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始まりの日に

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始まりの日に
始まりの日に 始まりの日に

リアクション

 その一方。
「……大丈夫ですか、ディミトリアスさん?」
 一人落ち着かない様子のディミトリアス・ディオン(でぃみとりあす・でぃおん)に、歌菜がそっと話しかけた。
「ああ……問題は無い、が」
「……あんまり大丈夫に見えねえけどな?」
 今はプライベートであるとは言え、生徒と教師の縁である。ディミトリアスの様子を気にして、式の最中も様子を伺っていたベルクの言葉に、ディミトリアスは途端、歯切れを悪くした。そう言えば、先日も受講生が急に増えた際に挙動がおかしかったし、余り人前に立つのが得意ではないのだろうか、と思ったが「緊張しているのですよ」と隣からアニューリスの笑う声が否定した。
「嘗ては神官術士の長として人前に出ていたと言うのに、可笑しいでしょう?」
「……状況が違う」
 からかうようなアニューリスの口調に、ディミトリアスは僅かに眉を寄せた。彼らの生きた一万年前の世界では、二人は彼らの集落の頂点の一角だったのだ。当然、結婚式にも多く立ち合って来たはずなのだが、しきたりも違えば立場も違う。だから仕方がないだろう、とディミトリアスは溜息と共に弁明した。
 ベルクにとっては初めて聞く事情であり身の上話だ。どこか天然気味、いや、浮き世離れした所があるのはそのせいか、と納得しながら、緊張と言うより不安なんじゃないか、と思われるディミトリアスの横顔を眺めた。何より、着慣れない正装が落ち着かない。それが態度から丸見えで、歌菜は「大丈夫ですよっ」と声を掛けた。
「作法なんかは、土地ごとに違うんですし、尋ねるのは恥じゃあないですよ」
 そう言って、歌菜は着飾った二人を見てうんうんと頷く。
「それに、正装も、お二人ともとっても似合ってますから!堂々としていればいいんです」
 素敵ですよっ、と太鼓判を押す歌菜に、漸くディミトリアスが肩から力を抜いたようなのに、女性二人は顔を見合わてくすくすと笑った。
「それにしても、アニューリスさんはお変わりないですね」
 歌菜が言った通り、アニューリスはディミトリアスに比べて非常にどっしりと言うのか、普段通りの佇まいだ。条件は二人とも同じ筈なんだけどな、と歌菜が首を傾げていると「私にとっては全てが新しいことですから」とアニューリスは微笑んだ。
「何もかもが新鮮で、緊張するより好奇心が勝るのですよ」
 簡単に口にしているが、一万年もの時を経て目覚めた彼女にとって、異世界に来たようなものだ。だと言うのに、不安げな様子を伺わせないアニューリスに、歌菜は顔を輝かせた。
「流石、アニューリスさんです」
 その言葉に密かにずきーんとあらぬダメージを受けた様子のディミトリアスの肩を、ベルクと二人、苦笑と共に慰めるようにそっと叩いた羽純はふと、気になる人影を見つけて足を向けた。
「心配か?」
 そう、羽純が声をかけたのは、一人やや離れたところで、複雑な表情を浮かべたまま、珍しく躊躇っている様子を見せるクローディスだ。二人のこれからを心配しての表情かと思ったが、どうも違う様子なのに、羽純は慎重に言葉を選ぶ。
「良いコンビだと思うぞ、あの二人」
「あーうん、それは、判っているんだが」
 羽純の言葉に、クローディスの歯切れは何時になく悪い。二人の結婚に反対なのだろうか、と不安を覗かせる顔に、クローディスは慌てて首を振った。
「いや、仲は良さそうだし、あいつが幸せになるのは嬉しいよ」
 言ってから「ただな」と続いて浮かぶのは苦笑だ。
「今は相棒だし、弟みたいなものだが、親代わりでもあったからな……親離れと言うか子離れと言うか、うん」
 やはり珍しく言いよどむのに、それが何かを羽純は察した。敢えてそれを口に出す真似はしなかったが、クローディスの方から僅かに切なげな苦笑を浮かべる。
「まぁ、寂しいんだろう、要するに。ずっと……私のツライッツだったんだから……」
 親が一人の人間に戻るのを寂しがる子供のような、或いは子供が旅立つのを見送る親ような。そんな複雑なものがあるらしい。そっと漏らしてしまった愚痴を恥じるように苦笑を深めたクローディスだったが、口に出したことでかその顔はいくらか吹っ切れても見え、羽純はそれ以上は何も言わずに、ただ肩を叩くに止めるのだった。


