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蠱毒計画~プロジェクト・アローン~

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蠱毒計画~プロジェクト・アローン~

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  第5章 EJ社・周辺


 空は暗くなった。夜を覆うように、黒い濃煙。
 その中で、一段と黒く輝く。
 魂剛。
「これで終わりだ!」
 紫月唯斗が吠え、
「妾をキレさせたらどうなるか、とくと知ったか!」
 エクス・シュペルティアが吼えた。
 最後に残された戦車――兜蟲
 魂剛が、一刀両断する。


「これで、すべて終わりましたね」
 E.L.A.E.N.A.I.のパイロット席。近遠がふぅっとため息をつく。
 イコンを、通常形態から巡航形態に変更するよう指示。これ以上、戦場にいる必要はない。
「まだですわ」
 ユーリカ・アスゲージは、火器のレバーを握ったままだ。
 オペレータ席。イグナ・スプリントも言う。
「最後にひとつ。大きな蟲が、残っているのだよ」
「どういうことかな?」
「あそこに、ずっとあるじゃないか」
 イグナが示したのは。
 EJの、本社だ。
「いやいや。あの中には、仲間たちがいるんですよ」
 そこで、アルティア・シールアムが通信を受け取る。
「内部にいる契約者たちから、連絡がありました。全員、地下施設への移動が終わったようでございます」
「はあ」
「ラクシュミさんからも連絡がきております。“あまりにも施設の破壊を望む声が多いので、やれるならやっちゃってください”とのことです」
 近遠は、EJ本社と、味方のイコンを見渡す。
「そうはいっても、皆さんお疲れのようで……。もう、動ける機体はなさそうですよ」
「あたしはまだやれますわ!」
 ユーリカが、ペダルから放した足をばたばたさせる。
「本社内部に、弾薬庫を複数確認。それらを狙えば……破壊できそうだ。あと一機、協力してくれたらな」
 イグナの報告に、近遠は結論を出す。
「では。ユーリカさんは【要塞砲】の用意を。アルティアさんは、味方イコンに、手伝ってくれる方がいないか連絡してください」
「かしこまりました」
 うなずいたアルティアが、すぐに連絡。
『誰か、いっしょにEJ本社を壊しませんか?』

 アルティアの知らせに、まっさきに反応したのは、シリウス・バイナリスタだ。
「オレがぶっ壊してやるぜ!」
「だけど。この子はもう、夢の中だよ」
 サビク・オルタナティヴが、シュヴェルト13(ドライツェン)を慰する。
「くう〜。憎たらしいあの蟲を、ふっ飛ばしたいぜ……」
 そう呟くシリウスもまた、体力気力の限界だった。

 同じく、満身創痍で闘い抜いたアガートラームを、いたわる榊朝斗。
 そんな彼のとなりで。
 アイビス・エメラルドが立ち上がる。
「では、シリウスさん。私の歌をお聞きください」
 アイビスが唄うは、【鼓舞の歌】。
「うおおお! うおおおぉぉぉぉぉ! やる気出てきたぜぇぇぇぇ!」
 咆哮するシリウス。
「うおおおおお! うおおおおおおおお!」
 彼女は、すぐに駆り出していく。

 猛進するドライツェンに、近遠が連絡。
「ではシリウスさん。行きましょうか」
「がってんだ! こんなもの……この世界には必要ないんだ!!」
 二機のイコンが、EJ本社を狙う。
 複数の、弾薬庫に。
 両者の砲撃が一斉掃射。
 爆発が、EJ本社を覆い尽くした。



 瓦解していく本社の前に。
 少年ヴアドを保護したグループが合流する。
「ずいぶんと派手にやったものだな」
 呟いた鋭峰へ、たいむちゃんから連絡が入った。
『地下施設に来てください』

「では、行くとするか」
 鋭峰を先頭にして、彼らは地下施設へと向かう。