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リアクション
【11】
「事案ってなんだよーーー!!」
湯浅 忍(ゆあさ・しのぶ)は電脳の青空に叫んだ。
お金に目がないところは玉に傷だが、わりかし普通に学生生活を送ってきたと言うのに、何故ここに!?
何が? どうして? こうなった!?
忍は混乱していた。
対照的に相棒の機械の狼型ギフト、スパナ・ワンエイティー(すぱな・わねいてぃー)はとても落ち着いていた。
ーー忍がショックで混乱しているな。そんな時こそ、パートナーである我が冷静に対応するべきだろう。
「まあ落ち着け。まずは落ち着いて状況を把握だ」
「お、おう……」
「そして、そっちの縄を持って……そう、そっと我を縛るのだ」
「こ、これでいいのか?」
「うむ、もっと! もっと強くだ!!」
「……って何させんだ!」
ドサクサに紛れに緊縛プレイを始めたスパナを踏ん付ける。
連れてこられた原因はわかった。こいつだ、こいつがこんな緊縛変態狼【アンコモン】だからだ。
一刻も早くこんなアブノーマルな町からはおサラバこきたいところだが、ちょっと待てよ、と忍はクールに考えた。
ここには同じように変態事案に巻き込まれた、彼曰く「未来の俺のかわいこちゃん達」も居る様子。
これはヒーローになるチャンス。
ーー変態空間から女子の皆様を助け出せれば一躍ヒーロー! 今度こそキャーキャー言われるんだっ!
とりあえず、AIを直すためにAIのところへ向かおうと決めた。
と決意を固めたところに、凄まじい突風が吹き抜けた。
突風? いや、あまりに速過ぎて見えなかったが、風じゃないペガサスだ。いや、ペガサスに似た何か……。
ユニオンリングでアリス・セカンドカラー(ありす・せかんどからー)と合体した鳴神 裁(なるかみ・さい)の駆る、ペガサスボーンGだ。
合体した彼女はアリス成分が多めだが、裁の「スピード狂」分が速さを求めてやまないのである。
レアリティにすると【アンコモン】ぐらいの変態性である。
聖槍ジャガーナート×2、空乗りの鞍、天馬の乙女で通常の14倍〜18倍にまでスピードを大幅上昇。
下着として装着されている魔鎧のドール・ゴールド(どーる・ごーるど)が超人的肉体で肉体を強化。
更に彼のグラビティコントロールでの重力操作で変態的スピードによる負荷を軽減し、無茶な機動を支える。
そして、ポイントシフトも加わって、変態機動ここに極まれりである。
まさに目にも止まらぬ速さ。
「どけどけぇ♪」
人のたくさんいる大通りもこのスペシャルな機動があればすり抜けるように……
「きゃああっ!!」
「どわああああああっ!!」
「あはっ皆ありがとー♪」
スピードに対する歓声かと思って手を振る[裁アリス]だが、通ったあとに残ったのは屍類類、撥ねられた交通事故被害者たち。
「轢き逃げじゃねぇか!!」
忍の声も高速で振り切って、ペガサスボーンGは見えなくなった。
事故現場に南無……と手を合わせ、忍は先に行く。
しばらく歩くと、猿渡 剛利(さわたり・たけとし)が悪そうな変ムスに絡まれている場面に出くわした。
「へへっ姉ちゃん、俺らと遊んでいこうぜ」
「誰が姉ちゃんだ! 俺は……」
普通なら見なかったことにしておいとまするところだが、剛利は第3の性別なんて言われたりするほどに見た目女の子、女子に良いところ見せたい忍の心をガッと掴んだ。
「汚ぇ手を放しなっ!!」と悪漢どもに言い放つ。
なんだてめぇはすっこんでろ、と睨み返してくる悪漢にも、怯まず、忍は格好よく決める。
「俺だって契約者にして天学生徒の端くれ……変態ごときに負けるわけにはいかねぇんだよ!」
ブーストソードで斬り掛かる。
しかし、ここが変態力だけがモノをいう場所ということを忘れていた。
敵変ムスのおでこにソードは弾かれ、「あれ?」となったのも束の間、ボッコボコに殴られた。
「し、しまった……」
そこに出口を求めて彷徨うリリ・スノーウォーカー(りり・すのーうぉーかー)とララ・サーズデイ(らら・さーずでい)が現れた。
「なぜリリが触手マニアなのだ! 酷い捏造なのだよっ!」
自分の属性を見て憤るリリ。
「クトゥルフ神学科だからだろ。それより敵だ」
「ララはいいのだよ。男装マニアは本当だからな」
「好きでやってるだけだ。マニアじゃない」
「それをマニアというのだよ。それどころか、ララは男色学舎の校長に惚れてるヘンタイなのだ」
「リリッ! ルドルフを侮辱するならたとえ君でも……な、なんだ? 体が光る……」
ピロリロリン♪
空中にAIの画面が出てきた。
『おめでとうございます。以下の変態事案が確認されたことにより、大幅に変態値が加算されました』
ララ、BL属性。レアリティ【コモン→アンコモン】。
