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リアクション
「スノハちゃん、帰ってきたよ!!」
スノハと遊んでいた桃音が戻って来た絵音を発見し、指をさしながら教えた。
「……絵音ちゃん」
いざ、絵音を確認すると緊張と不安で足が動かない。
「スノハちゃん、大事なお友達の所に行こう。あたしとももんちゃんも一緒だから大丈夫!!」
ネージュは、優しくスノハに言った。名前を聞いて飛び出すぐらい絵音のことが大好きなを知っている。あとは、ほんの少しだけの力添え。
「スノハちゃん、行こうよ」
桃音はスノハの手を握って絵音の所へ走って行った。ネージュも後ろから追う。
「ねじゅちゃん、私はナコ先生達に絵音ちゃんのことを教えて来ますねー」
「ありがとう、水穂ちゃん」
水穂は、見送ってから絵音が戻って来たことに気付いていない大人達の所に急いだ。
「……スノハちゃん」
絵音は目の前に現れたスノハになかなか言葉をかける勇気が持てない。絵音を連れて来たネージュと桃音は、どきどきと事の成り行きを見守っている。
「勇気だよ!! イリアが応援してるから頑張れ」
「二人共、大事なお友達だって言わないと伝わらないですよ」
「ここで謝らないとずっとお話ができなくなるよ」
友情の素敵さを教えたイリアと気持ちは言葉にするべきと伝えた加夜、もう一度話しをするようにと言った北都が二人を応援するが、少女達の沈黙は続く。
「……ナコ先生、絵音ちゃんのお父様、お母様、絵音ちゃんが戻って来ました」
水穂は半泣きのナコや怒り顔の絵音の両親に伝えた。ナコは急いで園児達の所に急いだ。
娘の無事を確認するため両親も急いだ。
水穂に呼ばれたナコの顔は半泣きではなく、すっかり保育士になっていた。
「絵音ちゃん、お帰り」
ナコは二人の間に屈み、言葉が出ない二人の顔を見た。
「二人はあおぞら幼稚園一の仲良しでしょ。ずっとずっとお友達でいるんでしょ」
ナコは、二人の顔を見比べながら二人にとって一番深い言葉を染み込ませた。
「……ごめんね、絵音ちゃん」
「……ごめんね、スノハちゃん」
ナコの言葉がきっかけとなり二人は我慢していた涙を流し、謝った。
そして、
「ずっとずっとお友達でいてくれる?」
「うん。ずっとお友達だよ」
二人は涙を拭いてそれぞれの小指を立てて指切りをした。
ナコは、二人がずっと友達でいようと言って指切りをした秘密の約束を知っていたのだ。まだまだ足りないところはあっても園児達を大事に思う気持ちは人一倍の保育士なのだ。
「……先生、ごめんなさい」
スノハとの仲直りが終わり、喧嘩したあの時をやり直した後、ナコに迷惑をかけたことを思い出して顔をうつむかせた。
「心配したんだから。でも、無事に帰って来てくれて良かった」
深く反省している絵音に言う言葉はない。叱らなくても分かっているから。
それでもお咎め無しにする訳にはいかないのである行動を取った。
「先生とも約束してくれるかな」
二人と同じように小指を立てた。
「うん」
絵音はこくりと頷き、自分の小指を絡めて指切りをした。
「もう、心配かけないでね。約束、むーすんだ」
ナコは絵音と約束をして小指を離した。
これでスノハの仲直りとナコの約束は終わった。
「スノハと絵音、仲直りしたよ〜。これでまた一緒だね♪」
「今までよりもずっと仲の良い友達になるだろう。二人にはいい経験になるだろう」
少し離れた所で仲直りを見守るアニスと和輝は、笑い会っている子供達に安心していた。アニスは、満面の笑顔になっている。
「次の仲直りは両親じゃのう。寂しい気持ちを理解してくればよいが」
ルファンは、怒りと娘が戻って来たことへの安心を浮かべてやって来る両親を見た。
「絵音、良かった。先生は頼りにならないし、民間人に助けられたとか嘘を言うし。仕事を置いて飛んで来たよ」
「無事で良かったわ。身代金誘拐じゃないかと本当に心配したのよ。そういう事件が結構あるから」
絵音はやって来た両親をじっと見るだけで両親の側に行く様子が無く、表情は不機嫌。