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オオカミさんにご用心

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オオカミさんにご用心
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リアクション

 バーベキュー広場で、1人トングを片手に真剣な表情で鉄板の上のお肉を見つめているコンクリート モモ(こんくりーと・もも)がいた。
 鉄板の近くに置いているテーブルの上には大量の肉。
「焼き方は表7裏3の割合……ひっくり返すのは原則1回……あ、牛タンは82」
 トングを握りしめ、タイミングを見計らう。
 鉄板の上のお肉から良い匂いが立ち上る。
「うりゃー!!」
 うっすら茶色になってきたのを逃さず、モモは素早くお肉をひっくり返した。
「まだだ……まだここからが勝負。気を抜いたらダメ……」
 鉄板に顔がくっつかんばかりに近づけ凝視するモモ。
「きゃ〜♪」
 ふと頭上から声が聞こえてきた。
 何が起こっているのかと上を仰ぐと、空中散歩を楽しむ葵とカレンがキャッキャッしていたのだ。
「なんだ……肉を取りに来たのかと……って、ああーーーーーーーーーー!!!」
 視線を鉄板の上の戻すとさっきまで大事に育てていたお肉(カルビ)がなくなっている。
「あたしの肉ーーーーーー!」
「あ、あれ? 食べて良いのかと……」
 たべてしまったのは百日紅 火焔(さるすべり・かえん)だった。
 つかつかと火焔に近寄るとモモは懐から札束を取り出し、往復ビンタ。
「だせ……この人畜!」
 札束で頬がパンパンに膨れた火焔を見て、満足したのか鉄板を振り返る。
 するとハツを紫水 蝶子(しすい・ちょうこ)に、ミノを陽炎 橙歌(かげろう・とうか)に撮られ、鉄板の上は肉汁と焼き後だけが残っていた。
「お〜ま〜え〜ら〜〜〜〜!!! あたしの肉返せーーー!」
 モモの近くにあったフォークやナイフが浮かび上がり、モモの周りを回り始めた。
「キエェーッ!! 肉・か・え・せーーーーーー!!」
 モモはそう叫びながら逃げる蝶子と橙歌を追いかけまわす。
「お肉なんてまた焼けばいいじゃない」
 笑いながら蝶子が言う。
「……たぶん、そういう問題ではない……ですの」
「それがわかってるならなぜ食べたーーーー!!!」
 橙歌の言葉にモモは目を血走らせた。
 飛び交うナイフとフォーク。
 それをなんとかかわす2人。
「あ、あのー……」
 そんな危険地帯に切り込む者がいた。
 モモがギロリと声のした方を振り向く。
 そこにいたのはおろおろした紫水 青太(しすい・せいた)だった。
「……はっ! ここはこんな電波な場所じゃないっ! 恋をするためのところだった!! …………いやぁん(はーと)」
「そ、その……僕、特製タレ作ってきたんで、一緒に食べませんか? 蝶子お姉ちゃんがお肉食べちゃったし……あの、良かったらなんだけど……」
「特製タレに興味があるわ。その話のった!!」
 さっきまでのモモはどこへやら、もう普通に戻ってしまった。
 その変わり身に橙歌と火焔はひいていたが、さっきまで逃げていた蝶子はもう加わってお肉をつついているのだった。