ライトブリンガーの一撃で敵を倒す。
「パワーアップしたのか?」
きょとんとするララ。
仲間に何しやがるんだ! と変ムス達が目の色を変えて襲ってくる。
とその時、吹き抜けた一陣の風が彼らをナチュラルに撥ねた。スピード狂の轢き逃げ乙女[裁アリス]の仕業だ。
彼女はようやくさっきから人を轢きまくっていることに気付き、慌ててペガサスから飛び降り、いてぇよぉと悶える悪漢をボコボコ踏み付け、ペガサスに傷が付いていないか心配そうに確認する。
「良かった、傷はなさそう……」
「兄貴! 兄貴ー! しっかりしてくだせぇ!」
「……ん? あ、ごめんごめん」
「ごめんで済むか! 兄貴、ピクリとも動かなくなっちまったじゃねぇか!」
「なによぉ、お金を要求する気ぃ? 当たり屋でしょあなたたち」
全然悪びれる様子も無く「じゃあ遊んであげるよ」と怪しく笑う。
高速で裁アリスは敵の中に突撃し、服だけを切り刻む。生まれたままのそれになった敵はきゃあっ! と股間と乳首を隠す。
それから敵変ムスを素早く見回し、高速チェック、なるべくルックスのいい奴に高速で女装させた。
「な、何するんだよぅ」
羞恥に染まった彼の顔に、裁アリスの胸はずぎゅぅーーん! と高鳴った。
「そうそう、これよ、この顔なの見たかったのは♪ ああ、もうもう♪」
あとは触手とか汁とか出てくれば完璧。
「……ということで用意しました淫獣☆」
出てきたのはポータラカ人の蒼汁 いーとみー(あじゅーる・いーとみー)。
まんまるチョコボディに頭足類な軟体生物のような触腕、コウモリ羽を生やしてぎょろりとした単眼がチャームポイント☆ 邪神のようなビジュアルのいーとみーの殻(ポータラカUFO)に詰まったスライム娘だ。
そしていーとみーは触手攻め。時折、謎料理で作った“よーぐると”や“練乳”をぶっかける。
「い〜とみ〜☆」
「あ、あう……あう……」
「そろそろイカセてあげようかしら☆」
エシェンシャルリーリングで気持ちのいいポイントを探り、エナジードレインでびゅるるるるっと搾り取る。
裁アリスのレアリティ【アンコモン→レア】に。
「なんという気持ち良……いや、おそろしい技……!」
ゴクリと気を飲む忍。
スパナは一連の技を見て、はっとした……あの触手、イケる!
「こうなったのも何かの縁。心を落ち着かせるため、我を強く縛ってはみないか?」
更に「詰まらないものですがって、本当に詰まらないものだな。このクズが」などと罵られてこそ、本物のギフトと聞く。
「さあ、さあ、強く縛り、激しく罵りたまえ! ふほぅ、これで我も真のギフトに近づくことにひぃ!」
「……狼はちょっと守備範囲外ね」
「なん……だと……」
スパナはしゅんと落ち込んだ。
「落ち込むなっ! てか、そんなもん欲しがるなっ!」
忍は突っ込む。
とその時であった。突然、悲鳴が上がった。
「のわぁ! 何をするのだ!」
「うるせぇ! 服をよこせ!」
「リリ!」
剥かれたまんま顔が気に食わなかったので服を着せてもらえなかった変ムスが、風邪引いちまうじゃねぇか、とリリに襲いかかったのだ。
無理矢理リリの服を奪って自分が着る。これはこれで屈辱的なプレイだが。
そんなことより剥かれてしまったリリである。
素っ裸にされてしまったリリ。年齢的には大人の女だが、身体は未熟な少女のよう。
合法ロリ……いや、ここはあえてこう言おう”合法リリ“!
「リリはポロリ要員かーっ!!」
リリはプカプカ浮かんでいるいーとみーをむんずと掴んだ。
「!?」
そして何を思ったか、いーとみーのお尻の辺りに頭から突っ込む。
「いーとみぃぃっ!?」
人間語に訳すと「ひぎぃぃぃぃぃぃっ!?」的な悲鳴を上げるいーとみー、しかしリリは容赦せず、そのままメリメリと頭を突っ込む。
そのまま開通、いーとみーの頭頂部から顔を出した。いーとみーを着ているような感じだ。
いーとみーが身体がナノマシンで構成されたポータラカ人でなければ死んでるところである。
ララと忍がゴクリと息を飲む。
「へ、変態だ……」
「ああ、高度な変態だ」
「なんだとー」
チャーラッチャラー♪
『おめでとうございます。以下の変態事案が確認されたため、大幅に変態値が加算されました』
リリ、合体! 侵略タコ娘! レアリティ【コモン→レア】。
「おお、パラメータがメキメキ上昇していくのだ……」
リリは先ほど服を奪った変ムスを睨む。
「喰らえ! ヴァイス・タイド(純白の潮吹き)!!」
いーとみーからぷっしゃーーーっ! とちょうど股間の辺りから練乳を放出。
品性を置きざりにした技にララは顔をしかめる。
「嫌な技だな……」
「うるさいのだ。こうなったら片っ端から敵ムスを倒しまくるのだよ」
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