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胸に響くはきみの歌声(第2回/全2回)

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胸に響くはきみの歌声(第2回/全2回)

リアクション

「さあ、とっとと防壁を築かなくちゃね。あいつら、すぐ体勢を整えてまたやってくるに違いないんだから」
 ルドラアストー01、そして彼らの護衛を買って出たコントラクターたちが古代遺跡ダフマの隠された入口から内部へ入るのを見送った直後、ヘリワード・ザ・ウェイク(へりわーど・ざうぇいく)はそう言った。
 ぱん、と手を打ち鳴らす。その頭のなかでは、早くも防衛体制の構想が着々と練られているようである。
「そうは言ってもよ、こっちはこの数だ。あいつらを撃退なんて無理な話だぜ?」
 盗み見るようにざっとこの場に残った面々を見渡したあと、眉をひそめたフェイミィ・オルトリンデ(ふぇいみぃ・おるとりんで)のもっともな懸念にも、ヘリワードの自信は崩れなかった。
「もちろんよ! だれが撃退するなんて言った? 2人について行った人たちにも、ちゃーんと分担して働いてもらわなくっちゃ割にあわないわ。あたしたちがするのはあくまで時間稼ぎ。もちろん、できる限り戦力は減らさせてもらうけどね!」
「数減らしか」
 消極的に聞こえても、それが現実的ではあった。なにしろ先の接触では、全員で総力戦をしてほぼ互角だったのだから。
 もちろん勝負は時の運。場所や手段が変われば勝敗も変わるのが常というものだが。
 例えば今回のように、短時間とはいえ場に手を加えられるのは大きな利点だろう。守るのも2人の人間ではなく入口だ。
 その入口は現在ヴェルリア・アルカトル(う゛ぇるりあ・あるかとる)が融合機晶石【フリージングブルー】で強化したアブソリュート・ゼロの重ねがけによって氷結し、封鎖している。イコン装甲にも匹敵する強度だ、これを破るにはいかに強化人間たちでも相当時間と力を消耗することになるだろう。
「それに、あたしたちだけじゃないわよ!」
「え?」
 ヘリワードは携帯を取り出して耳にあてた。
「あ、ミュート? うん、あたし。ウェアはなじんでるわね? 座標は今から教えるから、天馬騎兵団とすぐ来て……窮地よ。あなたたちならそう時間はかからないでしょ?」
 相手からは色良い返事がきたらしい。スムーズに話は進んで、通話は終わった。
「細工は流々、あとは仕上げを御覧じろ、ってね」
「ミュート?」
「開戦には間に合わないかもだけど、増援としてのインパクトはあるわ。こっちはそれまで持つようにいろいろ細工しなくちゃ」
 だれだそれ? おまえの友だちか? という顔をしているフェイミィの疑問にヘリワードが気付いた様子はなかった。独り言のようにつぶやきながら携帯を元の場所にしまいこむと、後ろで控えているオルトリンデ少女遊撃隊隊員たちに、こっちへ来てとアイコンタクトをとる。
「ほら、あんたも手伝って。ちゃっちゃと要塞化していくわよ!」
「あ、ああ」
 フェイミィたちを引き連れて離れていくヘリワードを横目に、リネン・エルフト(りねん・えるふと)はみんなから少し離れた場所で立つ賞金稼ぎのJJの元へ近づいた。
「聞いていたと思うけど、敵が来るの。相手はアストー01の破壊が目的のテロリストよ。ここはもうじき戦場になるわ」
 それで? と無表情に真正面から見返すJJにやりにくさを感じつつも、リネンは共闘しないかともちかけた。
「……なぜ」
「なぜ、って……あなたも、アストー01が目的でしょう? 破壊されたら……困るんじゃない?」
「困らないわ。わたしたちの目的はマスターデータチップの回収。アストー01の破壊は、クライアントも了承済みだし。だれかがそれをするなら、手間がはぶけるだけよ」
 ――とか言いながら、自分でできないのは残念とか考えてんじゃねーの? おまえ、機晶姫キライだもんなぁ。おれとしちゃ、たとえ機械でもあれだけの美女がなくなるのは惜しい気がするんだが

