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囚われの君を助けろ!

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囚われの君を助けろ!

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ガサ入れ!

 潜入した生徒とそれを連携し、整理する生徒達によって万全の体制でガサ入れに望むことが出来た。
 ルカルカはパートナーのダリル・ガイザック(だりる・がいざっく)と捜査を共にし、カルキノス・シュトロエンデ(かるきのす・しゅとろえんで)は裏口を固めて逃亡を阻止せんとした。
「フリーズ! 国軍だ!」
 捜査令状を掲げるクレアと突入するルカルカとダリルとマクスウェル・ウォーバーグ(まくすうぇる・うぉーばーぐ)湯浅 忍(ゆあさ・しのぶ)
「ガサ入れだ!」
ハンス・ベルンハルト(はんす・べるんはると)は叫ぶと机を蹴り飛ばして盾にし、マシンピストルで捜査員へ派手に乱射し始めた。
それに対して、一旦後退する事となった捜査員達。
「しつこい!」
突入してくる捜査員へ機晶爆弾を投げ、対抗する。
ハンスを排除しようとマクスウェルと湯浅が動くが、地の利はハンスの方にあった。
一進一退の攻防戦が繰り広げられていた。
一方、ガサ入れが始まった時に裏口にいたカルキノスが逃亡しようとしている店員や客を許さないようにしていた。
 万が一、客や店員に扮してリチャードが逃げないとは限らないのだから。
というよりもカルキノスの姿を見た客や店員がその姿に怯えてしまって裏口から出てくる様子がなかった。
 他の捜査員へ裏口を任せると飛び立ち、空から店を鳥瞰して警戒を行なっていた。
空から見渡す店の様子――それは如何にも大捕物といった感じの混沌さが出ていた。
 その混沌とした大捕物の現場――。
「関係のない人間は伏せろ! 私はルカルカだ!」
 業を煮やしたルカルカは名乗りを上げて名声により相手を怯ませ沈静化させようとしたが……。
「ロイヤルガードのルカルカざんすよ! 倒せた奴には自由にしていいザンス! 報酬もたんまりザンス!」
 リチャードらしき男の声がスピーカーより流れる。
「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」
 名声はアンダーグラウンドでは逆効果のようでルカルカを倒さんと用心棒以外にもボーイまでもが暴徒となり人の並がルカルカを狙ってくる!
「已む得ないッ! 確保ッ!」
 クレアは反抗する店員たちを鎮圧、検挙することにした。
「ガサ入れん時に一緒に救出の手伝いもしてみる──これ、いいかもなぁ」
 その様子を見ていた瀬山が動き出し、鎮圧に手を貸していた。
 ハンスは他の捜査員へ牽制し、時間を稼いでいたが……。
「……頃合いだな、契約分は果たしただろう……」
 ハンスは発煙手榴弾を投げ込むと、瞬く間に煙が充満し視界を妨害されるようになったのを確認すると光学迷彩で逃走した。
そんな中、クレアの『親衛隊員』とダリルの威嚇射撃でクレアやルカルカに向かっていく暴徒を鎮圧していく。
 マクスウェルと湯浅、そして店員側では瀬山が向かってくる暴徒に対して気絶させるなどして向かってくる人の波を減らしていく。
 ルカルカはリチャード確保に事務所へ『ブライドオブブレイド』で暴徒をかき分け――ダリルは証拠の確保のために二丁の魔道銃で撃ち減らしながら事務所へと向かっていく。
 
 突入の少し前。
「遅いです鉄心……私、借金がとんでもないことに」
 源の席についたティーは待っている間に色々なことがあったのを報告した。
 ティーはよほど怖く、心細かったのか無意識にくっつきながら内部のことを説明し始めた。
暴力や無理やり働かされてる境遇の子のことを源に話していると、みるみる源の表情が険しい物になっていった。
そんな源をティーは心配そうに見つめる。
「……それで、君は大丈夫だったのか?」
 そんな、ティーを心配して源は声をかける。
「はい。ちょっと男の人が怖くなりそうですけど」
 ティーは安心させようと、冗談ぽく笑って答えるが――心なしかその表情が痛々しく源には感じ取れた。
「なるほど……わかった。それじゃしばらく騒がしくなるが、君は彼女らを守っていてやってくれ」
 源は憤りを覚えながらも、他の生徒や捜査員へ連絡を入れるとティーを行かせ、グラスに残っていたウイスキーを飲み干した。
「……不味い酒だ」
苦々しく吐き捨て、ボトル片手に店主の所へと向かっていった。
 
