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聖戦のオラトリオ ~覚醒~(第3回/全3回)

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聖戦のオラトリオ ~覚醒~(第3回/全3回)
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第十九曲 〜Oratorio〜


 ――ナイチンゲール、貴女も歌いなさい。

 製造プラントの中で、ナイチンゲールは確かに「声」を聞いた。
『マスターの声が……あの歌が聞こえます』
 機械仕掛けの侍女は涙を流し、その掌を合わせた。
『おかえりなさい、マスター』
 彼女は謳う。
 鳥達に向けて。
 夜明けを告げるために――


(・オラトリオ)


 天沼矛から光が見えた。
「これは……歌?」
 旋律と、それに合わせて歌う少女の声を、霧積 ナギサ(きりづみ・なぎさ)は聞いた。
 イーグリットに乗って、その光の方を見遣る。
「あれは、博士と……女の子?」
 常磐城 静留(ときわぎ・しずる)がそれを見つけた。
 ホワイトスノーと一緒に整備科の顔ぶれがあるが、一つ全く見知らぬ者がいた。
 光を放っているのは、その少女だ。
 彼女は祈るように、ただ謳っていた。

* * *


「ち、数が多いぜ」
 山葉 聡は顔をしかめた。
 五月田教官の指示の元、敵部隊との交戦を行っているが、戦力差は歴然としている。
『編隊を変更する。俺が前衛に出る』
 五月田のコームラントが前に出て、入れ違いで女性教官のイーグリットが下がる。
「――――!」
 シュバルツ・フリーゲが一機攻め込んできた。
 そのため、女性教官機が迎撃に出ようとした。しかし、
「五月田ァ!!」
 それは囮だった。
 五月田が女教官をフォローしようと一瞬そちらを向き直ろうと瞬間、敵、それもシュメッターリングが機関銃を放った。
 それも、敵は三機がかりだ。

「五月田教官!!」
 ビームシールドを構え、桐生 景勝とリンドセイ・ニーバーは教官機の前へ飛び込んでいく。
(間に合え!)
 歌が聞こえたのはそのときだ。
 機体が光に包まれた。
「教官から離れろぉおお!!!」
 シールドで敵からの攻撃を受け止めた。
『五月田教官、このチャンスを生かして下さい!』
『教官! このチャンスを生かしてくれ! それと、この借りは寿司で返してくれよぉ! 寿司で!』
 そのときになって、景勝達は機体の変化に気付いた。
 機体と同調し、自分の身体のような感覚を得たことに。
『Aチームの打ち上げ分も含めて、俺が全部持ってやる。今は戦いに集中しろ』
 景勝達は敵機へと向かってく。

(また守られたな)
 コックピットの中で、五月田はぽつりと呟いた。
(もう教官としてだらしない姿を見せるわけにはいかない)
 五月田も感じた。イコンが自分自身と一体になるのを。
(なあ、デイヴ。お前も一緒に引鉄を引いてくれ。俺達の生徒を守るために)
 ロックオン。
 トリガーに指をかけ、敵の小隊目掛けて大型ビームキャノンを放った。