腕の見せ所ではないのか?」 と、なかなかしたたかな返答を返してくる真言に、ちょっと静麻はイタズラ心が動いた。 「そうですねえ、ああ、そういえば、赫夜さんと真珠さんには素敵な異性のお友達ができたようですよ」 「な、なんじゃと?」 「うーん、名前はなんと言ったかな…」 「ええい、早く思い出してくれ!」 動揺している真言の姿を思い浮かべ、くすっと静麻は笑みを浮かべた。 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ 事態の収拾やアンジェラ隊たちと環菜の金額的交渉、怪我人の対処などに日は費やされた。 そんな慌しい、ある日のこと。 美羽は赫夜に駆け寄って思い切って言葉を継げる。 「…シャムシェルはまだ、死んでいないみたいなの。…それにシャンバラには闇龍やエリュシオン帝国のように、いろんな脅威が迫ってるの。だから、これからも一緒に戦ってくれる? 一緒にシャンバラを守ってほしいの」 「美羽さん。今の私は星剣を持たない。星剣を持たない十二星華は、光条兵器も使えない。シャープシューターで撃たれた腕も、今は余り使えない状態だ。それでよければ、力になろう」と美羽に告げた。 リュウライザーは編み物キットを真珠に渡して 「にゃん丸と佑也のために編んであげて下さい」 という。 真珠はそれを受け取り 「リュウライザーさんにも編みますね」 笑顔を向けた。 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ようやく念願のパジャマパーティ(男子禁制)が催されることになった。 祥子が何故だか、老舗の座敷を予約しており、女子たちはそこの温泉に浸かると、思い思いのパジャマを着て、お喋りに食事にと興じる。 祥子は 「お疲れ様、赫夜、真珠。これ、私からのプレゼント」 揃いのペアロケットを赫夜と真珠に贈呈する。 「ありがとう。大切にさせてもらう」 「私もです」 「さて、なんだか良い雰囲気になってきたわね。…そうそう、赫夜5000才なんでしょ?」とお酒を勧める。 「え?」 「そりゃあ、飲んで頂かないと。ささ、ぐいっとぐいっと」 それから数十分後。 こっそりとのぞきに来ていたのぞき部に大きな声が聞こえてくる。 「ぶわっはははっは!」 「あれ、誰の声だ?」 周に総司が首をかしげる。 「正確には5017才だ!!」 「姉様、酒乱だったのですね!?」 「もっとつがんかーい!! さちこおお!!」 「いけるじゃなーい、どんどんいきなさいよぉ、かぐやあ!」