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黄金色の散歩道

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菓子

「いんぐりっとちゃん、おまたせー」
 かぼちゃを抱えた天苗 結奈(あまなえ・ゆいな)が、キッチンに立つイングリット・ネルソン(いんぐりっと・ねるそん)に声をかけた。
 今日の結奈とイングリットは、結奈の自宅でお家デート。
 二人でおやつに、旬のかぼちゃを使ってモンブランを作る約束をしていた。
「まあ、大きなかぼちゃですわね!」
「これならたくさん作れそうだよー」
 かぼちゃを置いた結奈は、イングリットに満面の笑顔を見せる。
「早速下準備をいたしましょう」
「はーい!」
 イングリットがかぼちゃの種をとったり皮を剥いたりしている横で、結奈は生地作りをする。
 二人並んでまな板やボウルに向き合いつつ、時折顔を見合わせて微笑み合う。
「それにしても良いかぼちゃですわ」
 イングリットはかぼちゃをレンジにかけながら、改めて呟いた。
 温めて柔らかくなったかぼちゃをペースト状に潰したら、しばらく冷ましつつ結奈の手伝いにかかる。
「早く食べたいねー」
「そうですわね、楽しみですわ」
 おしゃべりをしつつながらも、少しずつモンブランを作る準備が整っていく。
 生地をオーブンに入れたら、かぼちゃのクリーム作りだ。
 かぼちゃのペーストにバターと生クリームを加えていく。
「オーブンからいい匂いがしてきましたわね」
「ほんとだ、焼けてきたみたいだよー」
 そう呟きながら、結奈はでき上がった目の前のかぼちゃクリームを見つめる。
 イングリットがオーブンを覗いている隣で、結奈はゴムべらについたクリームを指先で掬った。
「あら」
 イングリットが、ニコニコと笑いながらつまみ食いをした結奈に気付く。
「えへへ……」
 結奈はゴムべらからもう一掬い。指先にクリームをつけて、イングリットに差し出した。
「いんぐりっとちゃん、あーん」
「もう……ふふ」
 イングリットは差し出された結奈の指先を含んで、クリームを舐める。
「美味しいですわね」
 なんだかんだと楽しんでいるうちに、生地も焼き上がった。
 焼き上がった生地にクリームを絞り出してデコレーションすれば、かぼちゃのモンブランの完成だ。
「完成しましたわね!」
「やったねー」
 できあがったモンブランをお皿に載せて、結奈がテーブルに運ぶ。
 テーブルを準備する間にイングリットが紅茶を淹れれば、ティータイムの始まりだ。
 暖かな部屋の中に、美味しそうな良い匂いがふんわりと漂っている。
「いただきまーす!」
「いただきます」
 結奈とイングリットは、同時にモンブランを口にした。
「まあ、本当に美味しいですわ……!」
「一緒に作ったからだねー」
 一口食べるごとに、笑顔が零れる。
 幸せそうな結奈とイングリットの笑い声が弾む。
「また一緒にケーキ作ろうね」
「ええ、是非! ティータイムにぴったりですし、楽しいですわよね」
「ねー」
 結奈とイングリットはのんびりと寛ぎながら、二人きりのティータイムを楽しんだのだった。