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リアクション
ケイティ
使節団の物資が積まれた倉庫で、ケイティ・プロトワンは荷物を黙々と箱に詰めていた。
その梱包された箱の山の上に、一人の少女が現れる。
「ほーほほほ! ケイティ、随分と地味な作業にいそし……(むぎゅ)」
キャンティ・シャノワール(きゃんてぃ・しゃのわーる)の言葉は、箱をかけ上ったケイティに抱きつかれて中断する。キャンティはじたばたと腕から、もがき出る。
「もう! 少しは力加減といういうモノを学びなさいな!」
キャンティは乱れた髪を直しながら怒る。
「♪」
ケイティはキャンティの猫耳をさわっていて、話を聞いているのか分からない。
「〜〜〜っ」
「ケイティ様はお元気な様子で何よりでございます」
聖・レッドヘリング(ひじり・れっどへりんぐ)がほほ笑みながら、箱山の陰から現れる。とりあえず、キャンティが箱の山に登る際の苦労は言わないでおく。
「もしかすると子猫様のためにアルバイトをなさっているのでしょうか?」
聖の問いに、ケイティはこくんとうなずき、携帯電話を出した。待ち受けはペットの仔猫ハクの写真だ。大人より少し小さいが、だいぶ育っている。
「ごはんに、おもちゃ……いっぱいあげたいから」
猫かわいがりぎみではあるが、立派に猫ママを務めているようだ。
「でしたら、こちらのバイトが終了しましたら、ぜひ温泉神殿のバイトを紹介させて頂きたいですね」
「温泉……あったかくて、大きいおフロ……」
聖は自身が管理人を務める神殿温泉に、ケイティを勧誘した。
「なら、次のバイトは……それで」
ケイティはふたつ返事で応じた。
ただ聖は心配な事もある。
「そういえば、あの方……鏖殺博士は今頃どうしていらっしゃるのか、ご存知でしょうか?」
「知らない」
ケイティはふるふると首を振った。姿をくらまして以降、彼女にちょっかいはかけていないようだ。
「そうですか。それでは、エリュシオン使節団の荷造りのお手伝いでも致しましょうか」
聖はひとまずは安心する事にして、荷造りを始める。
ふとキャンティが名案か迷案を思いつく。
「そうですわ! ケイティにはエリュシオン土産のアスコルド大帝の目玉を1つ、持ち帰ってさし上げますわ。
まぁ、キャンティちゃんグッズの方が断然かわいいとおもいますけれど」
なお、後日の事であるが、最終的に目玉はキャンティの手には入らなかった。
そのため、ケイティへの帝国土産は『大帝の目玉パン』なるナゾのパンとなった。ケイティはハクと分け合って食べたという。