リアクション
第19章 AfteWorld_20年後
イルミンスールの牢獄。
一つの牢の前にフレンディスが立ち、その向こうにいる者を哀れみ、悲しむかのようにただ眺めていた。
「炙霧さん…」
「フンッ、なんだよ。あたしぃをここから出してくれるっていうのか?」
「いえ、それはっ」
「だったら帰れ、見世物じゃねーんだよ」
「てめぇ、フレイが心配して来てるのが分からねーのか!」
会えば憎まれ口しか出さない相手に苛立ち、ベルクが鉄格子を掴む。
だが、相手は知ったことかとそっぽを向いてしまう。
「ちっ…。相変わらずいやなやつ」
「マスター…」
「わ、分かってるって」
いつもの通り、日課を行うために来たのだとベルクの腕を掴み、言い合いをやめるように見上げた。
「んじゃ始めるぞ、フレイ」
彼女が頷く様子を見て、ペンダントに手を触れて祈り始める。
「主が落とした一斤のパン。これを争いの元とした汝の罪…。我が地の熱にて、その身に受けよ!」
「―……っ!く、…ぁぁあ」
邪の元を断つべく、ラバーソウルの灼熱の気が炙霧の全身に駆け巡る。
「一片の罪を再度問う。汝を卑しき身に貶めたその一片を捨て、残された一片を開放せよっ」
フレンディスが祓魔の気で脈を的確に撃ち、半身である魔性を打ち消そうと試みる。
「マスター、どうでしょうか」
「ちっ、まだ残っていやがる」
アークソウルで調べてみると、まだ邪気に落とす元を探知してしまう。
「今日は少し削ったくらいだな」
「そうですか…」
炙霧の身体を考えると、1日1度が限度。
無理に浄化しようものなら、人格崩壊をおこしかねない。
今日の所はここで終いにするしかなかった。
「また…、来ますね」
優しく声をかけてみるが、相手はフンッと顔を背けた。
2人が牢獄から去った後。
また1人、訪問者が訪れた。
「―…まだみたいやな」
「うるさい、殺せばいいだろ」
「はっ、ふざけんな」
「だって、苦しい…から」
人の部分と破壊を好む親である邪悪な血を受け継いだせいで、身を千切られるよりも苦しい。
いっそ死ねばどれだけ楽になれるか。
その者に殺してくれると懇願するが…。
彼は首を縦に振ることはなかった。
「それがお前の償いや。楽に死ぬなんて、オレが許さんからな」
泣き崩れる炙霧にそれだけ言い残し、牢から立ち去っていく。
階段を上りきるところで、1人の男とすれ違いかける。
「殺さんで生かしておいてやってくれ…」
「だが、次はないぞ」
脱獄しようものなら即、始末するというそぶりで言い放ち、一つあみの髪を揺らし踵をかえした。
皆様、大変お待たせしました。
終幕は、ノーマルエンドでした。
理由としましては、サリエルが消えることになってしまったからですね。
炙霧もしくは、メガネ先生またはPLPCの誰かが器にされたらバッドエンドでした。
アフターで含みがあるような内容がありますが、続きはないです。
所々、名前のないところは、あえて喋り方とキャラスタイルのみの表現にしています。
最後までお付き合いありがとうございました!
また、どこかでお会いできればと思います。