 他の潜入していた生徒にも動きがあった。
 泉が地下に囚われているであろう少女達を救出しようとするが――突如、警報機が鳴り出しリチャードの部下が集まり始めた。
「ッ!」
 泉はどこからともなく飛んできた「リターニングダガー」によって致命傷ではないがダメージを受け、殺気看破を使うが察知に失敗した。
 構えた泉に次々とダガーが飛んでくるが、回避には成功していた。
「そこっ!」
「妾は辿楼院じゃ」
 看過された辿楼院は泉に名乗りを上げる――そして、辿楼院による時間稼ぎの攻撃によって泉はリチャードの部下に囲まれてしまった。
 こうして、地下を巡る戦いが始まったのだった。
 一方、ミナは事務所へ向かう――途中、同じく事務所に向かっているルカルカとダリルと合流した。
 三人がついた事務所は――金庫が開け放たれ、逃げ出したかの様な騒然とした様子だった。
 徐ろにダリルは開かれたままになっているノートPC確認すると証拠の保全を行い始めた。
 ルカルカは事務所に貼れられている地図を目にやるとリチャードが逃げそうな妖しい所へ向かった。
 ミナは帳簿らしきものを金だけを持ちだしたのだろう金庫から手に入れる事が出来た。
 そして、ダリルに帳簿を託すと泉の向かった地下へと向かっていった。
 
 混沌を極める捜査現場。
 その混沌を利用して動いているのは佐野とパートナーのアニス・パラス(あにす・ぱらす)スノー・クライム(すのー・くらいむ)だった。
スノーはアニスから『式神の術』で式神化した『キュゥべえのぬいぐるみ』を護衛に混乱の隙を見てアニスの放った『サンダーブラスト』によってできた停電の闇に紛れて突入する。
「落ち着け!」
突如の停電に両陣営はパニックになるが、捜査側は店側の混乱を他所にルカルカとクレアによってすぐに混乱を収束させた。
 だが、その僅かな隙を突き、スノーは目的地へと進めていった。 一方の佐野も闇と混乱に乗じて目的地の部屋へと向かっていった。
「和輝、おまたせ」
 途中でスノーと合流し、武器――『曙光銃エルドリッジ』二丁を受けとり武装する。
 二人は闇に紛れて店の地下とは違う最奥部へと向かう。
 佐野達が踏み込んだその部屋は――店に似つかわしくない上品な部屋であった。
 どうやら――身代金目的のために丁重に扱われていたようだ――だが、用を成さねば彼女は地下へと送られていたであろう。
「あなた達は?」
 佐野と面識のない少女の表情は恐怖に強ばっている。
「依頼で救出にきた」
 その言葉を聞くと、こわばった表情から安堵した表情に変わった。
「すまないが……」
 佐野は少女にスノーを纏ってもらうと少女の姿から少年の姿に見えるようになった。
「!?」
「見た目だけだから、気にしないで」
 佐野は説明すると、混乱に乗じて現場を離れるのであった。
 
 一方、闇に閉ざされた店では……。
 地下への攻防もそれを守る人間は無限ではない――泉の優勢が決定的になりつつ有った。
「これまでなのじゃ」
 ここまでやれば契約履行したと感じた辿楼院は『疾風迅雷』と『隠れ身』を使って撤収することとした。
 こうして、泉は地下へ進むことが出来た――表の店とは違って陰鬱な雰囲気が漂う地下。
 襲撃を警戒しながら進むも、その殆どが表の捜査班との戦闘へ向かっていた様だった。
 地下牢――。
 鉄格子で区切られた部屋には少女達が鎖につながれ、囚われていた。
「……大丈夫?」
 牢から開放しつつ泉は『歴戦の回復術』でアリアや少女達を癒していた。
 手紙の差出人の少女の名前を呼んで探すと――。
「……は……い」
 掠れた、消え入りそうな声で返事が帰ってきた所に二人は向かった。
 憔悴してぐったりとした少女――手紙の主を探し出すことに成功した。
 
