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冬のSSシナリオ

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扉を開けるとなんとやら、がここのオチ

「えー、というわけなんだけど……レティに代わって謝るわ」
 モニター向こうのテンションとはまるっきり違うこちらの空気を感じ、ミスティ・シューティス(みすてぃ・しゅーてぃす)が溜息を吐きながら頭を下げた。
 ちなみにミスティは【デジタルカメラ】を持っていた。何でも今回の御披露目を放送局に持ち込む算段であるようで、挑戦の光景を撮影するようにレティシアに頼まれたのだという。
「いやいや、頭を上げてくれよ。別にあんたは悪いわけじゃないだろうし……」
 困ったようにシオンがミスティの頭を上げさせる。
「そうだよ。面白そうだし、気にしてないから」
「佳奈子は少しそう言うのを気にした方がいいと思うわ」
 能天気な佳奈子に、エレノアが溜息を吐いた。
「まあいいじゃないか。こういうアトラクション施設は確かに面白そうだしね」
 その様子を見てからからと笑いながら桃華が言う。
「そうそう、こういうのは楽しんだもの勝ちだよぉ」
「いや、お前も少しは気にした方がいいと思うぞ」
 この状況を全く気にもしない様子の弥十郎を窘める様に八雲が言った。
「確かに少し気を引き締めた方がいいかもしれないな。悪の組織のハデスが城側にいるとなると、何かしら邪悪な計画を練っているに違いない」
 巫女装束を纏った永谷が電源の入っていないモニターを睨む。考えすぎに違いないが、誰もあえて突っ込まなかった。
「ところで永谷さん。何で巫女装束なのかしら?」
「ああ、軍服以外で着慣れているんだよこれ。雰囲気も出るし、行動しやすいってのもあるな」
 ミスティに聞かれた永谷はそう答えた。
「そう……あら? 後一人……牙竜さんが居たはずだけど……」
 ミスティが皆を見回す。言う通り、確かに一人足りなかった。
「ああ、牙竜殿は今ちょっと――」
 ツールが何か言おうとした、その時だった。

「ケンリュウガー……剛臨ッ!」

 ヒーロー衣装を身に纏い、牙竜がミスティの前に飛び出す。
「――着替えに行っていたでござるよ」
「そう、みたいね」
 ツールの言葉に苦笑いを浮かべながらミスティが頷いた。
 カメラがある、という事とセイニィが居る、という事を知るや否や、牙竜は着替えに走っていた。曰く、『カメラで撮影してるならヒーロー衣装で映るのが基本!』との事。
「ヒーローは遅れて現れる、ということだ! ところで、カメラ写るならどんなポーズがいいのか?」
 ミスティのカメラを意識して牙竜がポーズをとる。
「その辺りは御自由に……ああそうそう、アレだけど、中に入れないと思うからここに置いておいてもらっていいかしら?」
 ミスティがダイリュウオーを指さすと、牙竜が「了解したッ!」と無駄にポーズを取った。
「御喋りはそろそろ止めにしましょう。さあ皆さん! 一緒にレティロット城を攻略しましょう!」
 アルテミス・カリスト(あるてみす・かりすと)が、レティロット城を指さして皆に向かって言った。

『いや誰だよお前!?』

 そして、ミスティ含めた皆の心が一つになった。

「なぁ、さっきまであいつ居なかったよな!?」
「う、うんいなかったよ!?」
 シオンと佳奈子がアルテミスを見る。何時の間にやら現れて混じっていたアルテミスに、皆戸惑いを隠せない。
「貴女が連れてきたとか?」
「いえ、そういうのはないわ……」
 エレノアの問いにミスティが首を横に振って答える。
「申し遅れました。オリュンポスの騎士アルテミス、風雲レティロット城の攻略のため、馳せ参じました!」
「オリュンポス……って事はハデス側? という事は敵か?」
 永谷が身構えるが、アルテミスは首を横に振る。
「いえ、今回は私はこちらの攻略側に同行させていただきます。面白そうなので!」
 力強くアルテミスは拳を握ると、むふーと鼻息を荒くする。完全に好奇心の塊であった。いいのか騎士がそれで。
「ま、敵意は無いようだしいいんじゃないかね? それより早く行こうじゃないか」
 そう言って桃華が扉を指さす。
「そ、そうね。それじゃ、門を開けるわね」
 尺的にもアレなので、ミスティが城門を開くように指示をする。
 城門はゆっくりと動きだし、やがて扉が開かれる。

『……え゛』

 一同、言葉を失った。

 そこに広がっていた光景は、まるで迷路の様に生い茂る植物であった。