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【第二次架空大戦】流星、堕つ!

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【第二次架空大戦】流星、堕つ!

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06:『束の間の休息 忍び寄る影』

 ヘルガイアの幹部ドクター・キョウジこと湯上 凶司(ゆがみ・きょうじ)は、配下のネフィリムシリーズに記憶調整を施し、細工をこなった上で街へと放った。
「勇者が強いのなら…勇者に戦ってもらえればいいのですよ。
 まぁ見ていてください。人など単純なもの……ククク」
 ほくそ笑むキョウジに、語りかける女性がいた。
「果たしてそううまく行くでしょうか?」
「大丈夫ですよ、ミスゴールド。ネフィリムシリーズ、私の自信作です」
 それを聞いてカミーユは笑った。
「まあ、頼もしい……」
 それを勘違いして、キョウジは調子に乗る。
「アレには偽の記憶と身分を与えています。『我々のスパイが軍や勇者の中にいると聞いてしまった』とね」
「そうですか」
 カミーユは、それを聞くと通信装置の電源をオフにした。

 未来が街を歩いていると、はぐれロボットに追いかけられている少女を見つけた。それはエクス・ネフィリム(えくす・ねふぃりむ)。ドクター・キョウジのネフィリムシリーズの一人だった。
「大丈夫!?」
 駆け寄り、その少女とロボットの間に割って入ると、庇うように両手を広げて胸を張った。
「お姉ちゃん、助けて!」
「大丈夫よ。きっと勇者が助けてくれる……」
 そして、その言葉通り、街をパトロール中だったハーティオンがそれを発見し、助けに入る。
『来い、ベアド!』
 星怪球と合体しベアド・ハーティオンになると、必殺技を繰り出す。
『グレート勇心剣』
 光り輝く両刃の剣で、一撃のもとにロボットを切り裂く。
「ありがとうハーティオン!」
 ハーティオンが合体を解除すると未来が抱きつく。
「未来、その子は?」
「えっと、ロボットに追いかけられていたところを見かけて……あなた、お名前は?」
「ボクは…ボクはエクス……大変なんだ。悪のスパイが、勇者や軍の中にいるって!!」
 基地に戻ったハーティオンによって、その言葉は衝撃を持って国軍に伝えられた。つい先だって、共同体から裏切り者が出たばかりだからである。
 
 時を同じくして、学校に転校生が現れた。その名前はディミーア・ネフィリム(でぃみーあ・ねふぃりむ)。ネフィリムシリーズの一人である。
 ディミーアは勇者たちと仲良くなると、『戦闘から逃げる途中、勇者たちに潜んで同士討ちを狙っているというスパイの会話を偶然聞いた』という噂を流し、その上で
「みんなが殺し合うことになったら……私…私……!」
 と言いながら涙ぐんでみせた。人のよい勇者たちはそれにころっと参ってしまい、誰がスパイかと疑いギスギスし始めたのである。

 とどめにセラフ・ネフィリム(せらふ・ねふぃりむ)である。フリーの報道記者セラフを名乗り、学校や国軍に取材をし、
「オリュンポスの女スパイが勇者に取り入って裏切らせようとしているらしいとタレコミを受けたのですが、この情報をどう思いますか?」
 と、しつこく繰り返した。
 3ルートからの情報。
 複数のルートで情報を確認すると人はその情報に信ぴょう性があると思いこむ。そして、非常に悪質なことに彼女たちは嘘をついていない。記憶を操作されてそれを真実だと思い込んでいるのである。
 
 そして、謎と波乱を含んだまま、夢は続くのだった。

担当マスターより

▼担当マスター

樹 和寿

▼マスターコメント

 おまたせしました。遅れて申し訳ありません。
 言い訳にしかなりませんが、指の関節が痛くて一本指打法で文字を打ってました。おかげで作業時間が普段の五倍くらいかかってました。

 さて、今回はアクションで決定的な決着を付けるようなものが見つからないこと、伏線を仕込むアクションが多かったこと、そして樹自身の指の問題から若干短め、そして次回に引きをもたせる形での幕引きとなりました。
 早く終わるようだったらもう少し脚色をしたかったのですが期限を超えても終わらなかったのでこのような運びとなりました。平にご容赦ください。

 さて、次回はこの続きから始めます。できるだけ継続して参加して頂きますようお願いします。

 なお、今回は個別コメントは省略させて頂きます。