 残るは――リチャード本人のみであった。
「鍛え方が足りんな…」
 源は相当頭に来てるな、と自覚しつつも却って不気味なほど冷めた態度で『殺気看破』に反応がある
店員に対して『銃魔道銃』を躊躇なく抜いて『真空刃』、『追加射撃』を使って倒しながら進んでいた。
リチャードの場所を聞き出すことに成功した源は一目散へその場所へ進むと――。
其処には逃亡しようとしていたリチャードがいた。
「……貴様のせいで酒が不味い。どうしてくれる」
 逃亡しようとするリチャードに源は『魔道銃』でリチャードを掠めるように発砲する。
「ひぃ!」
リチャードは逃げようとするが、既に他の捜査員へこの場所は連絡済みなのですぐに集まってくるだろう。
「いいか。二度と同じことをして見ろ。楽に死ねると思うなよ。
 それでとうとう貴様が死んだら、俺も死んでナラカでも殺し続けてやる。
 俺はお前のような奴をそうするのが何より好きだからな。是非そうしろ」
 源の憤怒した気迫に怯むリチャードはヤケクソ気味になって逃げ出すが――。
「自分の欲のために女を泣かせる奴は許せねえ!」
 逃げるリチャードの正面から泉が軽身功で等活地獄を叩き込んだ。
 其処へ――。
「最早逃げられぬ。神妙に縛につけぃ」
 『先制攻撃』で槍の柄で当て身を行ったのは夏侯 淵(かこう・えん)だった。
 当て身によって吹き飛ぶリチャードだが、諦めも悪く逃亡しようとするが――。
 『分身の術』によって現われた残像に囲まれるリチャードは動揺してしまい一瞬、動きをとめた。
「金以外の価値を刑務所で見つけて来い」
 その隙を狙って夏侯 淵は『忍び蚕』で身柄の確保を行った。
 そうしているうちにルカルカがやって来てリチャードに手錠を掛けた。

 ホールには身柄を確保された客や店員、そして治療を受けている少女達と云った様相だった。
 クレアは捕まえた客や店員に対して尋問を行なっていた。
「捜査といっても大したことはない」
 先にの戦闘で緊張していた客や店員にすぐに釈放されるような雰囲気を作り、誘導尋問を行って裏付けを行なっていた。
 そのクレアの横ではパートナーであるハンス・ティーレマン(はんす・てぃーれまん)が手に入れたt帳簿を『経済』を追加いチェックをしていた。
「ハンス、どうだ?」
「クレア様、矢張りというか怪しいところが散見されます」
 二重帳簿の可能性も出てきた――ルカルカ達が手に入れたPCのデータの分析が重要な証拠になるだろう。
 どこに捕縛され、連行されていくリチャードの姿があった。
その後……

 
 会議室――。
 其処には今回の捜査に参加した関係者が揃っていた。
「ご苦労だった」
金 鋭峰金 鋭峰(じん・るいふぉん)が皆をねぎらう。
ルカルカが差し出したのは今回の事件の報告書だった。
その報告書の中身とは――
 リチャードの悪虐非道の限りと囚われていた彼女たちのことについてだった。
囚えられていた少女達はたしかに借金が有ったが、それに追加された理不尽な借金や利子を除くと多額の金額が支払われることとなっていた。
皆が心配していた路頭に迷う様なことはないだろう。それにカウンセリング等の支援も約束されていた。
「しかし、これは意外と根の深い問題かもしれない」
 憂いた表情で報告書に目を落とし、告げた鋭峰。
 リチャードが行なっていたのは多岐にわたり、そして一構成員でしかなかったという調査内容であった。
 当のリチャードは黙秘を続けている様だった。
「そう言えば――」
 鋭鋒が声をかけると、会議室のドアが開いた。
「ありがとうございます……」
 会議室に現われたのは差出人の少女は深くおじぎをすると皆に感謝の念を伝えた。
 
 帰り道――
 会議室から出てきた源を待っていたのは源のパートナーであるイコナ・ユア・クックブック(いこな・ゆあくっくぶっく)だった。
「おまたせ、イコナちゃん、お留守番してもらって正解でした……」
「当たり前だ」
 こうして三人は帰路に着くのであった。
 

担当マスターより

▼担当マスター

後醍醐

▼マスターコメント

 後醍醐です。
 この度は、参加有難う御座います。
 至らぬ所もあるとは思いますがどうぞこれからもよろしくお願いいたしましす。