イルミンスール魔法学校

リアクション

終章　空京年越し前夜祭

　　「寿子、お前の原稿って例のイコン擬人化本もはいってるんだよな？　絶対落とすなよ！？　
　　オレ、これ以上”ガネット”に呪われたくないからな！？」
　シリウス・バイナリスタ（しりうす・ばいなりすた）が遠藤　寿子（えんどう・ひさこ）と話している。
　　「シリウスちゃん達から頂いた原稿は、あの具現化した原稿と一緒にもう印刷所さんに入稿してまして」

　シャンバラ宮殿の公園には、理子っちの呼びかけに協力した全員があつまり、打ち上げをしていた。

　　「今、途中になっている原稿というのはですね、その本と一緒に冬の祭典に出したいコピー本の原稿なのです」
　寿子とシリウスの姿を見つけた黒崎　天音（くろさき・あまね）が寿子にこう言った。
　　「寿子さん、その原稿ってまだ完成してないのかい？」
　　「そうなのです……本当は今日も原稿のペン入れをしたいなぁと思っていたのですが理子っちと迷子に捕まって」
　でも迷子ちゃんは放っておけなかったですし、でもでも次から次に迷子ちゃんがやってきてなどと寿子は半べそになっている。
　天音がよしよしと寿子の頭を撫でる。
　　「理子っちから帰っていいって許可が出たら、後でブルーズと一緒に原稿手伝うよ」
　ブルーズ・アッシュワース（ぶるーず・あっしゅわーす）が「我もか！」と両手に抱えた買い物の荷物の間から、器用にびしぃっと突っ込む。
　シリウスも「オレも手伝うぜ！」と声をかけた。

　　「よかったじゃない、寿子。あたし以上に強力な助っ人を何人もゲットできたじゃない？」
　理子っちがみんなの労をねぎらいにやってきたのだ。

　ベアトリーチェ・アイブリンガー（べあとりーちぇ・あいぶりんがー）があつまった人々に声をかける。
　　「お正月にはちょっと早いですが、お雑煮を作りましたよ」
　酒杜　陽一（さかもり・よういち）もみんなに声をかける。
　　「焼き芋ももうすぐ焼きあがるぞ！」
　陽一は集めた落ち葉で焼き芋を焼いていたのだ。

　焼き芋を焼くたき火を囲んで、ベアトリーチェが振舞ったお雑煮をみんなが手にした。
　理子っちがみんなに言う。
　　「今年もみんなのおかげで”年末大掃除”ができました。　来年がみなさんにとってどうぞ良い年となりますように！」