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リアクション
プロローグ
「それじゃ、穂波ちゃん。気をつけて行ってくださいね」
ニルミナスの村。『ウエルカムホーム』の前。ミナホ・リリィ(みなほ・りりぃ)は藤崎 穂波(ふじさき・ほなみ)に心配そうな様子で声をかける。
「大丈夫ですよミナホお姉さん。契約者の方も一緒に行ってもらえますし。古代竜さんは比較的友好的のようですから」
いきなり殴りかかっても特に文句を言わなかったという話だと穂波は言う。
「正直あたしはリリィの方が心配だっての」
「あはは……穂波ちゃんのほうがリリィちゃんよりしっかりしてるもんね」
熾月 瑛菜(しづき・えいな)とアテナ・リネア(あてな・りねあ)は苦笑交じりでそう言う。とある理由から精神が幼くなったミナホよりも穂波の方が落ち着いた雰囲気があるのは確かだった。
「うぅ……最近私の扱いが酷い気がします」
「そう思うなら今回の件で見直させるんだね」
「うん。アテナたちも手伝うから頑張ろうねリリィちゃん」
「…………そんなことないよとは言ってくれないんですね」
更に落ち込むミナホ。
「ぐだぐだ言ってないで行くよ。もうほかの契約者は先に行ってるんだ」
ミナホの服の裾を掴んで森へと向かい歩き出す瑛菜。
「それじゃ穂波ちゃん。またあとでね」
引っ張っていく瑛菜と引っ張られていくミナホを追いかけアテナも追いかけていく。
「……それじゃ、行きますか」
三人を見送り穂波も自分の目的地……遺跡都市へと向かって歩く。
「アーデルハイト様もついてきてもらえるんですか?」
歩きながら視線を動かさずに穂波はそう言うが、周りにアーデルハイト・ワルプルギス(あーでるはいと・わるぷるぎす)の姿はない。
「なんじゃ、やはり気付いておったのか」
姿を隠しながらアーデルハイトは穂波にそう答える。
「どうして姿を?」
「ふむ……まぁあれじゃな。私がいると私に頼るものもいるかもしれんからの。ぎりぎりまではお前たちがどうするのか観察させてもらおうかと」
どうにもならない状況になるまでは事態を見守るつもりだとアーデルハイトは言う。
「よく分かりませんが、出来る限りアーデルハイト様のお手を煩わせないように古代竜さんの望みを叶えればいいんですね」
「そういことじゃな」
穂波の理解の仕方に頷くアーデルハイト。
「それでは、よろしくおねがいします。アーデルハイト様」
「うむ」
こうして穂波と姿を隠したアーデルハイトも遺跡都市へと向かうのだった。
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