 ジゼルを軍服もといアレクからなんとか引き剥がした後。
 ハインリヒとツライッツの二人を祝福して、ベルテハイトとジゼルの演奏が披露された。
 ベルテハイトの爪弾く音色に、ジゼルはソプラノの音域で情感を込めた歌を重ねる。現代では余り聞かない音だ。曲は中世に作られたものではなかったが、会場はクラシカルな雰囲気に包まれていた。
「…………あの楽器は?」
 物珍しいその音色を奏でるそれに、アニューリスが不思議そうに、控えめに口を開いた。生きた時代が隔たり過ぎていて、合致する知識がないようだ。それに対して応じたのはツライッツだ。
「地球の、古い楽器です。中世やバロック期に欧州にあったものですね」
「ギターはご存知ですか?」とハインリヒがその後を引き取る。
「――ああいった今も演奏される弦楽器と違って弦が復弦と言って二重に張るんで数が多くて調弦が面倒なんです。
 僕はそれが駄目だったな……」
 呟いてツライッツに耳打ち「クラヴィーアはマイスターが居るから楽なんだ」
 彼が耳打ちするのはピアノが有資格者の専門家や調律師が居る為、自分で調律しなくて良い、という話だ。如何にもハインツらしい話にツライッツは肩を揺らし、アニューリスは持ち合わせの知識と繋ぎ合わせて成る程、と頷いて目を細めた。
「素敵な……音色ですね」
 素朴だが音、演奏者の技量が洗練されているために、その音色を美しく華やかにさせ、聴く者たちの耳を優しく捕らえる。
 そうして、美しい音色による演奏の終わりと共に、拍手が満ちるのと入れ替わるように、続けて新郎たちの前へ出、その場を別の歌に満たしたのは、ノーンと舞花の二人だ。
「2人がスゴク幸せになれるよーに、お祝いの歌をいっぱい歌うね!」
 というノーンの宣言通り、先程までの上品で繊細な旋律とは打って変わった、明るく陽気な歌だ。精霊系アイドルである彼女の歌声は、舞花の歌声と重なり、さらには彼女の軽やかな踊りに乗って、音のシャワーのように二人に、そして皆に祝福の歌声を振り掛ける。
 舞花はハインリヒのシグネットリングの記憶する過去を知り、彼が一家の主として本来果たすべきだった辛い役目を引き受けている。だから素直な笑顔で祝う友人達の中で、彼女は笑顔の中にも別の感情を混じらせていた。ハインリヒや彼の兄姉達が、変に気を遣う事無く、ごく自然に幸せで有れるように。思う事は簡単だが、その行動は難しい。
 それを助けてくれるのが、パートナーのノーンの存在だった。
 ニコニコと明るい笑顔でハインリヒとツライッツ、彼らの家族や友人達と言ったほぼ初対面の者ともすぐに打ち解けてしまう。
「舞花ちゃん、アレクお兄ちゃんのこと『アレクお兄様』って呼ぶようになったんだね!」と、謎の現象もニコニコと受け入れ、弾むようなテンポで会話出来るのは、彼女の持つ才能のようなものだろう。
 こんなノーンが一緒に居てくれるから、舞花の声は素直な明るさで、幸せを響かせる事が出来ているのだ。
(心から、お二人の門出を祝福します!)
 ノーンと視線を交わし合い、舞花は心からの思いを二人に伝えるのだった。

