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【新歓】水鉄砲騎馬戦

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【新歓】水鉄砲騎馬戦

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呼び込んだのは福か悪か

 二丁水鉄砲を手にしている深月は、歴戦の防御術のほうの銃舞の原型の奇門遁甲技術を上手く利用し、敵の距離、位置を騎手のリカインに伝えていた。


「リカイン、北西の方角から二機、東の方角から一機来るから要注意じゃよ」
「あ、なんだかここは一気にこちらから攻め込んだ方が良さそうです」
「なら、二機の方から攻めるぞ。一機の方は的が濡れてないが、二機の方はどっちも濡れているように見える。オレが右側の奴を、深月は左の奴を狙え。外すんじゃないぞ」
「わらわの腕前を海は知らぬのじゃな。よかろう、わらわのガンシューティングの腕前とくと見るのじゃ」
「みんな気合はおっけー? しっかり掴まってるのよ!」

 三機は息を合わせるようにして撃って来る。
 飛んで来る水を海がアルティマトゥーレで凍らしながら、リカインは二機の間に一直線に突っ込んで行った。
 海が凍らせきれなかった水弾は、後で狙うばずだった東側一機の的を破る。

「やはりクロニカといると予想もつかぬ高利益がもたらされるのぉ」
「そうでもないですよ。今回はたまたま私たちの幸運が向いただけです」
「無駄口はそれくらいにしな。すれ違うぞ」

 二機の間に突っ込んだリカインのアルバトロス。
 左右対になるように張られていた的を、深月と海はそれぞれがそれぞれの的を撃ち抜いた。

「……海、なかなかやるのぉ」
「深月も以外にやるな」

 互いが互いを褒め合っていると、本来突っ込む直前までいた場所で大きな接触事故が発生する。


スガーーーン!!


 接触した箒と小型飛空艇オイレがバランスを崩して堕ちていく。
 落下中、下方にいたキロスチームと理子チームの数組が巻き込まれる。

『あーっ! 箒とオイレが接触!! 巻き添えで数組が地上へ落下していきます! 救護班急いで下さい』

 地上では事故に備えて控えていた蒼空学園の生徒たちが、慌てて風術やサイコキネシスなどで事故に巻き込まれた人々に怪我が無いようにして地面へ足をつかせている。

『この接触事故で乗り物が故障した組は残念ですが、リタイアとなります。失格者エリアへお願いします』

「なんだと!? 俺たちはまだやれるぞ!」

 優斗の放送で巻き添えをくった組が反抗して、救護班の一人の胸座を掴む。

「お待ちなさい! 故障した機体で競技続行するのは危険ですわよ」

 小型飛空艇に乗っていた審判者、バーソロミューが止めに入る。
 バーソロミューと救護班の胸座を掴んだ組と言い合いになっているのを上空で見ていたリカインたち。

「……クロニカ、もしかしてこれも呼び込んだとか言わんじゃろな?」
「とんでもない。私の呼んだのはあの二機を、しいて言えば残りの一機も撃ち落とせるようにとさせただけで……」
「そんなのどっちでもいいよ! 因縁でもつけられたらごめんだわ。さっさとこの場を離れましょ」

 バーソロミューに見つからないよう、リカインたちは接触事故の現場から早急に逃げ出した。

「……だったら、失格の決定を取り消しな!!」
「できませんわね。二次災害を防ぐ為にも、失格者エリアへお入りになってくださいませ」
「お黙りなさい!」

 バーソロミューの厳しい目に、食いかかって来た組の者は怯み大人しく失格者エリアに入って行った。

「あの……ありがとうございます」
「いいえ、我は海賊の掟を手下に布いていた大海賊ですわ! ですから審判になっても、厳しいのは当たり前です。では、失礼しますわ」

 ふふっと笑い、バーソロミューは審判の続きをしに上空へ飛び立った。