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【神劇の旋律】ストラトス・チェロを手に入れろ

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【神劇の旋律】ストラトス・チェロを手に入れろ

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第十二章 ストラトス・チェロの行方 3

 そして。

「素晴らしい演奏だったよ」
 コンサートを終えた後、満足そうな表情のテニエ氏を交えて再び交渉が再開される。

「この素晴らしいチェロを、どうか日の当たる場所で使わせていただくわけにはいきませんでしょうか」
 テスラのその言葉に、セニエ氏はあっさりと頷いた。
「あの音色を聴いてしまうとな。奏でることすらできない私が所有していても、宝の持ち腐れに思えてきた」
「……では?」
 交渉の成功を予感させる言葉に、一行の期待感が高まる。
「このチェロを皆さんにお譲りしよう……ただし、だ」
 そう言いながら、セニエ氏が提示したのは……クロウディアの15万Gほどではないものの、やはり容易には支払えぬような金額だった。
「15万Gで買う、という話もあったのだから、これでも安いと思うが」
 その言葉に、困ったように顔を見合わせる三姉妹。
 その様子を見かねて、数人が助け船を出そうとした時。
「だが待てよ、私は君たちを疑ったことの償いをしなければならないな」
 提示額の下に、マイナスの記号のついた金額が書き加えられる。
「それに、あんなすばらしい演奏はなかなか聴けるものではない。そのお礼もしたい」
「そうそう、モンスター騒動の解決に尽力してくれたお礼もまだだったな。こういうことはしっかりしておかねば」
 あっけにとられる一同の目の前で、マイナスの金額が次々と書き加えられていき……それらを全て差し引くと、残ったのはほんの昼食代程度の額になってしまった。
「それくらいなら、ワタシが……」
 言い値を支払おうと財布に手を伸ばしかけたシェリエを、何かに気づいたトレーネが手で制する。
 それを見て、セニエ氏は少し芝居がかった様子でこう言った。
「だが、今さらこの程度の金額を受け取るというのもな……。
 そうだ、この差額の代わりに、今度コーヒーの一杯でもごちそうしてはくれんかね?」
「ええ、喜んで。ご来店をお待ちしていますわ」
 間髪を入れず頷くトレーネに、セニエ氏が満足そうに頷き返し。

「ひょっとして、最初からそのつもりだった?」
 一同を代表するように美羽がそう口にすると、セニエ氏は楽しそうに笑ったのだった。
「今回は騙されたり振り回されたり散々だったからな。
 最後くらい、私が振り回す側に回ってもいいだろう?」





 とまあ、そんなこんなで。
 ストラトス・チェロは、無事にディオニウス三姉妹の手に渡ったのであった。

担当マスターより

▼担当マスター

三刀屋一馬

▼マスターコメント

 三刀屋一馬と申します。
 この度は私の担当シナリオにご参加くださいまして、誠にありがとうございました。

「あれ? この話って『三姉妹と一緒に悪いドルイドを退治する』話じゃないの?」
 そんな感想を抱かれた方、私も皆さまのアクションを読むまではそのつもりでしたし、実際そうなる予定でした。
 
 ……そのはずだったのですが、もう、ね。

「こんな個性的なアクションかけられたら、使わないわけにはいかないじゃない!」

 ……とまぁそういうわけで、当初の予定とは似ても似つかぬお話になりました。

 わりと普通なアクションをかけて、普通のリアクションを期待して下さった方。
 シナリオそのものの方向性が大きく変わってしまったため、アクションの方をだいぶ意訳させていただいた部分がございます。
 ご期待に添えなかった部分もあるかとは存じますが、「まぁ、三刀屋一馬だしなぁ」と笑って許していただければ幸いです。

 そして、某動画サイト風にいうところの「だいたいこいつのせい」なアクションを下さった方々。
 皆様のおかげでこのハチャメチャなリアクションができ上がりました。なんということをしてくれたのでしょう。
 ともあれ、少しでも皆様のご期待に添えていれば幸いです。

 最後に、今回もまたリアクションがかなり長くなってしまいましたが、例によって例のごとく、プレイヤーの皆様の素敵なアクションが多すぎて「全部入り」状態になってしまった結果、ということでお許しいただければと思います。