 そんな彼女達の歌が終わり、拍手に入れ替わりでティエンがやってくる。
 ぺこんと頭を下げて、ティエンは頬を紅潮させながらマイクを握ってツライッツの方を見る。因にハインリヒは、ティエンの後ろのピアノの椅子に座っていた。
「ハインツお兄ちゃん、ツライッツさん。ご結婚おめでとうございます。
 えと、……僕も歌を歌います!」
 ティエンから
「ジゼルお姉ちゃん、僕も一緒に歌いたいんだ。
 ハインツお兄ちゃんと、ハインツお兄ちゃんのお姉ちゃんと!」というリクエストがあったのは少し前の事だ。
「えへへ、一度一緒に歌いたいなって思ってたんだ」
 ジゼルに説明も無しに連れられた先でティエンのはにかんだ笑顔に迎えられて、ハインリヒは訳も分からず固まった笑顔のまま頷く。
 一方フランツィスカは上機嫌な様子で弟の背中をぐいぐい押した。
「ハインツあなたクラヴィーアも弾きなさいよ!」
「それはいいけど。ティエンちゃん、何を演奏すればいいかな?」
「結婚式見てるとね、すっごく幸せな気持ちになるの。
 この気持ちを歌にしたいんだ。とっても素敵な一日だからね」
「幸せね……」
 漠然としたそれを考え込むようにすると、フランツィスカが手を叩いた。
「あれにしましょうよ、シンデレラの! ジゼルとティエンは知ってるかしら?」
「姉さん、シンデレラのミュージカルが世の中に何作あると思ってるんだ」
「可愛い女の子が歌うんだからそれくらいがいいわ。ちょっと待ってて、楽譜あるのよ」
 相変わらず弟の話を殆ど聞かずに、フランツィスカはバッグから端末を取り出して以前何かの公演で使ったらしいデータを広げた。
「ハインツは王子よ、ティエンはシンデレラね。ジゼルはコーラスAで私はコーラスB。
 間奏の14小節は飛ばして、フィーネの前に次の頁のこの曲に進んで最後はユニゾン、いい?」
 有無を言わせぬ調子で――と言っても皆の音域なども把握してのチョイスだ――それぞれ担当を決める。楽譜を頭に入れるのは数分も要らないが、合わせるのは舞花とノーンの歌が終わってすぐのぶっつけ本番だった。
 しかし各々の力量もあって、ティエンの表現したい気持ちは観客達へしっかり伝わったようだ。
「楽しかったわ、また一緒に歌いましょう。今度はコンラートやカイや子供達も一緒に」
 ニコリと笑うフランツィスカに、ティエンは彼女の兄達を見つめる。
「コンラートお兄ちゃん達も歌うの?」
「あの二人は演奏しかしないし、ハインツ程器用にはやらないけれどね。我が家で音楽をやらない者は居ないわ」
「ミリツァもヴァイオンリンとか弾くわね」
 ジゼルの言葉に喜んだティエンは、三人と一緒に歩きながらアレクを目に留め、ジゼルを期待の眼差しで見上げた。
「アレクお兄ちゃんは? 楽器とか歌とか得意?
 前にジゼルお姉ちゃん達とカラオケに行ったときは、お兄ちゃんと何か話してて歌わなかったけど……」
 あの時のアレクがジゼルの歌で苦悶していたとは分かっていないティエンは、無邪気に昔を思い出している。
「アレクは…………」
「ティエン、セイレーンを魅了するオルフェウスの琴が聞きたいなら、たっぷりお酒を入れてみると良い」
 ハインリヒに悪知恵を入れられたとも知らず、アレクが陣とユピリアとティエンを拍手で迎えている。
「もう、ハインツったら…………仕方の無いお兄ちゃんだわ」
 ジゼルからするりと出た言葉に、ハインリヒは目を丸くして反応出来ないままツライッツの隣へ戻った。
 そのまま、何とも言えない表情をしているハインリヒを見て、ツライッツは小首を傾げる。
「何か……あったんですか?」
「ジゼルが、僕をお兄ちゃんって…………」
 聞こえない程の声で答えたハインリヒは、ツライッツの腕に掴まってそこに額をぶつける。俯いたせいで表情が伺いづらいが、勿論隠しているのだ。伝わってくる熱に、その顔に赤みが指しているだろうことを察して、ツライッツが表情を緩める中で、ハインリヒは口を開いた。
「どうしよう、無茶苦茶嬉しい。ツライッツ、ねえ、僕も『シスコン』ってやつなの?」
「否定は出来ませんね」
 応じるツライッツの声はからかうような響きだが、その顔は微笑ましい、と語っている。
「……良かったですね」
 そっと囁いたツライッツに、ハインリヒはこくりと頷くのだった。

