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    ★    ★    ★
 
「どんどんいきましょう。ラジオネーム、薔薇学の底辺さん。
 友人女性の事で相談したく手紙を出させて頂きます。
 パートナーの紹介で知り合ったR・Aですが、時折暴走する事があって戸惑っています。
 普段は可愛い子なのですが、ふとした拍子に黒くなったりドSになったりするのです。
 先日の七夕では俺のパートナーと結託して強引に俺を魔法少女に仕立て上げる暴挙に出る始末。
 彼女のそんなアグレッシブな面を何とかしたいのですが、どうしたらいいでしょうか?
 またイニシャルですねえ、誰のことなんでしょう。
 R・A、R・A……。なんとかアズライトさんとか。
 まあ、詮索したらかわいそうですよね。
 それにしても、また男の子の魔法少女ですね。もう、パラミタ名物にでも指定しましょうか。
 とりあえず、大丈夫です。魔法少女の衣装を無理矢理着せられるなんてことは、パラミタでは日常です。そう決めました。
 だから怖がらなくてもいいのよ。今度私も混ぜてくださいね。会社になら、キャンペーン用のフリフリ衣装たくさんありますから。楽しみに待ってます。
 さて、このコーナー最後のおハガキは……、ラジオネーム、真理奈・スターチス(まりな・すたーちす)さん。
 私のヒーロー…T・Tが取られそうです。
 唯でさえ最近いろんな女とフラグ立てて、私の立つ瀬も無くなってるのに!特に最近彼が憧れてる女…S・A!あんな女豹に取られるなんて耐えられません!
 シャレード・ムーンさん…私に少しだけ勇気をください!一瞬でいいです。彼のハートを狙い撃ちする一瞬でいいから。
 うっ、あまりどろどろした恋愛関係はちょっと……。特に、三角関係は結構苦手だったりして……。
 そうですねえ、とりあえず、スナイパーにクラスチェンジして、スナイプで頭を一撃で射貫いて……って、これじゃあ、死んじゃいますよね。
 T・Tさんって、誰なんでしょう。モテモテですね」
 
    ★    ★    ★
 
「嫌だったんだ……」
 シュンとして、リース・アルフィンが、篠宮 悠(しのみや・ゆう)を見た。
「うっ、そういう問題じゃなくて……」
 思わず篠宮悠が口籠もる。女装させられて、魔法少女にされたというくだりで、すぐに投稿者がばれてしまった。ということは、R・Aの正体もバレバレである。
「とはいえ、魔法少女はやはりお断りであって、ただ、それは、魔法少女がお断りなのであって、あんたがお断りなわけじゃなくて、だからといって……。ああ、オレは何を言っているんだ……」
 リース・アルフィンから半べその目でうるうると見つめられて、もう篠宮悠はパニック状態である。
 なんだか、アルマゲストの面々は、恋愛面で結構ぎすぎすしているような気がする。
「さあ、どうする、武神牙竜」
 毛利 元就(もうり・もとなり)は、自らがT・Tと呼んだ武神牙竜の方を見て、先ほど読まれたばかりの投稿の反応を静かにうかがっていた。
 ところが、勝手に名前を使われた真理奈・スターチスの方は、いっこうに動じた様子もない。黙々と、タバスコソースをたっぷりと振りかけた素麺という、ほとんど人外の食べ物を静かに食べている。
「真理奈、貴公、先ほどのラジオ……」
 さりげなさを装って、毛利元就が真理奈・スターチスに訊ねてみた。
 真理奈・スターチスの方は、誰があんなハガキを出したかは別にしても、ここはうろたえるべきではないと堂々としている。
「……ラジオネーム書き忘れました。失敗しましたね」
 などと、冗談半分で返事をしてみる。
 堂々としすぎた……。完全に空気を読み違っている。
「えっ、本当だったの……」
 一同の目が、真理奈・スターチスに集まった。
「いえ、冗……」
「貴様、ここでフラグを立てるなど許さん」
 独り身の男たちが、武神牙竜の許に殺到した。おかげで、真理奈・スターチスは、自分の発言を訂正するチャンスを完全になくしてしまった。
「まさか、冗談だったはずが、まさか、本当だったとは……」
 毛利元就が、愕然とする。
 その日、武神牙竜の自宅は、夜遅くまでにぎやかであった。
 
 
新コーナーはこれだコーナー
 
 
『そこで道をお探しのあなた。ここに頼もしい味方があります。月刊世界樹内部案内図。これさえあれば、一ヶ月は世界樹の中で迷うことはありません。世界樹にお越しの際は、ぜひ一冊お持ちください。さもないと……。ああ、怖い。なお、随時マッパーを募集しております。御希望の方は巻末の連絡先まで御一報を。月刊世界樹内部案内図。それは、遭難しないための最初の一歩』
『CMあけるでございます』
『ミッドナイト・シャンバラ〜♪』
「新コーナー♪
 いや、新コーナーを作ろうというコーナーなんですけどね。
 最初のお便りは、ペンネーム、彼方御前さんからです。
 番組の人気低迷を打破するためには、新しい層のリスナーも開拓してゆかねばならぬのではないか?
 巷ではイコンといった巨大ロボットが流行の兆しをみせておるが、わらわは、これに加えて新たに魔法少女が流行の波としてやってくると予見しておる。
 そこで、この番組内でも、魔法少女+巨大ロボットモノのSFファンタジードラマをラジオドラマとして放送するのはどうであろうか?
 うーん、番組内ミニドラマは面白そうですね。
 そうすると、私は当然ヒロインの魔法少女でしょうか。だったら、ライバル役とか大募集かな。静御前さんがライバルの魔法少女やりたいみたいですけれど、今度電話コーナーとかでオーデションでもやりましょうか。
 
 お願い、甦って。伝説のイコン、ムーンシルエットよ……」
『ぎゅんぎゅんぎゅん……。どーん。【シャンバラン、ショオオォォォック!!(V)
「ちょっと、音響さん、音、間違ってるわよ!!
 すいませんでした。次回までにお話考えさせておきます」
 
    ★    ★    ★
 
「うーん、まさかねえ」
 布団にくるまってラジオを聞いていた緋桜 ケイ(ひおう・けい)は小首をかしげた。
 今、一瞬よく知っている名前が呼ばれたような気がする。だが、番組を録音していなかったので、巻き戻して確かめるという術はない。
「イコンか……。そのうち、イルミンスール魔法学校や他の学校にも導入されるんだろうか。似合わないなあ。イルミンだったら、さしずめ巨大ゴーレムあたりかなあ。でも、そんな物が戦いに導入されて、戦渦がますます広がっていったら、あの人はいったいどうするんだろうか……」
 寝苦しさによけいなことを考えてしまいがちになりながらも、緋桜ケイはラジオに耳をかたむけ続けた。