「……黙って、兄さん。これは仕事なの……」
 すかさず入った茶々に、JJはそっとこめかみに手をあてる。
 『兄』の不真面目な言葉はJJ以外の者には聞こえないが、JJが返答に用いた言葉だけで忍野 ポチの助(おしの・ぽちのすけ)を怒らせるには十分だった。
「なっ、なんてやつなのですか! あんなことを平然と言うなんて!」
 ポチの助の脳裏に真っ先に浮かんだのは、友達の機晶姫完全魔動人形 ペトラ(ぱーふぇくとえれめんとらべじゃー・ぺとら)の姿だった。
 機晶姫をきらうということはすなわちペトラをきらうこと。否定することだ。
 そんなことは許せない。
「どうどう、ワン公」
 頭から湯気が出そうなほどカッカしているポチの助が何を考えているのか見抜いて、意地悪くにやつきながらベルク・ウェルナート(べるく・うぇるなーと)が後ろから言葉を発する。
「僕は馬ではありません!」
 JJに腹を立てながらも首を回して律儀に反応してくるポチの助の頭に、ぽんぽんとなだめるような手が乗る。
 JJの相棒で魔女のクイン・Eが、微笑を浮かべて見下ろしていた。
「まあまあ。そう目くじらをたてないでやってくれ。あいつの機晶姫ぎらいにもそれなりに理由はあるんだ。あんたが機晶姫好きなのに理由があるようにな、ワン公」
 クインの言葉に「そりゃあ、まあ……」と納得しかけていたポチの助だったが、最後の付け足しがまずかった。
「し、失敬な! 僕にはポチの助という立派な名前があるのです! 見ず知らずのナンパ野郎ごときになれなれしく説教される覚えはありませんよ!」
 フンッ! と顔をそむけたポチの助の前に、そのとき何か重い袋のような物が降ってきた。ドサリと音を立てて落ちたそれに目を向けてみると――。
「こ、ここ、これはッ! 発売直後完売即終了、以後発売日未定、増産待ちとなっている『新年特別限定ほねっぽん、金箔入りお雑煮味』!! この僕でも手に入れることができなかった幻のほねっぽんではありませんか!!」
 カッ!! と目を瞠り、垂涎しているポチの助の頭の上が、突然影になった。
 そこには狼ギフトのパルジファルがいて、小さな柴犬のポチの助を見下ろしている。
「食え」
 パルジファルは低音の声で告げた。
 それきり何も言わず、どっしり腰を落ち着ける。
「……賄賂ですかッ! この僕をこんな物で釣れると思うなんて、おかしいんじゃないですかっ!?」
 威勢よくキャンキャン吠えながらも、しかしシッポは正直というか、なんというか。食べてみたかったおやつを前に、ぶんぶんちぎれるくらい振れて、周囲に土ぼこりを舞い上げている。
「いいから食え」
 ピリ、と音をたてて、袋がやぶかれた。とたん、ぷーんとおいしそうなにおいがただよってくる。ほねっぽん好きにはたまらない、魅惑の香りだ。その効果はテキメンで、ついに誘惑に負けたポチの助はハグハグ食べ始めた。
「言っておきますけどね! 僕はまだ負けてなんかいないのですからね! そこのところ、勘違いするなですよ!?」
「食べるときは黙って食え。こぼれるぞ」
「おかんみたいなことを言うなですっ」
 生意気な口をききながらも言うとおりに黙ってパクついているポチの助のピンと立ったシッポを見て、ベルクは笑いをこらえきれずにいた。
「おーおー餌付けされてやがる。
 なんか、ちょい緊張感なさすぎっつー気もするが、 ま、連中が戻ってくるまでする事もねぇだろうから、のんびりしてるぐらいがちょうどいいか」
 ふとその視線を横に向けて、フレンディス・ティラ(ふれんでぃす・てぃら)に同意を求める。しかしフレンディスはほかに何か気にかかることがあるような、どこかぼんやりした表情で考え込んでいた。
「どうした、フレイ」
「……なぜあのご婦人は機晶姫がお嫌いなのでしょうか」
「は? さあなぁ。案外、商売仇が機晶姫だとか、昔いやがらせされたことがあるとか、そんなもんじゃねぇか?」
「そうなのでしょうか……」
 ベルクは大して興味も引かれなかったことだが、フレンディスは気になるらしい。
(こいつのことだから、大方これからも仲良くできたらいいな、とか考えているんだろうな)
 問答無用で斬りかかるというあの出会いを思えば相手にとってフレンディスの印象がいいとは思えず、難しい気もしたが、あらためて関係を築くのに遅すぎるというわけでもなく、それなら相手のことを少しでも理解した上でというのは悪くないはずだ。
 JJはまだリネンと話し中だ。ぼりぼり頭を掻き、ベルクはクイン・Eに向き直った。
「おい、そこのおまえ」
「クイン」
「……クイン。なんであの女は機晶姫を嫌ってるんだ」
「えー? それはちょっとなぁ。JJのことをおれが勝手に話すのも……。おれだって彼女から直接聞いたわけじゃないし。
 大体、なんでそんなこと知りたいんだ? まさか彼女の弱味を握りたいとかいうんだったら――」
「マスターではないのです。私が、JJさんとお近づきになりたいと思ったからなのです」
 ベルクを見るクインの目が少しばかり不穏な気を放ち始めたことを敏感に察したのかどうかは分からないが、フレンディスが前に出た。
 フレンディスを見た瞬間、クインの表情がパッと一転して明るくなり、彼女の手を両手で挟む。
「なんでも訊いていいよ。おれの知ってることならなんだって教えてあげるから。
 ねぇ、これが終わったら2人でツァンダの街へ行かない? おいしいパスタを出す店を知っているんだ。そこでゆっくりきみの疑問に答えてあげるよ。おれのマンションのルームナンバーとか」
