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動物になって仁義なき勝負?

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動物になって仁義なき勝負?
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 そして、久秀と光秀の対面。

「あらあら、随分と可愛らしい姿になったわね、光秀」
 不敵な笑みを口元に浮かべながら猫になった光秀を舐め見る久秀。
「相も変わらず、勘に触る人ですね」
 光秀はプイと顔を背けた。
「ところでこれは何だと思う?」
 面白い事を見つけてとてもいい顔をしている久秀は猫じゃらしを取り出しフリフリと振った。
「……ふん、そんな物に誰が屈するものですか!」
 光秀は、ちろりと横目で揺れる猫じゃらしを確認するも顔は背けたまま。
「ほらほら、可愛い猫ちゃん」
 久秀は、猫じゃらしを光秀に近付けながら弄び始める。
「……くっ」
 耐える気満々だが、尻尾はゆらりと猫じゃらしと同じ方向に無意識に動く。
「ふふふ、堅物が形無しね。ほらほら、我慢しなくても良いのよ?」
 激しく動く尻尾を見て愉しくなる久秀。
「自分に素直になりなさいな。楽になるわよ」
 久秀は心底愉しそうに光秀に言う。
「こんな姿でなければ、即座に射殺したものを……!」
 光秀は、そう言いつつも尻尾はますます激しく動き、じゃれつきたくてそわそわする。

 蚊帳の外の和輝と夜月。
「渚は緩みきった顔で凄くガキンチョを愛でているし、光秀は松永に弄ばれて、仲良いよなぁ」
 賑やかな様子に夜月が感想を口にする。
「……お前も大変だな」
 和輝はぽんと夜月の肩を叩きながら言った。
「まぁな、でも飽きない連中だ」
 夜月は肩をすくめながら答えた。
「それでお前も子供捜しか?」
 和輝は改めて夜月に聞いた。
「そうだ。せっかくだから一緒に捜すか?」
 夜月はうなずき、共同戦線を誘った。
「俺もちょうどそのつもりだ」
 和輝は快諾した。
 その瞬間、タイミング良く白鳩の群れや使い魔達が戻って来た。

「アニス、久秀」
「渚、光秀」
 和輝と夜月はそれぞれ楽しんでいる仲間に声をかけた。
 お遊びもここまでだ。やるべき仕事をしなければならない。
 声をかけられた四人は、現実に戻った。
 白鳩の群れや使い魔達が発見した園児達はそれぞれ別の場所にいた。その結果、二手に別れて救出に向かう事にした。

 森に侵入してエースはすぐに『人の心、草の心』で植物から園児達の情報を聞き出していた。森の事を聞くなら森の住人に聞くのが一番である。
「……どうですか。もう十分、情報は集まったと思いますが」
 エオリアは話に夢中になっているエースに声をかけた。明らかに園児の話しをしてない事は端から見て明らか。
「あぁ、魔術師が去って安心したそうだよ」
 何度目かのエオリアの呼びかけに気付き、エースは先ほど得た情報を伝えた。
「それで、園児達は……」
 知りたいのは園児達の事。
「あぁ。ここからそう遠くない所にそれらしい動物が」
 園児達の情報もきちんと手に入れていた。
 それと同時にエオリアが捜索に放っていた白鳩の群れが戻って来た。
「……戻って来ましたね」
 エオリアは手早く情報を確認。
「どうやら向こうにもいるみたいですよ」
 植物と使い魔から得た情報によって向かう場所は二カ所となった。
「ここは別れて救出した方が効率が良さそうだね」
「そうですね。急ぎましょう」
 二人は効率を考えて二手に別れる事にした。園児達をこれ以上、森にいさせたくはないから。

「……あの子ですね」
 エースと別れたエオリアは白鳩の群れが探し当てた場所で蛇を見つけ、『殺気看破』を使って感じる雰囲気から園児だろうと近付き、声を聞いて確定。

「どうしよう。誰もいないよ。わかんないよ」
 蛇になった少年は迷子になって泣いていた。

「……怖がらせないように眠らせて」
 エオリアは少年の背後で『子守歌』を使い眠らせた。
「この姿を見たらトラウマになりますからね」
 そう言ってエオリアは少年を掴んだ。
 その時、遠くから騒々しい音が聞こえて来た。
「……これは誰かが戦闘をしている音ですね」
 エオリアはそのままもの凄い勢いで音のする方へ向かった。

「……今、わらわ達は小動物が見ておる景色の中におるのだな」
 羽純が人の時は違う森の景色に言葉を洩らした。
「そうですね」
 ホリイもうなずき、周囲を見渡した。
「気合を入れろよ。この間にも子供達は助けを待っているんだからな」
 甚五郎は周囲の様子に関心を示す二人に言った。
「はい」
 ホリイは素直に返事をした。
「うむ……あれは、誰かが変身したものかのぅ」
 羽純はうなずきながらも空から向かって来る鳥に視線を向けた。
「ん? いや、あれは違う。わしらを狙っている」
 甚五郎は『殺気看破』でこの森に住む本物だと見抜いた。自分達を餌だと思っていると。
「ねねね、狙っておると!?」
 羽純は少し焦った様子で迫る鳥を見る。
「……食べられるのは嫌です!」
 ホリイは追い払おうと『光術』を使った。
 魔法は口の辺りから発射され、その様子は大砲だった。
「オリバー」
 敵を退けたのを確認した後、甚五郎は頼りになる運び屋オリバーに言った。
「おっと、三人が食われる前にな」
 オリバーは横から飛び出た蛇を巧みに避けてから走る速度を上げた。
「……次は蛇と。ここは捕食者がいっぱいじゃ! 小動物にとってこの世界はかくも危険に満ちておるのか、元凶のあの兄弟にはたっぷりと説教をしてやらねば」
 そう言いつつ羽純は『ディテクトエビル』で周囲の警戒を始めた。

 その時、
「ちょ、来るなよーーー」
 周辺からヒスミの叫び声響いて来た。

「……急ぐぞ、オイラから落ちねぇようにしろよ」
 叫び声を聞くなりオリバーは走る速度を上げ、ヒスミの元へと急いだ。