 そんな二人の耳に、続いて飛び込んできたのは羽純の奏でるギターの音だ。
 見れば、宴もたけなわ、といったところか。ギターにあわせて歌いながら、歌菜が片っ端から声をかけて回っている所だった。
「ね、ディミトリアスさんもアニューリスさんも、一緒に歌いましょう!」
「俺……が、か?」
 躊躇う様子のディミトリアスの腕を、がっしりと横から掴むのはアニューリスの手だ。まるで逃げるなと言わんばかりの力強さに「あ、アニュー……」と抗議し掛けたディミトリアスだったが、直ぐに口を噤む羽目になった。歌菜はお酒がまわってきているのか、頬を赤らめてふわふわとしているし、アニューリスは一見は普通だが、恋人であるディミトリアスには、彼女が結構な深さで酔っ払っているのが判る。こういう時の女性には逆らわない方がいいと学習しているディミトリアスは、諦めの息を吐き出して、なされるがままに身を任せる。
 そして、そんなディミトリアスの腕を取りながら、歌菜が続いて誘いに寄ったのは勿論、主役の二人である。ハインリヒは勿論、ツライッツにも「歌いましょう」と誘ってきたのに、自分が誘われるとは思っていなかったツライッツは目を瞬かせた。
「……俺は、あんまり歌は得意じゃないですよ?」
「関係ないですよー! 皆で一緒に歌うのが、楽しいんですから」
 そう言われては、ツライッツも「では」と応じてちらりとハインリヒを伺う。それに対して頷きが返るのに、ツライッツは輪に混ざった。
 そう言えば随分と付き合いも長くなったと言うのに、こうやって一緒に皆で歌うような事はなかった。それは、ツライッツ自身が機晶姫である自分が歌うという行為は滑稽な気がしていた、と言うのが理由の一つだ。
 だが、歌菜たち、そしてハインリヒも機晶姫であることをそのまま肯定も否定もない自然さで友人として伴侶として扱う。その嬉しさがツライッツに口を開かせ、歌が唇に乗せられる。
 そんな彼の様子に、最初は渋り気味だったディミトリアスも表情を和らげると、アニューリスに声を合わせて旋律を歌い上げた。歌菜たちが好く歌う歌なので、曲自体は知っているものの歌詞が判らないため、メロディーのみだが、男性の深い低音に女性の柔らかな高音が合わさって楽器代わりに羽純のギターに厚みと彩りを添える。
 そこに、歌菜にリードされながら、男性としてはやや高めの声が控え目に重なる。鼻歌程度は聞いたことはあるが、こうしてちゃんと歌うツライッツの姿を見るのはハインリヒも初めてだ。そっと寄り添いながら横目に伺うその顔が、嬉しげに淡く紅潮しているのに、ハインリヒは表情を緩めて自身も歌声を重ねる。
 そうしている内に、歌菜が次々に酔った勢いに任せて歌に誘い、やがて賑やかな合唱になりながら、歌声は一同を包むのだった。

 賑やかに歌う歌菜たちの方へ皆の視線が集まっている時。壮太と紺侍の二人はそっとそんな彼らの輪から離れ窓の傍へやってきていた。
 壁越しにひんやりしたものを感じて、壮太はこっそり重いカーテンの隅から内側を覗き込んだ。
「あ、雪だ!」
 壮太の声に反応して、紺侍も顔を出す。
 道理で寒い訳だと納得して、暫く美しい庭へ雪が降り積もるのを眺めて数拍、壮太は忍ぶように紺侍の耳もとへ唇を寄せた。
「次はオレらの番になるといいな」
 そう耳打ちすると、紺侍が壮太の額へ自分の額をあてがう。
 互いに小さな笑いを漏らして瞳を覗き込むと、「な」と壮太は囁くように口を開いた。
 その言葉や仕草を愛おしく思い、紺侍は人目が無いうちにと壮太へ質問する。
「抱き締めてもいい?」と。
 微笑見合う二人の腕が、互いを求めてそっと伸ばされる。


