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リアクション
《VS 金 鋭峰》
「クウッ……。こ、この私が、こうも簡単に追い詰められるとは……」
全身に傷を追い、ガックリと膝を突く巨大金 鋭峰(じん・るいふぉん)。
鋭峰は、【機晶ビームキャノン】と【新式アサルトライフル】を使い、アウトレンジから攻撃を加える光龍の前に、苦戦を強いられていた。
「垂、そろそろ良いのではないでしょうか?」
光龍の操縦を担当する夜霧 朔(よぎり・さく)が、計画の実行を、朝霧 垂(あさぎり・しづり)に提案する。
垂は、光龍の射撃担当だ。
「よし!行くぞ、朔!」
「キャラクターチェンジ!」
「ミーーーツエェ!」
「何やってるのよ、鋭峰!」
横山 ミツエ(よこやま・みつえ)に変身した垂は、光龍の【ソニックブラスター】を利用して、いきなり鋭峰を罵倒し始める。
「そ、その声は、ミツエ!」
突然の事に、動揺するミツエ。
「全く!こんな地方を占領するなんて、本当に器の小さい男ね!」
「な、ナニっ!こ、この私の器が小さいだと!?」
「そうよ、どうせ侵略するなら、こんなチマチマした事してないで、いきなりシャンバラ宮殿を制圧するとか、大きな事をしてみなさいっての!それともアレ?未だに恋人が出来ないから、鬱憤晴らしのためにこんな事をやってるの?」
「そ、それとこれとは関係ない!」
「何よ、ムキになっちゃって。はは〜ん、さては図星なのね!」
「そ、そんな事は……」
「そんな暇があったら、お見合いでもしたらどう?アンタみたいな朴念仁でも、一応地位と名誉はあるんだから、一人くらいは引っかかるお馬鹿さんがいるんじゃない?それとも、見合いをするも度胸もないの?そんなんだからホモ疑惑が浮上するのよ!」
「ほ、ホモだとぉ!ま、まさかお前までそんな根も葉もない噂を信じてるんじゃないだろうな!」
「さぁ〜てね〜。ホントにただの噂だかどうだか怪しいもんだわ」
「そ、そんな……。お前まで、私をそんな目で見ていたなんて……」
ショックのあまり、ガックリと項垂れる鋭峰。
「垂、作戦は成功です!ニセ鋭峰は、かなりのショックを受けている模様です!」
「よし、一気にトドメを刺すぞ!」
肩をワナワナと震わせたまま、動こうとしない鋭峰を、尻尾の【ビームランス】で串刺しにしようとする垂。
光龍が尻尾を振り上げた瞬間、鋭峰の【栄光の刀】がばね仕掛けのよう跳ね上がり、下段から斬り上げた。
切断された光龍の尻尾が、宙を舞う。
「な、ナニィ!」
「バカめ、そんな手が効くか!」
続けて振り下ろした刀から発せられた《轟雷閃》が、光龍を直撃する。
胸部に激しい爆発を起こす光龍。
「うわあああぁァァァーーー!」
「きゃあァァァーーー!」
爆発の衝撃で、バッタリと倒れる光龍。
「く、クソッ!芝居だったのか!」
盛んに火花を上げるコックピットで、垂が叫ぶ。
「キーがコピーするのは能力と外見まで。人格までコピーする訳ではない。揃いも揃って馬鹿者共だな、貴様らは」
冷たい目で光龍を見下ろす鋭峰。
「この私に対する数々の侮辱、死を持って贖ってもらうぞ」
機体の自由を失って倒れ伏す光龍に、鋭峰が刀を振り上げる。
「死ね」
「死ぬのは、テメェの方だ!」
ドコかから飛んできた【魔法の投げ矢】が、鋭峰を襲う。
投げ矢をまともに喰らい、よろめく鋭峰。
「だ、誰だ!」
「普通に戦ってりゃ勝てたものを。調子ン乗ってフザけた作戦考えっから、そうなるんだ」
「カルキノス!」
巨大化したカルキノス・シュトロエンデ(かるきのす・しゅとろえんで)が、ソコに立っていた。
「今度はオレが相手だ、ニセ団長!」
「おのれ!」
再び《轟雷閃》を繰り出す鋭峰。カルキノスはそれを、飛び上がってかわす。
「悪いが、優位は徹底的に利用させてもらうぜ!」
空中から【魔法の投げ矢】や、【新式アサルトライフル】で攻撃するカルキノス。
鋭峰も《轟雷閃》や《ゴルダ投げ》で反撃するが、見た目よりもはるかに素早いカルキノスの動きに、命中させることができない。
「こ、このままでは――」
「喰らえっ!」
カルキノスは鋭峰の攻撃をくぐり抜け、空中から掴みかかる。
カルキノスの巨体を支えきれず、大地に叩きつけられる鋭峰は。
「グウっ!」
「これでトドメだ!」
鋭峰にのしかかったまま、ゼロ距離で【ドラゴンブレス改】を浴びせかけるカルキノス。
鋭峰は叫び声を上げることも出来ずに、爆発した。
「やった!」
「お見事です!」
歓声を上げる垂と朔。
「あー、喜んでるトコロなんなんだか、朝霧よ?」
「あん?」
「お前がニセ団長を罵倒してた一部始終な。あれ、本物の団長が中継で見てるらしいぞ」
「え?……エエェェェ!ウッソぉぉぉぉーーー!!」
「下品極まる作戦を実行に移した上、無様な敗北を喫したあの男。あれは一体誰だ?」
傍らの秘書官に、鋭峰が訊ねる。
「我が軍の朝霧垂ですな」
「そうか」
「いかがなさいますか?」
「反逆罪に値するな。秘密裁判と、公開処刑の準備をしておけ」
「了解しました」
「お、オイオイオイ!いくらなんでもそれは――」
鋭峰と参謀長ののやり取りを聞いて、慌てて止めに入る涼司。
「それは?」
涼司を、ゾッとするような目で睨む鋭峰。
「そ、それは……」
鋭峰の全身から立ち昇る禍々しいオーラの前に、涼司はそれ以上言葉を続けることできない。
まるで、ヘビに睨まれたカエルのようだ。
「……冗談だ。しばらく、重営倉にでもぶち込んでおけ」
「了解しました」
(冗談!?嘘だ!オマエ今絶対本気だった!絶対本気だったろお前!)
心の中で全力ツッコミを入れながらも、それを言葉に出す勇気は、涼司にはなかった。
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