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ホワイトバレンタイン

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ホワイトバレンタイン
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リアクション

「さあ、カナリー。この『もふもふ羊さん盛りスペシャル』でがんばっていってくるでありますぞ」
 マリー・ランカスター(まりー・らんかすたー)は今日は一段と気合を入れて、カナリー・スポルコフ(かなりー・すぽるこふ)の髪を結い上げた。
 カナリーはこれから騎凛 セイカ(きりん・せいか)に会いに行くのだ。
「勝って兜の緒を締めよ。恋する乙女は動く前から負けたときのことなど考えてはイケナイのであります」
 【変の百戦百勝将軍】はカナリーの勝利を応援し、送り出した。
「バレンタイン……恋でありますか」
 マリーはうきうきした様子でセイカの元に行くカナリーを見て、思いを馳せた。
「恋は遠い日の花火ではない……。ワテももう一花咲かせるのも一興であろうか」
 
 出会いについてマリーが考えている頃、セイカの部屋からは、セイカの小さな声とカナリーの楽しそうな声が漏れていた。
「あ、ん……」
「逃げちゃダメだよー、騎凛ちゃん」
「ひゃっ!」
「あ、やっぱりここが当たりだね。ちょっとガマンしてね。よ……っと」
「ああっ!!」
 痛みがあったわけではないが、セイカは思わず反射的に声を上げた。
 一方、カナリーは満足そうな笑顔を見せた。
「うん、取れた取れたー。騎凛ちゃんずっと寝込んでたりだったから、きっと出来てなかっただろうなって思って」
 カナリーは取れたものに満足し、耳かきをしまった。
「思ったよりも元気で良かった」
「はい、今日はなぜか加減が良くて……」
 耳かきありがとうございました、とセイカがお礼を言うと、カナリーはいやいや、と笑い、まほーびんから中華な薬膳粥を出した。
「はい、どうぞー。体にいいものがたくさん入ってるよ」
「ありがとうございます」
「あ、味も普通だから大丈夫。滋養強壮に良くって味が……ってのじゃないから」
 カナリーはさじを取り出し、粥をすくうと、セイカのためにふーふーしてあげた。
「はい、あーん♪」
「あ、あーん……」
 セイカは少し照れながら、お粥を口にした。
「元気になってね、セイカちゃん。たくさん動いても平気になったら、遠くまで遊びに行こう」
 カナリーの言葉に、セイカは笑顔で頷くのだった。