 そうして、それぞれがそれぞれの時間を過ごしている最中。
「幸せそうだよな……」
 不意に呟かれたそんな一言を拾って、舞花とアレクが振り向くと、グラスを片手にクローディスが、皆と一緒になって歌うツライッツを見やっていた。トントン、とつま先がリズムを取っているのに、アレクは、混ざって来ればいいのに、と言いかけて止めた。
「肝心な時に、傍に居てやれなかったからな。君達には、本当に、世話になった」
 ありがとう、とクローディスが頭を下げる。
「俺は何も……」
 言いかけた言葉を、一度噤んでアレクは舞花の顔を見る。それから歌う仲間達の顔をぐるりと見渡してクローディスまで戻って来ると、改めて口を開いた。
「どうなんだろうなこういうの。
 まずクローディスがツライッツと会って、契約しなかったら全ては始まらなかったし、シャンバラに渡ってソフィアの瞳を作らなかったら、ツライッツとハインツは会ってもいない」
 その言葉に、クローディスの脳裏に過ぎったのは、ツライッツとの出会いだ。死を目前にしたその時出会っていなければ、こうしてアレクたちと言葉を交わすこともなかったのだ、と思うと不思議な気持ちで「そうだな」と頷かせる。
「俺とハインツはプラヴダが組織されるより前より知り合いだ」
 続いて、アレクの多少冗談めかした言い方に舞花はクスクスと笑った。
「お二人は幼馴染みだったんですよね」
「ああ、でもお爺様達が俺達に同じ名前を与えなければ、俺とハインツはただの知り合いだったと思うよ」
 同じ名前を貰った少年が居る、そう聞いて特別な思いを抱いて幼い二人は出会ったのだ。
「それにジゼルはああして元気一杯だけど、それは地上にきたときにフレンディスや真達が一緒に居てくれたからだって聞いてる。
 トゥリンも、ツェツァも、他の事も。
 誰かがとか一つがじゃないんだろうな、全部が重なったからで…………」
 と、そこで自分の口からは上手に伝えきれないと思ったのか、アレクは全てを諦めてグラスを軽くあげた。クローディスと舞花もアレクの意図は良く分からないが、それぞれシャンパンとジュースを胸の上に持って来たのを見て、アレクは軽くグラスを傾ける。
「出会いに感謝」
 言葉は端的だが、何時もの平坦な口調ではなく、心からというようにアレクは軽くにこっと笑って「Живели!」と付け足した。
 乾杯したグラスの中身を飲み干して、舞花はほっと息を吐き出す。
「素敵な式になって、良かったです」
 僅かにしんみりしかけたクローディスの雰囲気に、舞花が明るく口を開いた。
「陽太様と環菜様に、お土産話がいっぱいできました」
 きっと二人も喜んで聞いてくださいます、と舞花が嬉しそうに微笑むのに、クローディスは、そうか、と顔を綻ばせたのだった。

担当マスターより

▼担当マスター

東安曇

▼マスターコメント

 シナリオにご参加頂きまして、此処迄ご覧頂きまして有り難う御座いました。

【東 安曇】
 こんにちは東です。
 蒼空のフロンティアではシナリオを個人と合同で数十本、皆様にお付き合い頂き、そのシナリオの中でPCさんの間、PCさんとNPC間など様々な関係が生まれたのを執筆していた折、最後は皆さんで集まって騒げる場所をご用意出来たらな……と考え、今回のシナリオとなりました。
 お楽しみ頂けましたでしょうか。
 今迄ジゼル達東のNPCと関わって頂き、本当に有り難う御座いました! 


【逆凪 まこと】
 逆凪です。
 自分のところではあんなに空気だったツライッツが、気がつけばこうして色々な人と関わらせていただき
 様々な人間関係の中に入り込ませていただいたかと思っているうち、こうしてひとつのしっかりとした終わり方を迎える事が出来まして、大変ありがたく思っております
 タイトルの通り、ここからまたひとつ、皆様と共に始まるだろう物語の続きを、胸のうちで想像し、思いを馳せていただけましたら幸いです


 今回執筆にあたりまして、灰島懐音マスターにご協力頂きました。この場に変えてお礼申し上げます。有り難う御座いました。
 次回は漫画シナリオ、イラストシナリオが御座います。参加の皆様はまたお会いしましょう!