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レッテの冒険

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レッテの冒険

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なんだ、あいつ」
 菊はその後ろ姿を探している。
「ごめんなさい」
 いつの間にかレッテが菊の隣にいた。
「抜け出してきた」
 レッテは一度、宿に戻ったあと、町へと出てきたらしい。
「おい、みんな大騒ぎだぞ」
 菊は、慌てて、宿にいる武尊に電話を入れる。
「ごめんなさい」
「なあ、レッテ。何か見たか?」
 レッテは首を横に振る。
「ねえ、後1日、東京にいるんだよね。もうお父さんはいいよ、皆に探してもらって嬉しかった。あとは観光しよう、観光!」
 レッテは、菊の腕をひっぱって宿へと急ぐ。


「右手に見えますのが、東京スカイツリーでございます。2012年に完成したこの電波党は、東京屈指の観光名所として人気の場所です。これよりバスをいったん降り、皆様には東京スカイツリーに登っていただきます」
 東京に来た一同が乗っているのは、観光バスだ。
 華僑の黄が全額を出している。
「いいですか、あんたたちにではない。この娘に出すのですよ」
 この娘とはレッテのことだ。
 


7・明日


「なんだか、みんな小奇麗になったな」
 伏見 明子(ふしみ・めいこ)は、レイ・レフテナン(れい・れふてなん)と共に農場を訪れている。
「お日さまの匂いがするからだろう」
 トラックが来て、豚の肥料や柵などを運びこんでいる。手伝っているのは、孤児院をサポートする面々だ。
 子ども達も当然のように、両手一杯にあれこれを持って、トラックへと運んでいる。
 真新しい服を着ているわけでない、しかし、薄暗い廃墟からおひさまの下に出てきた子ども達の肌は日の光を反射し輝いている。
「レッテは明日戻ってくるようだ」
 レイがまぶしそうに眼を細めている。
「じゃ、ギリギリ間に合ったんだな」
 二人は、農場にいる孤児たちに顔を見られないように、そっと次の場所に向かう。
 明子がここに来たのは、孤児たちの現状を確かめるためだ。
 住民票を取るという話も聞いている。
 彼ら、彼女らは、ここで大きくなるのだ。
 そのために。
「後顧の憂いを一つ無くしておこうかと思う」
 明子は、レイを伴って、これから第七龍騎士団のパイオンと会談する手筈になっている。
 パイオンは、廃墟にあった孤児院に攻撃を仕掛けている。
「よく私をこんなところに」
 パイオンは、空京の広場に呼び出されてきた。
「まだ、残党を追ってるって聞いたの」
「私の指示ではありません。仲間を殺された兵がいきがっているだけです」
「もう、やめたら。ゾディアックの件でちょっと今暖まってるし、このタイミングで退くなら大帝の慈悲の先駆けになるってことで面目が立つわよ?アンタも大概だけど私らも強情だから、これ逃したらお互いドロ沼になると思うわ」
 彼は、とパイソンは、明子の隣にいるレイを見る。
「書記です」
「言質をとるのですね、念のいったことだ」
「テロリストをこっちに渡したってことでアンタの顔潰れてるのかもしれなーいーけーどー。空京まで来てデカい顔されちゃ逆にこっちの顔が丸つぶれなのよ。今の所お互い様。」
「私はこの件に関知していない」
「新幹線に乗っていたのはあなたの部下でしょ」
「もう処分しました、二度と彼らがあなた方を狙うことは出来ないでしょう…いいですか、私は子どもを苛める趣味はない。また、無駄に人殺しをするわけではない」
「名誉を重んじる龍騎士の言葉、信じるわ」
「次にあなたとあなたと会うときは、私に場所を指定させてください」
 では、パイオンは明子の手をとる。
「書記さん、この愛らしいお嬢さんを守ってあげて下さい。彼女は口の利き方をしらない、そのうち大怪我をしますよ」
 パイオンはその手に軽く唇を寄せる。
「大胆で愉快なお嬢さん、また会いましょう」
 人影がパイオンを包む。彼の護衛なのだろう。風のように姿を消すパイオン。
「ほめられたんでしょうね、マスター」
 レイは怒りで頬が赤く染まる明子の横顔を見ている。



