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レターズ・オブ・バレンタイン

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レターズ・オブ・バレンタイン
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17)

デスティニーランドにて。
付き合い始めて1周年の記念日に。
桐生 理知(きりゅう・りち)は、
辻永 翔(つじなが・しょう)とデートに訪れていた。

「翔くん、こっちこっち!」
「おっと、そんなに走るなよ。転ぶぞ」
手をつないだまま駆け出す理知に、翔が苦笑して声をかける。

「大丈夫だよ。……あっ!」
「ほら、言わんこっちゃない」
つんのめった理知を、翔が支える。
抱きかかえるような格好になり、理知は頬を赤らめ、慌てて離れた。
「あ、ありがとう!」
「気にするな」
翔も、頬をかいている。
照れているようだった。

そして、また、2人は自然と手をつないで、パークを歩き回る。
ジェットコースターに乗り、理知ははしゃぐ。
「ほら、一番、先頭になったよ!」
「おお、よかったな」
「イコンのGに比べたらたいしたことないよね、きっと」
「そんなこと言って大丈夫か?」
「大丈夫だよ……あ、動き出した!」
ジェットコースターが、レールの頂上まで上がり、一気に下っていく。
「きゃああああああああああああああああああああああああああ!」
理知は隣の席の翔の手を握りしめる。
ジェットコースターから降りて。
「ああ、楽しかった!」
「理知、思いっきり恐がってなかったか?」
「ううん、とっても楽しかったよ!」
「そうか。ならいいんだ」
そう言って、翔は理知の髪をなでる。

「え?」
「髪。乱れてたから」
「や、やだ。ありがとう、翔くん」
理知は、翔のさりげない優しさを噛みしめた。

そして、2人は、観覧車に乗り、
バレンタインらしいハートやチョコで飾り付けられたパークを見下ろす。

「あ、ピンクのハートのイルミネーションだよ!」
「あれ見るとラッキーらしいな」
「よかった! 翔くんと一緒に見られて」
理知は、にっこりと笑った。

「そういえば、昨年の今日のことを思いだすな」
翔に言われ、理知は頬を赤らめる。
「覚えてくれてたんだ」
「当たり前だろ」
昨年のバレンタインデーは、理知が、翔に告白した記念日である。
(今でも、覚えてるよ。あの時のドキドキ……)
理知にとって、それは昨日のことのように鮮明に思い出された。

パレードを見た帰り道。
理知は、手紙と一緒に、チョコを差し出す。
「手紙は、1人の時に読んでね。
……恥ずかしいから」
「ああ。ありがとう」
翔は、優しい笑みを浮かべた。
「すごくうれしいよ。ありがとうな」
そして、翔は、理知を抱き寄せる。
「俺は何も用意してないから、代わりに」
翔は、そっと、理知に口づけた。
それと同時に、2人を祝福するように、パークに花火が上がった。