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【空京万博】海の家ライフ

リアクション公開中!

【空京万博】海の家ライフ
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リアクション


パシャパシャパシャ!!
 無数のフラッシュに包まれた衿栖と未散がポーズを取る。
 二人の笑顔とは別に、その周囲は戦場である。
「こっちに視線下さぁぁい!!」
「ヤダよ。おまえが回りこめ」
 ナチュラルに未散が毒づく。
「うわぁーーッ!! お兄さんをもっとなじってくれぇぇぇ!!」
「(クドさん……まだいたんだ)」
 人形を抱きしめて微笑む衿栖がクドを見る。
 よく見るとクドの他にも先ほどまで一緒に司会をしていた幽那の姿もある。
「可愛いわよあなた達!! 最高に!! ……きゃっ!?」
 幽那のポヨンとした胸をうっとおしそうに手で押しのけたのは、美奈子である。
「(デカいのよ!!コルネリア様がお手洗いに行かれた今しか、チャンスないんだから!!)」
 愛用のデジカメは、一見普通より少し型落ちの感もあるものだが、起動時間と連射性能を限界まで高めてあり、美奈子の腕とポジション取りもあってか、カメラオタク達と互角に張り合っていた。
「(さっき、ラーメン食べておいて良かったわ……天国のお父様、お母様。美奈子の胃袋を頑丈にお作り頂き、本当感謝してます!)って……!?」
 美奈子とポジショニングを互角に取り合う浅黒い肌の男。
 手にはどこかで買ったであろうインスタントカメラでの参戦である。
「(この人! ……出来る!?)」
 体格差により強引にポジションを奪おうとする男に、美奈子がスピードで対抗する。
「美奈子? どこにいますの?」
 手洗いから戻ったコルネリアの声が、美奈子に非情のタイムアップを告げる。
「(コルネリア様!? けど、あと一枚だけ、どうしても撮らせて!!)」
 ミスコンにて予備のバッテリーもメモリすらも使いきった美奈子。
「そういえばミスコンが終わった後は撮影会をやるって言ってたっけ。 ……携帯やデジカメのメモリを置いておいたら売れるかな?」
と言い、朱里の売店に並んでいたメモリは定価であり、必ず最安値でメモリを購入していた美奈子が買うにはハードルが高かったのである。
 美奈子はデジカメに示された『残り撮影枚数1』『LOW BATTERY』の表示に集中力を高める。普段はごく普通で地味な美奈子の目つきが、獣が狩りをする目に変わる。男に対して前に出るフェイントを入れた美奈子が、それを妨げようとする男の逆を突き、一気に回りこむ!!
パシャ!!
 美奈子の最後の一枚は、お触りしようとした客に蹴りをかます未散を捉える。
「(やった……やりましたよ!!) コルネリア様、すぐ参ります!」
「見事だな! しかし小娘、自分の力で勝ったのではないぞ!? そのデジカメの性能のおかげだということを忘れるな!!」
 戦い終えてコルネリアの元へ戻ろうとする美奈子に、青い海パンの髭の男がそう叫んだ気がした。



「撮影会じゃあ!」と、土器土器 はにわ茸(どきどき・はにわたけ)が叫ぶ。
 欲望の赴くままにミスコンを撮影し、パートナーの鮪がお星様になった今でも、彼は元気に動画と写真両方のカメラ二刀流で撮影を続けていた。
 鮪と違って、ぼっきゅっぼんなお姉さんにしか興味が無い偏食野郎のはにわ茸は、ミスコン時も、こっそり光学迷彩で普通ありえない至近距離や危険距離、危険アングルを収めようとした。
 だが、その企みはジークフリートと三人の司会により一旦阻止されていた。
 その鬱憤を晴らすかのように、現在は巨体に体格を変えて撮影戦争のトップを走る。
「わしが撮影したビデオや写真は展示物としても活用できるじゃけん! 散っていった鮪のためにも負けられんのじゃ!! ……ん?」
 撮影会で盛り上がる中、セルシウスとエポドスが並んでゆっくりと歩いてくる。
「(ほう。ちょうどエエところに……)」