「ほえ? るーむなんばー、ですか? あ、もしかしてお2人はご一緒にお住みになっていらっしゃるのでしょうか?」
「いや、そうじゃなくて――」
「あいにくだな、クイン。そいつは天然すぎて、おまえの相手は務まらねぇよ」
 ヒクヒクと、こころなしかほおの筋肉の引きつった笑顔でベルクが言う。フレンディスは分かっていないし、クインに心が揺れている様子もない、と、心をおおらかにして余裕を出そうとしているが、みごとに失敗しているようである。
 クインは相手がお子さまと知って気がそがれるかと思いきや、
「なんと! 天然のお嬢さんか! そいつは今時めずらしい。ますますくど――」
 ぐぐぐと前のめりになって、さらにフレンディスに顔を近づけようとする。それを後ろからベルクが裸絞めして引っ張り起こした。
「まったく冗談のすぎるやつだな、この野郎ー。
 ……調子こいてあんまフレイにちょっかいかけてると術ぶっぱなすぞ?」
 眉の端っこあたりがヒクつく笑顔で、クインにだけ聞こえるようにつぶやく。首を絞められているクインは言葉も返せず、ただ無言の苦笑いでベルクを見返すだけだ。
 そんな2人を見て、フレンディスが屈託ない笑みで言った。
「マスター。マスターたちはすっかり仲良くなられたのですねっ。私も早くそうなれるようにがんばる所存です」
 少しばかりの羨望と発奮。
 おそらくこの場にいる者で、フレンディスだけが全然分かっていない。
「あそこ、面白いねー、ルーマ」
 ミリィ・アメアラ(みりぃ・あめあら)が一生懸命笑いをこらえながら感想を口にした。
 その視界の隅をトコトコと歩く、白くてふわふわのもこもこが1つ。
 小さくてだれからも見過ごされがちな外見をいいことに(?)、子羊の牧場の精 メリシェル(ぼくじょうのせい・めりしぇる)が地下古代遺跡へ続く入口へ向かっていた。
「そっちはだーめっ」
「めええええっ?」
 あと少し、という所でひょいと後ろから抱き上げられたメリーは驚きの声をあげてじたばた暴れる。
「あのなかはメリーには危ないの。外で待ってないとだめだよー」
「めえっめえっめえーーっ(でもボクもタケシを助けに行きたいの!)」
「メリーが心配してるのは分かるし、ワタシも心配。でもワタシたちはみんなを信じて、ここで待っていようね」
「めええぇ……」
 そう言われるとメリシェルもなんだか自分のしてることが単なるわがままのように思えてきて、うなずかざるを得なかった。
 こくん、とうなずき、メリシェルがおとなしくなったのを見て、ミリィは下に下ろす。
「分かってくれたんだね。ありがと、メリー」
「めええ……。(うん……)
 めえっ! めめめめめめっ!!(でも、それならそれで、ボクはここでできることをすればいいんだよね!)
 めめー!(ぼくはタケシの帰りを待ちつつ、狼ギフトさんと仲良くなる!)
 めめめー!(これぞ完璧な計画!)
 めめ〜(というわけで、パルジファルさんの所へ遊びに行ってこよう〜)」
 ミリィの前、メリシェルは1人百面相をして、何かに納得した上さらに奮起した様子でくるっと反転し、今度はポチの助といるパルジファルの方へ向かって駆け出した。
「メリー!?」
「めめー!(パルジファルさんー、ぼくも一緒にタケシ達が出てくるの待つよー!)
 めーめー!(探しに行くのは手伝えないけど、戻ってくるのを待つだけなら一緒だよね! 一緒に待とうー!)」
「――ッ!!」
 突如ふわふわもこもこの毛皮爆弾が背後からぶつかってきて、パルジファルは内心目をむいて驚いた。闘犬ほどもある体格なので子羊1匹が体当たりしたところで微動だにしないが、内側では激しく動揺している。さらにはそのまま強面の彼に見下ろされながら気圧されることなくめーめー何事かまくしたててきている子羊に、パルジファルはますます混乱を深めていた。
 このシャンバラへ流れ来る前は、寂寞の大地ニルヴァーナで戦うだけの日々を送ってきた。今までだれかにこんなになつかれたことがない。こういう場合、どうすればいいか分からない。
 無表情で混乱した彼は、おもむろにもう1袋『ほねっぽん』を取り出して、ポチの助のときのようにメリシェルの前に落とした。
「食え」
 騒ぐ子どもにはとにかく食い物を与えればいいと思っているのだろうか。
 メリシェルはとなりで『ほねっぽん』を食べているポチの助を見、固まっているパルジファルを見上げて「めええっ」と鳴いた。
「……えーと。メリーはあれでいい、のかな?」
 メリシェルなどひと噛みで殺せそうなパルジファルの前で、『ほねっぽん』を抱えて無邪気に笑っているメリシェルを見て、ミリィはそう結論づける。
 一方で、セルマ・アリス(せるま・ありす)はクインの方に注目しており、彼の口にした言葉を吟味している様子だった。
「……うん。そうだよね。気になることは、直接本人に訊いた方がいいんだ」
 うん、とうなずいて。
 セルマはリネンと話を終えたJJへと歩を進めた。
「――とにかく、その気になったらいつでも来て。あなたが助力してくれたら、うれしいわ」
 リネンが去り際にそう言っていったところを見る限り、共闘の説得は失敗したのだろう。その言葉にもJJは何の反応も示さず、冷ややかな視線を向けるだけだった。
 ――聞く限り、相手は機晶姫ごとデータチップを破壊しかねないぜ? 手助けした方がいいんじゃねーの?

