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寝苦しい夏の快眠法

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寝苦しい夏の快眠法
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 ロズの夢。

 最初に到着したのはフレンディス達だった。
「マスター、扉の奥から何やら話し声が聞こえますよ」
「……あぁ、明瞭には聞こえないがこの声はロズだな。誰かと話しているみたいだが……」
 フレンディスとベルクは耳をぴたりと扉にくっつけ中の物音を確認し、ロズの声が混じっている事に気付いた。

 その時、
「あ、久しぶり!!」
 ジブリールが背後に振り返り、やって来た団体を迎えると共に遊び相手を発見して声をかけた。
「あ、双子さんも来たんですね!」
 気付いたフレンディスも元気に迎えた。
「ここはロズの夢だ。ロズが中で誰かと話している」
 ベルクは耳で収集した扉の奥の様子を後から来た六人に教えた。
「誰かって誰だろうな。あいつの話し相手ならこいつらにも関係ある奴かも知れねぇな」
 シリウスはロズに縁が深い悪戯小僧を見た。
「俺らに?」
「誰だよ?」
 言われても見当が付かない双子は首を傾げた。
「入って確認してみるか。元々そのために来た訳だし」
 陽一が扉を開けようとしたところで
「それは二人の話が終わってからにしよう。会話の内容は……」
 エースが待ったを入れてどこからかいくつかのコップを取り出し、双子に渡した。
「コップ?」
「これで何をしろと?」
 双子はコップを覗き込んだりしながら意味不明だと訊ねた。
「いいかい双子達。こんな時はコップを耳に当てて音を拾うとこれがよく聞こえるんだよ」
 エースは悪戯な笑みをうっすらと浮かべながらコップを耳に当て扉にぴたりとくっつけて音を拾い始めた。
「お、聞こえるぞ」
「ばっちりだ」
 双子も早速エースと同じように行動した。
「エース、変な事双子に教えないでください」
 エオリアは呆れながら言うも
「いいじゃないか、みんなも会話の内容知りたいだろう?」
 エースは笑って流すばかり。
「それはそうですが……」
 エースの言葉にエオリアが何も言えなくなってすぐに
「……相手はロズの製作者らしいよ」
 エースが皆に収集した内容を報告した。
「という事は平行世界のお前って事か(見たい夢を見せるという事だが、それがあいつの願望という事か……製作者との邂逅が)」
 聞くなりシリウスはヒスミの方に視線を向けつつロズの願望について思考を巡らしていた。
「じーさんの俺がこの先にいるのか」
「おもしれぇな」
 双子は未来のヒスミがいるとあって楽しそうである。
 そんな二人を見て
「……(ロズの話だと自分のした事を悔いているとか何とか言っていたな。夢だが、未だ後悔しているならロズだけでなくこいつらの姿を見せてやりてぇな)」
 ベルクはロズの話を思い出しヒスミ老の後悔の念を拭ってあげたいと思い、
「……(双子がロズの夢の中のヒスミと会えば、自分達の今やこれからの事を考えるきっかけになるかもしれない)」
 陽一は双子達にとってこれは有意義な出会いになるのではと思った。

 しばらくして
「さぁ、話も終わったみたいだし、双子を連れてロズさんの夢にお邪魔しまーすと行きますか(双子がヒスミ老とロズの会話を聞いて、何か色々感じて双子達が大人しくなったり将来の事を少し真剣に考えてみるようになったらいいが、ついでに昔の姿を見てヒスミ老が懐かしむかもしれないし)」
 胸中で色々考えながらもエースは豪快に扉を開けた。
 それを横で見ていたエオリアは
「……エース(本当に時々大胆な事をやらかして……)」
 エースの躊躇いなくある意味入りづらいにも関わらず大胆に乱入する様に内心びっくりしていた。もちろんその事は本人には内緒である。
 ともかく九人は研究室に入り、ロズとヒスミ老の会話に加わった。
 入室早々
「台所借して貰えませんか。お茶の用意したいので」
 エオリアはそうヒスミ老に訊ねて許可を貰うなり部屋を出て台所に行った。

 台所。

「……このティーカップだけ何か別格な気がしますね。思い出がありそうな……もしかしたら何か意外な話が聞きけるかもしれませんね」
 エオリアは棚にあるお揃いの二つのティーカップを発見し、何となく何か有る予感を感じて双子が使うカップに決めて他の者達の分は棚にある他のティーカップやメイド向け高級ティーセットに決めてからハーブティーとエリュシオンの茶菓子やエオリア作の焼き菓子を準備した。
 そして
「連日の暑さに辟易な双子のためにアイスも用意しておきましょうか」
 暑さに参っている双子のためにエオリアはアイスも用意してから研究室に戻った。