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いい湯だな♪

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いい湯だな♪

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    ★    ★    ★
 
「あー、くーまのんのん」
 ちょうどいい大きさの樽風呂に入りながら、雪国ベアは御機嫌でした。久しぶりに、のんびりできています。
 それにしても、ゆる族はみんな着ぐるみごとお風呂に入っていますが大丈夫なのでしょうか。着ぐるみを脱いで入っている姿は目撃されていないわけですが、仮に着ぐるみを抜いてお風呂に入っていたら誰もゆる族とは分かりませんから確かめようがありません。
「パンツー、パンツーはいりませんかあ?」
 そこへ、女Pモヒカン族が、パンツ売りに来ました。パンツ売りとはいっても、ただで配っている、いや、押しつけているわけですが。
「そこのクマさん、パンツいかがですかあ」
「あいにく間にあってるぜ」
 雪国ベアが、頭に乗せていた白いタオルをちょっとつまんで見せました。
「おお、りっぱなパンツですね。お見それいたしました。ではでは」
 雪国ベアがパンツを被っている――まあ、正確には頭に乗せているわけですが――のを確認すると、女Pモヒカン族はそのままどこかへ行ってしまいました。
「確か、こっちにPモヒカン族が逃げて……」
 そこへ、ソア・ウェンボリスが大神御嶽と一緒に女Pモヒカン族を追ってやってきました。
「ベアったら、姿が見えないと思ったら、こんな所に……。ああ、その頭のパンツは……。ついにベアも変態になってしまったのですね」
 どうしてこんなことにと、ソア・ウェンボリスが涙を流して悲しみます。
「おいおい、よく見てくれよ、御主人。こいつは、パンツ型のタオルだ。パンツじゃねえ。これでPモヒカン族たちをだましてたんだよ」
 いいアイディアだろうと、雪国ベアが自慢げに言いました。
「まるで、P級四天王パンツタオル番長ですね。これを聞いたら、キネコが喜びそうです」
 やれやれと、大神御嶽が溜め息まじりに言いました。
「あーん、ベアが変態P級四天王にぃ……」
 ソア・ウェンボリスが泣きだします。
「いや、話よく聞けよ、これはダミーだってえの。ホントのパンツじゃないんだからセーフだろ、セーフ」
 あわてて雪国ベアが説明し直します。
「いや、Pモヒカン族がそれをパンツと認めたのでしょう。だとしたら、それはパンツです」
 きっぱりと、大神御嶽が言いました。
「あああ、どうして世間はこれをタオルだと認めてくれないんだ!」
 パンツを、いえ、頭をかかえて雪国ベアが叫びました。
 
    ★    ★    ★
 
「釜風呂? しかし、これはちょっと違うような……」
 巨大なお釜の前に立って、悠久ノカナタが首をかしげました。釜風呂の場所を通りすがりのミーミル・ワルプルギス(みーみる・わるぷるぎす)に聞いてやってきたのですが、どう見てもこれは五右衛門風呂です。
「あれ、もしかして、あちらが釜風呂ではないのかな?」
 すぐそばに目的の風呂を見つけて、悠久ノカナタがそちらへとむかいました。
「これこれ、これが釜風呂だ」
 悠久ノカナタの前にあったのは、お茶碗などの焼き物の窯でした。見てくれは、巨大なかまくらみたいな感じです。中で火を燃やした後に、窒息しないように空気を入れ換えた物、今で言うサウナですね。
 四つん這いになって中へと入っていくと、そこには濡れたむしろが敷いてありました。よく見ると、むしろの上には海草も敷いてあります。いわゆるサウナですから、中はかなりの熱さです。
 中には、先客のエリザベータ・ブリュメール(えりざべーた・ぶりゅめーる)がむしろの上に寝そべっていました。真っ白の競泳水着を着ていて、なぜかすぐ横には狼の仮面がおいてあります。
 エリザベータ・ブリュメールの背中には、大量の汗が噴き出し、お尻の尾てい骨のあたりのくぼみに小さなプールを作っていました。組んだ腕の間に顔を埋め、エリザベータ・ブリュメールは眠っているかのように静かに蒸し風呂を楽しんでいます。
「さすがに、老廃物がすべて流れ落ちそうだな」
 むしろの上に寝そべってだらだらと汗をかきながら、悠久ノカナタは満足気でした。赤を基調とした、イルミンスール水着がしっとりと汗で濡れそぼりますが、そのそばから表面は熱で乾いていきます。
 とはいえ、あまり長時間入っている類のお風呂ではありません。
 悠久ノカナタはほどよい長さを釜風呂の中で過ごすと、熱くなりすぎた身体を冷やしに、今度はそばにあるぬるめの水風呂にむかいました。
 残ったエリザベータ・ブリュメールが、外の物音に、ちょっと顔を上げました。
「なんだ、何か騒がしいが。戦か!?」
 そうつぶやくと、エリザベータ・ブリュメールが身体を起こして、ちょっと外の様子を見にいきました。
「わーい」
「わーい」
「わわわーい」
 なんだか歓声をあげながら、パンツを被った小さな子供たちが走っていきます。ランちゃんたちです。その後ろからは、同じような格好をしたP級四天王少女パンツ番長たちがやってきます。
「なんと言うことだ。いたいけな少女たちに、間違ったパンツの使い方を教えるとは。成敗してくれよう」
 狼の仮面を被ると、エリザベータ・ブリュメールがP級四天王に突っ込んでいきました。
 風紀委員に槍を取りあげられたのは残念でしたが、間違ったパンツの使い方を広めようとしている奴らに素手でも負けはしません。バーストダッシュで突っ込むと、エリザベータ・ブリュメールは一気にP級四天王たちを蹴散らしました。
「大丈夫か、子供たちよ」
 メイちゃんたちの無事を確認しようとしますが、すでに三人は他の場所へと走り去ってしまった後でした。