「……そうとは限らないわ。それに、それをしてこちらに何の利点があるの?
 ――次の顧客の確保とか? 実際、おまえもこれはかなりうさんくさい依頼だと思ってるんだろ?

「……だとしても、依頼は依頼よ。クライアントから撤回のコールはないわ。依頼外で動けば、糸が絡まるだけ……。それに、兄さんはただ、面白がってるだけでしょう
 ――バレたか

「まったく、能天気なんだから」
 はははっと笑う声に、そっとこめかみに指をあてる。
 そこにセルマが近づいた。
「JJさん。ちょっといいですか?」
「なに?」
「あの……前から気になってたんですけど……その……。だれと話してるんですか?」
 瞬間、JJの体がわずかに強張った。緊張に空気が張りつめたのを感じて、セルマはこれ以上続けていいものかためらう。しかし口にした言葉は返らない。ここで止めても中途半端なだけで得るものがない。続けるしかないのだ、と思い直した。
「聞こえないならともかく、話してるのが聞こえてしまうので、気になってしまいました。
 1人で話してるようでもないですし……だれか、明確に話し相手がいるような」
「あ、マズ」
 とクインが小さくつぶやいた。
 下を向いて伏せられていたJJの紫の瞳が上がり、酷薄な氷の矢のような眼差しがセルマを射竦める。
 開く唇から発せられるのは、何か辛辣な言葉だ。そう確信したときだった。
「ジャネット! 抑えろ!!」
 切羽詰まったクインの怒鳴るような声とともに飛来してきたミサイルが爆発し、激しい爆炎を上げた。
 爆音が静まり、炎が黒煙に飲まれるように消えたあとから、炎の障壁を張って相殺を図ったクインが叫ぶ。
「みんな、無事か!?」
「だ、大丈夫、です」
「なんとか……」
 まさかもう戦闘が始まっていたとは。
 すっかり油断しきっていたと、目と耳をやられて咳き込みながらも全員が点呼のように言う。
 なか。

「……ざっけんじゃねーぞ、どこのどいつだコラ……」

 爆風に飛ばされた場所からJJがゆらりと身を起こし、今までと正反対の荒れた口調でつぶやいた。
 少し声のトーンも下がっている気がする。
「うわぁ……」
 何が起きているのか分からず、全員がきょとんとして見守るなか、1人だけ理解しているクインがさーっと顔を青くして、岩の後ろにさささと隠れた。
「このおれの妹をねらうなんざ、いい度胸してんじゃねーか。そういう手合いには、二度とそんな気が起きないように徹底的にお仕置きしてやんねぇとなぁ……。
 来い、パージ!!」
 叫ぶと同時に突き出された手に、次の瞬間真紅の炎のような刀身の大剣が現れる。
 あっけにとられているほかの者たちには目もくれず、JJはギフトの剣を手に強化人間との戦場へ向かって走り込んだ。
「あーあ。だから抑えろって言ったのに」
「ク、クインさん、あれは何なんですか?」
 セルマの問いに「ん?」とそちらを向いて、クインは手をひらひら振った。
「あれはジャン。ジャネットの過保護な兄でパルジが自分を使うことを認めてる相手、かな。
 ま、詳しいことはともかく、しばらく暴れたら満足して引っ込むから、放っといていいよ。あ、でもああいうときのジャンは言うこともやることも過激だから、近づかない方がいいかな」
 苦笑しながらのクインの話を聞いて
「……二重人格なんですか」
 セルマは半分脱力した声でぽつっとつぶやいた。