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レターズ・オブ・バレンタイン

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レターズ・オブ・バレンタイン
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47)

カシウナの町にて。
レン・オズワルド(れん・おずわるど)は、
フリューネ・ロスヴァイセ(ふりゅーね・ろすう゛ぁいせ)とともに、街を歩きつつ、
昔話をしていた。
「以前、地球にいたころの俺の話を聞いたことがあるだろう?」
「ええ」
フリューネはうなずいた。
レンは、サングラスの奥の瞳を遠く見据えた。

「それよりも、もっと昔の話をしよう。
……俺が、まだ、子どもだったころの話だ」
平和だった、あの頃。
まだ、幼いレンが、子どものころにやった遊びの話。
「あの頃は、漫画やTVに出てくるヒーローの真似をしたりしていたな」
レンが、軽くパンチを突き出す仕種をしながら言った。
「フリューネも、ユーフォリアに憧れて、そんなふうなことをしたりしなかったか?」
「ふふ、そうね。
高いところに登ったりしてね」
懐かしそうに、記憶を呼び覚まして、フリューネが言った。
「フリューネは、その夢がかなったと言えるよな」
「そうかしら?
……正直、まだまだだと思っているのよ」
ふと、フリューネは振り返っていった。
「あなたはどうなの?」
「俺は……」
レンは、まっすぐにフリューネを見据えた。
「子どもの頃に憧れたヒーローになりたいとは言わないが、
願わくば目の前に居る人々を救えるくらいの男にはなりたいと思っている。
誰に恥じることもなく、大切な人を守れる男に」
「あなたらしいわ」
フリューネが微笑した。

2人は、カシウナの町を見下ろす時計塔に上った。

「改めて、この風景を、守れるようになりたいものだな」
「そうね。大切なこの世界を守ることができるように」

レンは、フリューネにそっとささやいた。
「今日をありがとう」