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リアクション
■ 魔法少女の夏 ■
今年の夏、アイリ・ファンブロウ(あいり・ふぁんぶろう)は里帰りせず、パトロールに専念するらしい。
そう聞きつけた藤林 エリス(ふじばやし・えりす)は、パートナーのアスカ・ランチェスター(あすか・らんちぇすたー)を誘ってパトロールへの同行を申し出ることにした。
「まずは魔法少女になっていかないとね」
アイリに会いに行く前に、エリスは魔法少女に変身する。
「愛と正義と平等の名の下に! 革命的魔法少女レッドスター☆えりりん!」
高らかに唱えると、弾ける光と共にエリスは魔法少女に姿を変えた。
共産主義者の象徴たる赤い星の加護を受け、格差と貧困に喘ぐ弱い立場の人々を守るため、横暴なる的に容赦なき粛正の裁きを下す。それこそが、革命的魔法少女レッドスター☆えりりんだ。
続いてアスカも、魔女っ子あすにゃんに変身する。
「は〜い★ みんなの魔女っ子アイドル、アスカちゃん参上っ♪」
露出度高めのコスチュームが、アスカの豊かなプロポーションによく似合う。
魔法少女に変身したその姿で、2人はアイリに会いに行った。
「天学のアイリ、いや魔法少女アウストラリスってあんたね?」
いきなりそう切り出したエリスに、アイリは面食らった様子だった。
「そうですけれど、それが何か?」
「噂は聞いてるわ。世界を救う為に魔法少女の力が必要だって、魔法少女を集めているのよね。あたしも常々、魔法少女こそが人々に夢と希望を与えて、世界を救う存在だと思ってたのよ!」
エリスはテンション高く、アイリの手を両手で握りしめた。
「あたし、あんたのやってることにすっごい共感覚えて、俄然興味が湧いちゃって♪」
「それはありがとうございます」
アイリは丁寧に礼を述べた。パラミタと地球の平和を守るべく、日々魔法少女として活動しているアイリにとって、自分のしていることに共感してもらえるのは嬉しいことだ。
「で、ちょっと耳にしたんだけど、あんたのパートナー、今里帰り中なんでしょ? その間、あたしにあんたのパトロールに付き合わせてよ! 一緒に悪を懲らしめましょ☆」
いつもはパートナーと共に魔法少女としてパトロールしているアイリが、この期間は1人なのだと聞いたから、是非助力をとエリスは申し出た。
「ありがとうございます。一緒に地球とパラミタの平和を守りましょう」
協力者はいつでも歓迎すると、アイリは喜んで2人の申し出を受け入れた。
「なんだか向こうに嫌な気配を感じるわ」
空京の街で、アスカが眉を寄せた。とほぼ同時に、小さな悲鳴が挙がる。
「スリよ! 誰か捕まえてー!」
その叫びを振り切るように走ってくる少年めがけ、
「シューティングスター☆彡」
エリスが空から星を呼ぶ。
「ぐわっ……!」
ばったりと倒れ伏した少年の手から、アイリがバッグを取り上げた。
「最近この辺りでスリが多発していると聞いたけど、犯人はあなたですか?」
アイリに訊かれ、顔をそむける少年にアスカがワンドを突きつける。
「おとなしく話してくれないと、魔女っ子あすにゃんがお仕置きよ」
にっこり笑顔で、けれどワンドを突きつける手には容赦が無い。
「悪事を働く不良は、この革命的魔法少女レッドスター☆えりりんが、お空の星にしてあげるわ」
業火で焼き払おうとするエリスに、少年は慌てて自分がやりましたと白状した。
それからも3人はパトロールを続け、様々な悪をあぶりだした。
現行犯は即座にお仕置き。
盗賊は根城ごと粉砕。
変質者が出ると聞けば、エリスが愛と夢のコンパクトでセクシーなオトナの美女に大変身。誘い出したところを、格闘新体操でぼこぼこにした。女の敵には手加減無用だ。
「予想外にはかどりますね」
エリスとアスカの飛ばしっぷりにアイリは感心した。
「えへっ、アイリ、アスカ、この調子でどんどん行こうー!」
エリスは気分よくステッキを高く掲げると、魔法少女としてのパトロールに邁進するのだった。
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