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砂漠のイコン輸送防衛前線

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砂漠のイコン輸送防衛前線

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――、決戦。

「いくわよ!」
「無茶です! 部隊はもう壊滅しています!」
 サブパイロットが制止させようとするが、アレイシャは止まらない。護衛隊を目がけて飛んでいく。
 護衛部隊に残る動けるイコンももうそれ程には居ない。残されたコームラント2機とシュメッターリングを駆使して、イレイシアの眠る、イーグリットだけは何としても奪還する。
《敵機接近! シュメッターリング! 迎撃体勢に入れ!》
 ダリルが攻撃開始を宣言する。目標とするのはリーダー機ダダ一機のみ。
「伊達に両手に武器を持っちゃいないのよ!!」
 葛葉 杏(くずのは・あん)橘 早苗(たちばな・さなえ)コームラントがシュメッターリングに向けてマシンガンとアサルトライフルを連射する。
 しかし、向こうは機動性に長けているのかなかなかに当たってはくれない。
「なんですかあれ!? 杏さんあの機体他のと性能がちがうですぅ!」
 早苗が手間取る、杏にそう報告する。
《アレイシャさんは研究所でもエースパイロットでした。機体性能だけではありません》
 睡蓮からの情報も入る。
「【鏖殺寺院イコンの解析資料】によると大分カスタマイズされているみたい。速度と、遠距離重視の機体って感じだわ」
 残る敵のコームラントもミサイルを多く搭載している。近づいて倒すのも一苦労だろう。
《そのまま攻撃を続けて杏杏。接近は私がするから! 行くよベア!》
《はい、美羽さん》
 グラディウスが空に舞い、シュメッターリングに接近する。
 アレイシャの命令が下る。
「敵機砲撃開始!」
 しかし、それを敵のコームラントが阻害する。誘導ミサイルが正面からグラディウスを襲う。
 それだけはない、今まで狙ってこなかったはずなのに、ミサイルがトレーラーへと目がけて飛んでくる。
《敵機からのミサイルを確認! こっちへ来ます》
 紫音が告げる。《テレパシー》で瞬時に迎撃部隊に攻撃の来る方向を伝えた。
「アレーティア、アニマ、支援するぞ!」
「了解ですマスター」
「弾道計算はまかせるのじゃ」
柊 真司(ひいらぎ・しんじ)アレーティア・クレイス(あれーてぃあ・くれいす)アニマ・ヴァイスハイト(あにま・う゛ぁいすはいと)イクスシュラウドが、迫るミサイルを撃ち落とす。
「忍! ガトリングで撃ち落とせい!」
「そろそろ弾数がやばいぞ!」
 六天魔王もガトリングとマジックカノンで応戦するが、そろそろ全ての弾薬が尽きそうだった。
「エネルギーは十分にあるか?」
「一撃くらいなら【魔王拳】を撃てる」
 しかし、空中戦をしているシュメッターリングには近距離必殺の攻撃は届きそうにもない。
「仕方あるまい。大将の首は譲るとしようぞ……」
 撃ち尽くした2門のガトリングガンを外し、六天魔王が砂漠を走り始めた。

 空中では尚もグラディウスとシュメッターリングの砲撃戦が続く、共に敵からの弾幕を避けつつ、近距離での決戦へと持ち込もうとする。
《敵機の解析が完了したどすぇ。敵はんは鏖殺寺院機関銃と鏖殺寺院クロー、そして、分裂ミサイルを装備してはる。しかし、速度と装備の分装甲は強くはありんせん》
《解析ごくろうじゃ、風花》
 アレーティアは風花から受け取ったデータをメモリーに記録する。
「要は一撃でも与えられば勝ちなんだね、お母さん」
「そういう事じゃ、どうする真司?」
「鼻っから決めている。狙い撃つぜ」
 アレーティアとアニマの調整で、機体もキャノンの調子もいい。真司が狙うのは――、
《狙撃を試みる! 美羽、敵の動きを一瞬でいいから止めてくれ!》
《ちょっと! 無茶言わないでよね! 結構厳しいんだから》
《3機からのミサイルを回避しつつ、戦っている今の状況では……》
 美羽も、ベアトリーチェも、難題に渋る。ある程度の被弾は《鉄の守り》でどうにかなるが、集中砲火を受けたら一溜まりもない。
 せめて、1機だけでもコームラントを破壊しなくては。
《任せい。今1機破壊する!》
 信長からの通信が入る。
 六天魔王が全てのエネルギーを引換に、地上にいた敵のコームラントに一撃必殺の【魔王拳】をブチかました。
《これでこっちは動けない。後は頼んだ!》
 と、忍が言うと、六天魔王はエネルギーを使いきり、システムダウンした。
《これならいけます!》
《うん!》
 美羽とベアトリーチェが頷く。
 シュメッターリングに向けて、急速旋回する。まだ誘導ミサイルも振り切れていないが、構いはしない。前からの弾はダブルビームサーベルで切り落としてでも接近する。
 更にグラディウスをミサイルが襲ってくる。残りの敵コームラントが放ったミサイルの群れだ。
《美羽さん。道を開くわ!》
 杏が進言する。コームラントをグラディウスの空中背後に置き、大型ビームキャノンを構える。
《上に避けてください!》
 早苗の指示と同時に、グラディウスが急上昇する。
 グラディウスを目がけて飛んでいたミサイルがコームラントの大型ビームキャノンで誘爆、一掃される。更に、遠くの敵コームラントをビームが貫いた。
「もらったぁあ!」
 爆炎の中をグラディウスが突っ切る。ついにシュメッターリングを捉えて、動きを止めることに成功する。鏖殺寺院クローとサーベルがぶつかる。
「マスター、チャージ完了、出力最大」
「今じゃ! 撃てい!」
 アレーティアとアニマの調整で真司はシュメッターリングに向けて機晶ビームキャノンを撃ち放った。《行動予測》で外しはしない。正確にジェネレーターだけを破壊することに成功した。
 推進力を失ったシュメッターリングの両腕をグラディウスが切り落とす。これで完全に敵機は沈黙した。
《コハク、パイロットの捕縛おねがい!》
《わ、わかった》
 美羽に言われて、コハク・ソーロッド(こはく・そーろっど)が落ちてくるシュメッターリングへと向かった。
 コハクは機体に《ヒプイシス》をかけ、中のパイロットを眠らせた後、コックピットから敵リーダーのアレイシャ・ミナミを拘束した。