「何だ?」
 はにわ茸は、セルシウスやエポドスに本日の撮影成果を見せる。
「これがシャンバラじゃあ! これがこれからの全パラミタを席巻する文化なんじゃあ!」
と下着や水着姿の写真を見せて誘惑する。
「胸が……大きすぎるなね」
「ああ」
「ば、馬鹿な!? お前ら、何者なんじゃ!? ほ……ほら見てみぃ、このなななのエプロン&下着等は、特に刺激的だと思わんのかぁ!?」」
 至高のフェチズムを否定され、狼狽えるはにわ茸を残し、通り過ぎる二人の男。
ヒュー……ドォォーーン!!
 夕暮れから夜を迎えた浜辺に花火が打ち上がる。
「得物の条件は同じだ……貴様との争いも、これで終わりにせんとな」
 アッシュの売店で買ったインスタントカメラを掲げるセルシウス。
「相変わらずだね。僕に挑もうとするその姿勢だけは認めてあげるよ?」
 エポドスもインスタントカメラをかまえる。
「貴様が仕掛けたのであろう?」
「冗談。勝手について来たのは一体誰だい?」
「あれは、セルシウス殿?」
 撮影するシンの傍にいたジョニーがその姿を見つめる。
 花火が打ち上がる中、二人のエリュシオン人のオーラに衿栖と未散がキョトンとした顔を浮かべる。
 こうして、因縁ある二人の不毛な撮影バトルが始まるのであった……。
 セルシウスとエポドス……二人の戦いはどうやら今後も続きそうだ‥…。

 後日談を少しだけ語っておく。
 足に突き刺さるガラスの欠片や巨大クラゲの脅威を掃除屋が跳ね除け、
 例え溺れても格好良いライフセーバーの男達が助けてくれ、
 海の家には、定番の不味いラーメンと革新的な旨さのラーメンがある……。
 そう聞きつけたシャンバラの人々で、セルシウス海水浴場は夏の終わりまで非常に繁盛したそうである。
 ただ、経営者と名乗るトーガ姿の男は、雑誌のインタビューにこう答えた。
 「私など、まだまだ勉強不足だ。あぁ、貴公、人々を魅了して止まない場所とはどこにあるのだ?」


(終わり)

担当マスターより

▼担当マスター

深池豪

▼マスターコメント

 ごめんなさい! 若しくはこんにちは! 深池豪(みいけ ごう)です。
 謝罪から始まりましたが、まず、公開がかなり遅れ、皆様をお待たせしましたことを心よりお詫び致します。
 完成間近の最後の最後で『ホットココア』が私のパートナーであるノートPCに与えた大打撃が地味に辛かったです。

 さて、今回のお話は夏の海の家や海岸、はたまたミスコン会場でワイワイやろうというシナリオでした。
 
 書き終えた今、思うところは色々あるのですが、「こちらを立てればこちらが立たず……」という様な判定に苦しんだのが一番印象に残っています。
 マスターにも依るかと思いますが、私の場合、アクション内容は大体採用していますが、「アレもコレも!」と書かれますと、公平性の点からも、まとまった描写が出来なくなる事があります。
 今回も一部の方のアクションは上記の様な理由で不採用になったり、少し意味合いが置き換わったりしています。ごめんなさい!! 
 
 と、ここでパビリオンポイントの行方を発表させて頂きます。

 ・シャンバラの伝統パビリオン 5点
 ・シャンバラの現在パビリオン 15点
 ・シャンバラの未来パビリオン 5点
 総合的に見て、蒼空学園の生徒が一番頑張っていると判断されたため、以上の結果となりました。

 
 また、後半でチョコチョコ出てくる三匹の怪しい男ども。
 彼らは前回の『冒険者の酒場ライフ』にチョイ役で出したNPCなのですが、数名のPL様より再登場の依頼がありましたので登場しました。
 何やら言いたい放題言ってますが、あまり気にしないで下さい(笑)。 

 称号は、話の中で目立った活躍された方を中心に付けさせて頂きました。
 付いてないよ、と言う方は、私がいいネーミングが浮かばなかっただけです。ごめんなさい! 
 今回も多くの方に参加して頂き、非常に感謝しております。大変お待たせした分、皆さんにこのお話を楽しんでいただけたら幸いです。
 それでは、またお会いできる時を楽しみにしております。
 ※9月27日 一部修正を加え、リアクションを再提出しました。

▼マスター個別コメント