 叶 白竜(よう・ぱいろん)も同じように、孤児たちが安心して暮らせるよう、空京の夜の街をうろついている。
「確か、このあたりだったはずだ」
 無一文で日本から空京やってきて、アングラカジノで大もうけしたという伝説のラッキーボーイ、カジノで儲けた金を使って始めた怪しげな接待のクラブや飲み屋で大儲け、今ではヴァイシャリーに別荘まで持っていると言われた男が忽然と消えてしまうはずがない。
 金持ちを集めて夜な夜な行われていた怪しいクラブ、その場所は既に調べがついている。
 白竜は、世 羅儀(せい・らぎ)と共に、そのクラブの重い扉を開ける。
 ポップな色彩が眼に飛び込んできた。想像していた内装とは異なる。
「ここに数年前来た事があるんだが…」
 白竜は身分を隠して、店内にいる若者に声をかける。
「探しても無駄だよ」
 若者はけらけら笑った。
「ラッキーボーイを見つけに来たんだろ、奴はしくじったんだ。こっちで作った金をもとに日本で会社を作ったんだよ」
 その先を聞きたいかい、若者はそういって、手を差し出した。
 白竜は羅儀を見る。羅儀はポケットから何か出して若者に握らせた。
「会社の株価はうなぎのぼり、さすがラッキーボーイ、何をやっても金を呼ぶ、皆が出資、財産全部を出資した奴もいる、で、それで終わり」
「終わり?」
「東京の商社を敵に回したんだ、理由は分からない。あっちこっちの知り合いたくない奴らがやってきて、よってたかって会社を殺した」
「はい」
 また、若者は手を出す。
「またか」
 羅儀が何かを握らせる。
「ラッキーボーイは日本の刑務所にいる、復讐したいのなら、日本に行くといい」
「お前はなぜここにいる」
 羅儀が問う。
「お前たちみたいな奴に、ラッキーボーイの居場所を知らせるためさ」


 白竜はその足で、ある職業訓練施設に向かった。
「教導団少尉だ。少し話がしたい」
 羅儀は外で待っている。暫くして白竜が出てきた。
「技術を身につけたい子どもがいたら、私が保証人になることで、職場を紹介してもらう約束を取り付けてきた」
「…」
 羅儀は、ラッキーストライクに火をつけて、ふぅと煙を吐き出す。
「なんで、そんなに一生懸命なんだ。ガキなんてどんな方法だって自分で見つけて生きていけるさ」
「そうだ」
 だが、子ども達に強さを身につけてほしい、戦う強さではない、1人で生きる強さだ。そのためには…。
「レッテが戻ってくる。父親は見つからなかったようだ」
「いつまでもみんな一緒で居ようとすることは現実的ではない…」
「だが、今日は辛口はなしだ。なんてったってパーティだからな」


 安は豚を全て、新しい農場に移した。
 明日は安も引っ越してていく。
「遊びに来るよ、これからは大家さんだ」
 安は綺麗に飾り付けられた部屋を見ている。
 みんな、時間を気にしている。
「ただいまー!」
 大きな声が響いた。
帰ってきた-――。


END



担当マスターより

▼担当マスター

舞瑠

▼マスターコメント

こんにちは、舞瑠です。
最初にお詫びです。すごく遅れてしまいました。本当に申し訳ありません。
二度目の大きな遅れになります。
持病になっている肩こりが悪化し、背中から左手にかけて激痛が走るようになりました。
まさか、肩こりがここまでの症状を引き起こすとは思わず・・・不摂生を恥じるばかりです。
現在も、左手ではペットボトルのキャップも開けられない状態で・・・。
治療すれば治るという診断ですが、根本的な原因に運動不足があると言われました。
本当にすみません。

今回は説明不足なガイドで、こちらも申し訳なく…なのに、みなさま、工夫したアクション、
ありがとうございます。

孤児院は賃貸契約で借りた土地に建設されることになりました。
レッテは孤児院に戻ってきました。なんだかバタバタした話になってますが、
こちらの技量の問題です。
みなさま、ご参加ありがとうございました。