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狂乱せし騎士と魔女を救え!

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狂乱せし騎士と魔女を救え!

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『調査班からの結果を伝達。魔女の名は『ヴァシィーカーラハ』、騎士の名は『ティーヴラ』の可能性が高い。
 また彼らのものと思われる剣とローブを回収。更に騎士は『魔女も騎士も人間だ』という言葉を使っていた模様』
「さすがアゾートたちね。私も頑張らないと」
『そちらはどうだ、追跡班』
「現在既に野盗を見つけて追跡中。ただ逃げ足が速くてもう少し手がかかりそうよ」
『了解した。なるたけ迅速に頼む』
「了解っ!」
 和輝との交信を終了し、野盗を追いかけることに専念する雅羅・サンダース三世(まさら・さんだーすざさーど)
 それに続き綾原 さゆみ(あやはら・さゆみ)アデリーヌ・シャントルイユ(あでりーぬ・しゃんとるいゆ)赤嶺 霜月(あかみね・そうげつ)クコ・赤嶺(くこ・あかみね)
ルゥ・ムーンナル(るぅ・むーんなる)此花 知流(このはな・ちるる)の厚いメンバーで野盗たちを追いかけていた。
「お、おおすぎだろう!」
「とりあえず二手に別れるぜ、お前はあっち、俺はこっちだ!」
 あまりのメンツの多さに一緒に行動するのは不利と判断した野盗たちは二手に別れる。
「めんどうなことをっ!」
「俺たちは右に行った奴を追いかける。どうやら先行してる人もいるようだし、左の奴は君たち五人に任せた」
「霜月! 置いていくぞ!」
「それじゃ」
 右手に逃げたのは霜月たちで、左手に逃げたのは雅羅、さゆみたち、ルゥたちで追うことになった。

「まったく、最近になって現れたあの古城は自分たちが狙っていたでありますのに」
「迷惑千番なのだよ」
 霜月が言っていた先行者とは葛城 吹雪(かつらぎ・ふぶき)イングラハム・カニンガム(いんぐらはむ・かにんがむ)の二人のことだった。
 どうやら二人も古城には目を付けていたらしい。
 それを野盗たちに先を越された、というわけだ。
「この罪は償ってもらうでありますよ! イングラハムは足止めするであります!」
「了解した」
 自慢の脚を行かして野盗に追いついた吹雪は更に先へと回り込む。
 一方のイングラハムは野盗の前で立ち止まり、仁王立ち。
「な、何なんだお前は!」
「何だかんだと聞かれても、答えて上げないイエスイングラハム!」
「こ、こいつはやべぇ匂いがぷんぷんするぜ……そういう時は、にげ」
 逃げようとした野盗にイングラハムがダイブ。
「なっ!?」
「我も生活がかかっているのだよ」
「ひ、ひいい!」

ドグシャー!

 凄まじい音が辺りに響く。間一髪のところで野盗は逃げ延びる。一方、イングラハムは伸びていた。
「い、今のうちに!」
「そうはいかないであります! トラップ、発動!」
 先回りしていた吹雪が現れる。と、同時に木々の上から何本もの太い丸太が落下してくる。
「トラップってレベルじゃねぇぞこれ! 殺す気か!」
「しけた野盗にはこれくらいで十分であります!」
「く、くそがってうわぁ!?」
 上に気を取られていた野盗が下に張られていたロープに気付かず引っかかってしまう。
「こ、こんな初歩的なのに」
「さーて、お宝は。お、この指輪は中々」
「おーい!」
 後ろから追いかけてきた霜月たち(+ボロボロのイングラハム)の声に振り返る吹雪。
 その一瞬の隙を縫って野盗がスルリと抜け出す。
「あ、こら!」
「捕まってたまるかっての!」
「腹がたつであります!」
 地団駄を踏んで悔しがる吹雪。それに追いついた霜月が事を察して謝罪する。
「すまない。どうやら邪魔をしてしまったようだ」
「……いいのであります。また同じ目に遭わすだけであります」
「頼もしい。自分も協力するよ」
 霜月たちと吹雪たちは再度野盗を追いかけ始める。